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ここに注目、ここが注目
日本粉体工業技術協会が主催し2021年以来、2年ぶり15回目の大阪開催となる今回から展示会名称が「POWTEX2023」となった。一層の展示会の浸透を図ることを狙う。出展企業は最新の粉体機器・装置や自社技術を披露するほか、併催企画も時宜に応じて多彩なことが特徴となっている。ハイブリッド形式のためオンライン展は先行開催し、11日からのリアル展を後押しする。
併催企画も多彩で充実
今回の出展規模は172社・団体、515小間で、コロナ禍での開催となった前回(21年)の大阪展からは回復の兆しを見せた。新型コロナが5類に移行し、経済活動が平時に戻りつつある状況を表した数字といえる。
出展製品は多種多様で、各種粉粒体製造機器・装置を中心に、計測機器、研究室用機器・ラボ機、シミュレーション・ソフトウエア、粉体材料などが一堂に会する。またそれに付随した各種技術情報も披露される。
今回も設けられる特別展示ゾーンは「未来材料」と「粉体シミュレーション」がテーマ。未来材料ゾーンではナノマテリアルとその関連技術や医薬品・食品用材料などが、粉体シミュレーションゾーンではソフトウエアや検証用実験機器などが集中展示される。またそれぞれ出展社プレゼンテーションも設けられ、粉体シミュレーションは11日14時35分からと12日14時から、未来材料は13日14時から行われる。会場は5号館PXステーション(聴講無料、当日受け付け)。
出展企業によるプレゼンテーション「製品技術説明会」は今回も会期中連日開かれる。会場は4号館AルームおよびBルームで、Aルームは11時45分から、Bルームは11時から。定員は50人。聴講は無料で、当日受け付ける。
このほかにもPOWTEXの特徴である多彩な併催企画もめじろ押しだ。
■PXステーション
今回のテーマに掲げる「未来をつくるPX」の一環として、会場内5号館に設けられる特設ステージ「PXステーション」では、主催者、出展者、来場者の参加型イベントが連日開催される。
わが社のPX
製造現場で活躍する粉体機器や技術を、その業界を代表する3社が紹介する新企画。テーマは医薬品、電池製造、食品製造。会期中いずれも12時半から。11日は医薬品でダルトン、奈良機械製作所、菊水製作所が、12日は電池製造で東洋ハイテック、アシザワ・ファインテック、ハカルプラスが、13日は食品製造でツカサ工業、日清エンジニアリング、マツシマ メジャテックが自社の製品や技術を披露する。
粉体技術について聞いてみる
粉体とは何か、どのような機能があるのか、湿った粉はどう扱うかなど、研究者の研究テーマの解説を通じ、粉体技術に興味を抱き、より深く知ることにつなげる。11日は11時半からと14時からの2回、12、13の両日は11時半からの計4テーマが展開される。
11日11時半からは森隆昌法政大学教授が「湿った粉 液中の粉」、14時からは酒井幹夫東京大学大学院教授が「シミュレーション技術」を、12日は綿野哲大阪公立大学大学院教授が「加工技術」、13日は吉田幹生同志社大学教授が「乾いた粉」について解説する。
■PXフォーラム
12、13の両日にこれまでの「最新情報フォーラム」を展示会開催テーマに合わせ模様替えして行われる。「全固体電池」と「化粧品、食品業界で活躍する粉体技術」の2本立て。
12日14時半からの全固体電池では、綿野哲大阪公立大学大学院教授が「粉体プロセスを用いた全固体電池の開発」、マクセルビジネス開発部の片山秀昭氏が「硫化物系小型全固体電池の実用化と今後の展望」、金村聖志東京都立大学特別先導教授が「全固体電池および半固体電池の開発現状と今後の展開」と題し、それぞれ解説する。
13日10時からの化粧品、食品業界で活躍する粉体技術は、丹羽敏幸名城大学教授が「患者や消費者に好まれる医薬品・食品づくりのための新規な粉体技術」、酒井幹夫東京大学大学院教授が「粉体シミュレーションを用いたものづくりDX」について解説する。会場は両日ともセンタービル2階国際会議ホール(聴講無料、事前予約制)。
■粉体機器ガイダンス(機器選定の基礎)
同じく12、13の両日10時から、6号館2階会議室Fで開かれる。同協会の分科会が企画協力し、機器の基本原理と機器選定を分かりやすく説明し、併せて分科会会員企業が機器の紹介を行う。12日は「粉砕」で、内藤牧男大阪大学名誉教授が「初歩から学ぶ粉砕技術―基礎から応用まで―」を、13日は「分級ふるい分け」で、吉田英人広島大学名誉教授が「粉体の分級技術の概要と高性能化対策」をテーマにそれぞれ講演する(聴講無料、事前予約制)。
■粉体工学入門セミナー~入門の入門編~
同協会が開いている「粉体入門セミナー」を受講前段階の人を対象に、粉体技術の基礎事項を中心にわかりやすく解説するセミナー。4号館Aルームで会期中連日、10時15分から行われる。
11日は「液中の粉のふるまい」について森隆昌法政大学教授が、12日は「粉体の加工技術」を綿野哲大阪公立大学大学院教授、13日は吉田幹生同志社大学教授が「粉の物性・流動の基礎」について解説する(聴講無料、事前予約制)。
■APPIE産学官連携フェア2023&テクノマルシェ~名刺交換会~
12日9時30分からセンタービル2階国際会議ホールおよび会議室で開かれる。同フェアは大学や公的研究機関に蓄積された知識や技術、研究されつつある事業化の可能性が高いシーズが公開され、産業界のニーズで応用展開するための出会いの場として企画された。今回のシーズは35件。フラッシュプレゼンテーションやポスターセッション、個別相談などを通じ、実現につながる足がかりとなることが期待される。
同フェア終了後に行われるテクノマルシェでは、シーズ提供者の研究者と参加企業の技術者との交流・情報交換の場として活用されそうだ(聴講無料、事前予約制)。
■海外情報セミナー
同協会海外交流委員会の企画協力の下、11日14時半から6号館2階会議室Fで開かれる。テーマは「グローバル化に向けて”どうする我が社!”」。原塚勝洋公安調査庁国際調査企画官が「経済安全保障の確保に向けて~技術・データ・製品等の流出防止~」について講演するほか、中東市場の日本企業進出事例や日本貿易振興機構(ジェトロ)のサービスなどが紹介される(聴講無料、事前予約制)。
■AI技術利用に関するセミナー
同協会AI技術利用委員会が企画協力し、12日10時から6号館5階ホールGで行われる。「ものづくりにおけるAIの活用」をテーマに同委員会の酒井幹夫委員長(東京大学大学院教授)が、同委員会の活動を紹介するほか、加納学京都大学教授、アステラス製薬の梅本佳昭氏、大岩寛産業技術総合研究所デジタルアーキテクチャ研究センター副研究センター長が、AIの産業や製造利用の取り組みを解説する(聴講無料、事前予約制)。
■粉じん爆発情報セミナー
同協会粉じん爆発委員会の企画協力で、12日13時から6号館5階ホールGで開かれる。同委員会の山隈瑞樹委員長(産業安全技術協会会長)による「静電気災害防止に役立つ基本的電気理論と現象」やトピックス、事例紹介のほか、黒瀬良一京都大学大学院教授が「燃焼数値シミュレーションの基礎と現状」を解説する(聴講無料、事前予約制)。
その他
こうした各種企画のほかにも、会期中13時半から5号館主催者コーナー内で連日行われる「技術相談」では、粉体現場での困りごとや普段の疑問などを研究者に相談できる。問題解決に生かせそうだ。また12日13時からは「粒子特性評価・粒子径計測ISOセミナー」が、13日12時半からは「粒子径計測入門セミナー」が、いずれも6号館2階会議室Fで開かれる。ともに同協会規格委員会が企画に協力している(聴講無料、事前予約制)。
各種併催企画の詳細や事前予約制については公式ホームページ(https://www.powtex.com/appie)へ。