-
業種・地域から探す
電源トランス
電源トランスは電源部分で入力された交流電圧を必要な電圧へ変換する部品。電圧を変換することで負荷機器の異常動作を防止する。また電源供給する側と出力側の負荷機器とを絶縁して、入力側からの電流が直接流れるのを防ぎ、出力側の回路を保護する機能もある。用途に応じて幅広いラインアップがあり、適切な選定で機器の安定稼働と安全性の向上を図ることができる。
適切な選定で機器の安定稼働を
-
-
中央電機工業のH種乾式変圧器「DHSシリーズ」㊤と「デュオ構造鉄心」
◆必要な電圧に変換、絶縁で保護
電源トランスは電気を入力する電源側の1次コイル(巻き線)と、電気を出力する負荷側の2次コイル、磁性体の鉄心(コア)で構成される。1次側には電源からの入力電圧が供給され、変換された出力電圧が2次側から取り出される。プリント基板実装に利用される小型タイプから生産設備や産業機械向けの大型タイプまで、用途に応じて多種多様な製品がある。
電源トランスの構造は相数や巻き方で分類される。相数で見ると、一つの電気回路に対して一つの正弦波の電流が流れる「単相」と、一つの電気回路に三つの正弦波の電流が流れる「三相」がある。
巻き方では1次コイルと2次コイルが連続した巻き線となる「単巻」と、1次コイルと2次コイルが別々な巻き線で構成され、その間を絶縁する「複巻」がある。単巻は構造がシンプルで小型・軽量化を図れる。複巻は供給された電流が電磁誘導によって2次コイルへ伝わる。入力された1次コイルの電流が2次コイルへ直接流れるのを防ぎ、2次コイルにつながる回路を保護できる。
◆小型・軽量化、環境負荷低減にニーズ
電源トランスはその電流容量に合わせて、容積が大きくなる。電力の低損失化と同時に、容積の低減や実装面積の削減、低背化といったダウンサイジングが求められている。メーカーでは鉄心形状や構造の改良を図ったり、成形方法、材質の改良、さらにはコイルの巻き線技術などの向上などに取り組む。また、環境負荷低減や安全性、機能性、使いやすさの向上なども図っている。省エネルギー性能を上げると導入コストが高くなる傾向にあるが、運用コストを削減できるのがメリットになる。
中小容量分野を中心とした乾式変圧器メーカーの中央電機工業は、設計から製造、出荷まで一貫して行う。昇降機や工作機械分野を得意とし、顧客ごとに異なる仕様や要求事項に対し、オーダーメードで応えている。
また、環境調査や化学物質調査などには個別に応じ、顧客のコンプライアンス(法令順守)対応を支援している。同社によると、近年、大手顧客からは欧州の特定有害物質規制「RoHS指令」や化学物質規制「REACH」への対応と、各種エビデンスの提出依頼が増えているという。
標準シリーズとしては、省エネ性能の高い製品を展開する。5月に発売した新製品は新構造の鉄心を採用して、省エネルギー化と省スペース・軽量化を両立させた。今後は容量バリエーションを拡充し、より幅広い用途へ展開していく方針だ。
一方、米国の「UL規格」や欧州の「EN」規格など海外規格に対応した製品もラインアップして、増加するニーズに対応している。
電源トランスは機器の電源供給部に利用される部品であり、万が一、事故が発生した場合の影響が少なくない。2次側に定格を超える大きな負荷がかかると異常発熱の原因となり、機器の破損のみならず、火災につながることもある。
そのため、機器の設計段階でトランス容量は2次側に余裕があるものを選択することや、電源トランスの1次側、あるいは2次側に保護回路を設けること、電流ヒューズやサーキットブレーカー、サージアブソーバーを使用することなどの対策が求められる。
