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パワーコンディショナー
再生可能エネルギーはカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に欠かせないテクノロジーの一つとして注目を集めている。再生エネは太陽光や風力などをエネルギー源として直流(DC)の電力を発生させる。住宅やビル、工場で用いられる電気製品や設備機器は交流(AC)の電力(商用電源)を受けて稼働する。このため太陽光などで作られた電力を利用するには、交流に変換するパワーコンディショナー(パワコン)が必要となる。パワコンは変換効率などの性能向上だけでなく、メーカーの高いサポート力で顧客に安心と安全を提供している。
再生エネ 主力電源に太陽光
エネ基本計画
再生エネの中で、太陽光発電システムの導入が最も進んでいる。2024年6月に経済産業省・資源エネルギー庁が発表した再生エネの導入状況によると、12年7月の固定価格買い取り制度(FIT)の開始により、再生エネの導入は大幅に増加。11年度の10・4%から22年度は21・7%に拡大した。
再生エネの電源構成比(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の発電電力量で見ると、11年度は水力が一番高く849億キロワット時で、太陽光は48億キロワット時であった。22年度は水力が768億キロワット時、太陽光が926億キロワット時と逆転しトップに立っている。風力は11年度の47億キロワット時から、22年度は93億キロワット時となり、導入実績を伸ばしている。
特に22年4月に市場価格連動型制度(FIP)がスタート。23年12月末時点で、FIT制度開始後に新たに運転を開始した設備は、認定容量全体の約78%で、約7700万キロワット。このうち、太陽光発電が約88%を占めている。また、FIT/FIP認定容量は約9900万キロワットで、太陽光発電は約75%を占める。
こうした中、24年12月17日に資源エネルギー庁から原案が公表された中長期のエネルギー政策方針「エネルギー基本計画」では、40年度の電源構成比見通しにおいて、再生エネを主力電源とし構成比率を40-50%とした。現行のエネルギー基本計画では30年度時点で、再生エネの割合を36-38%にするとしていたが、引き上げる予定だ。
双方向交流電源 100キロボルトアンペア級に需要
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HIOKIのソーラーカーポートは23年12月に第1期工事を終えた(長野県上田市)
再生エネ需要を背景に住宅やビル、工場のエネルギーとして、太陽光パネルなどで発電したDC電力をAC電力に変換するパワコンの需要が期待される。
パワコン開発では、電流や電圧を自由に変えて、電力発生させる安定化電源や負荷試験が行える電子負荷と呼ばれる装置が欠かせない。台湾計測器メーカーの至茂電子(Chroma ATE)の日本法人は、24年の国内需要について「大容量化要求が多く、安定化電源と電子負荷を1台に収めた双方向交流電源の需要が旺盛であった。特に100キロボルトアンペアクラスに引き合いが出ている」と話し、太陽光発電などの再生エネの導入拡大が背景と分析する。
また企業の再生エネ導入の一例として、HIOKIは創業90周年を迎える25年までに「スコープ1、2のカーボンニュートラルを達成」を目標に掲げている。水力発電由来の二酸化炭素(CO2)フリー電力を100%導入するなど脱炭素化を推進している。
具体的には約600台が駐車できる約2万3000平方メートルの社員用駐車場に、ソーラーカーポートを導入する。25年秋までに総発電容量2メガワットの太陽光発電システムと、総蓄電容量2メガワットの蓄電池の設備を計画。全量自家消費する。第1期工事は23年12月末に完成し、約270台が駐車できるスペースの屋根に太陽光パネルを設置し、645キロワットを発電。社内エネルギーとして活用している。