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高精度加工を極める精密加工機械
ごあいさつ/日本精密機械工業会 会長 髙松 喜与志 氏
日本精密機械工業会は「超精密へのあくなき挑戦」および「会員相互の親睦」を共通のテーマとして掲げ、正会員42社、賛助会員69社、特別会員2名、計111社の企業、個人に参加頂いております。昨年は新型コロナウイルス感染症の扱いが5類となり、行動規制の緩和もあり社会活動もほぼ元に戻ったように思います。私どもも早速工場見学会などをはじめ、リアルでのイベントを積極的に再開しております。
また本年は元旦に能登半島地震が発生し、甚大な被害に見舞われました。当工業会としては少しでも早い復興と元気な笑顔を取り戻してもらうために、会員総意として義援金を寄託させていただきました。
さて当工業会では「JAPAN MADE」認証制度をはじめ多様な活動を展開しております。本年もJIMTOF2024にあわせて主催している「日本人の匠技・モノづくりコンテスト」を開催いたします。毎回大変ユニークな作品が多く出品され、5名の審査員は採点に毎回悩ませられています。今回も会員企業だけでなく、前回同様ユーザー様からの多くの出品があることを切に願っております。受賞作品はJIMTOF期間中特設ブースに展示し、訪れた方は超精密、熟練の技を存分に堪能できると思います。
工作機械業界において受注高は様子見の状況ではありますが、今年は準備期間と捉え力を蓄え、来年はユーザー様に即座に対応できるようにすることが肝要かと思います。ただ原材料の高騰、部品不足、人手不足など、これからもいまだ難題を抱えております。しかしながら当工業会は、やれることを確実に実施して行くことでお客様の生産性向上を担う設備を提供し続けることに全力を尽くしてまいります。
小型工作機械受注、EV向け投資に見込み―3年ぶりマイナス
日精工がまとめた2023年の小型工作機械の年間受注額は、前年比19・5%減の1323億4358万円となり、3年ぶりに減少した。中国市場で受注の調整局面が続いたほか、自動車向けでは電気自動車(EV)シフトに伴う内燃機関を中心とした設備投資の様子見が響いたと見られる。
機種別では、受注額全体の約6割を占める数値制御(NC)小型旋盤が同16・8%減の766億5671万円だった。NC小型研削盤が同26・9%減の93億774万円、NC小型フライス盤が同21・8%減の41億2070万円、小型マシニングセンター(MC)が同38・9%減の38億901万円で続いた。
全体の約7割を占める輸出総額は同19・4%減の875億7470万円だった。このうちNC小型旋盤が同16・4%減の600億5415万円となったほか、小型MCは同63・1%減の10億482万円と減少幅が大きかった。
23年の小型工作機械市場は中国経済の鈍化などもあり、受注の調整局面が続いた。自動車部品向けでは、EVシフトにより内燃機関向けの投資が減少。一方で24年はハイブリッド車(HV)などのエンジン搭載車と共にEV向けの投資が活発化すると期待されている。
日本ブランドを海外に発信
日精工は主要部品の70%以上で日本製を採用している機械を高品質製品として認証する「JAPAN MADE認証制度」事業を14年から展開している。海外市場が急速に拡大するなかで、新興国メーカーと差別化し会員企業の販売を支援する取り組みだ。
日本製品に対する高精度・高品質のイメージは根強い。業界団体である日精工が認証することでブランド力や信頼性に加え、情報発信力も高まる。現在、正会員16社が認証を取得しており、認知度も高まっている。
JIMTOFに向け技術競う コンテストの作品を募集
日精工では、11月5―10日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれる「第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)」に向けて「日本人の匠技 モノづくりコンテスト」を開催する。
日精工会員企業の工作機械や製品により加工・組み立てした作品を募集し、優れた作品を表彰する事業で、毎回精密加工機の性能を極限まで引き出した力作がそろう。
作品は原則として、大きさが幅500ミリ×奥行き500ミリ×高さ500ミリメートル以内、重さ30キログラム以内。最優秀賞(賞金30万円)に1作品、優秀賞(同10万円)に4作品、特別賞(同5万円)に6作品を選ぶ。参加表明の申し込み締め切りは3月15日、作品の応募締め切りは8月9日。
同コンテストはJIMTOFに合わせて隔年で開催される。JIMTOF開幕前日の11月4日に審査結果の発表と表彰式を実施。入賞作品はJIMTOF会場で展示する。22年の前回は、ナガセインテグレックス(岐阜県関市)の岩崎佑太氏による作品「機械加工による魔鏡の製作」が最優秀賞に選ばれた。日精工会員でなくとも日本在住の個人・企業・団体であれば応募でき、若い技術者の参加も盛んだ。今年も同コンテストを通じて、精密加工の技が披露されることが期待される。
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会員企業から若手技術者が自社の技術を発表する -
集まった会員から若手に質問が飛び交った
若手のプレゼン力向上を支援
次世代を担う若手を育成することも、モノづくりの技術を伝えて行くためには重要だ。日精工は16日に機械振興会館で開かれる「第36回技術研修会」の中で、「第8回若手プレゼン会」を開催する。
会員企業の若手技術者が自社の技術や製品について15分間で紹介し、役員をはじめとした日精工の会員と議論する。優れた発表者には賞が贈られる。プレゼン力や交渉力の向上と、会員相互の交流が目的だ。23年2月に開催した「第7回プレゼン会」では、7社から9人が参加。JIMTOF2022に出品した新製品で生かされた自社の技術や、開発における課題点を盛り込んで発表した。
若手社員にとって100社を超える会員企業の中で、お互いがどんな事業に携わっているのか把握するのは非常に困難。プレゼン会を通じて、相互の理解を深める。「受賞者はプレゼンの上手さではなく、どれだけ熱意をもって発表したかを重視して決めている。これだけ多くの同業者の前で発表する機会はなかなかない。まずは挑戦してみて欲しい」(日精工関係者)と参加者にエールを送った。