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京浜港
東日本のメーンポート 国際競争力を強化
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東京港で最も新しいコンテナターミナル=中央防波堤外側コンテナふ頭(Y2バース) 国内初のシャトルブーム式ガントリークレーンを整備(東京都港湾局提供)
東京港、川崎港、横浜港からなる「京浜港」は、首都圏のみならず東日本全体の生活と産業を支える総合物流拠点であり、わが国の経済成長に重要な役割を果たしている。
今後も引き続き、京浜港がわが国の経済を支えていくためには、京浜港の国際競争力強化が不可欠であることから、東京都、川崎市、横浜市は2008年3月に東京港、川崎港、横浜港の連携を一層強化することで合意した。
この合意に基づき、京浜港内におけるコンテナ船入港料の一元化や、はしけ輸送の拡大による環境対策、内航フィーダー輸送の強化など、さまざまな連携施策を実施してきた。
10年2月には、京浜港が進むべき方向性について「京浜港共同ビジョン」として取りまとめ、11年9月には、3港が今後策定する港湾計画の基本となる「京浜港の総合的な計画」を策定した。
国際コンテナ戦略港湾 アジア航路など充実
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川崎港コンテナターミナルと背後に立ち並ぶ物流施設(川崎市港湾局提供)
「京浜港の総合的な計画」の中で示された方針に基づき、14年に東京港、川崎港、横浜港の港湾計画を改訂し、各港が適切な機能分担を図りつつ、京浜港が一体となり、欧州や北米を結ぶ基幹航路や、アジアを結ぶアジア航路などの多方面・多頻度サービスの充実を目指している。
また国土交通省は「選択と集中」により、わが国の港湾の国際競争力を強化するため、「国際コンテナ戦略港湾」の公募を行い、10年8月に京浜港は阪神港(神戸港・大阪港)とともに選定を受けた。
国際コンテナ戦略港湾 政策をさらに前進させるため、16年1月に横浜港・川崎港が「横浜川崎国際港湾株式会社」を設立し、同年3月に港湾法に基づく港湾運営会社に指定された。
日本の経済支える総合物流拠点 「利用者に選択される港」に
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水深18m岸壁を有する南本牧ふ頭(横浜市港湾局提供)
京浜港がわが国の経済をけん引していくためには、利用者に選択される港であることが必須条件である。
京浜港では利用者本位の使いやすい港づくり、コンテナ貨物集荷力の強化、ターミナルコストの低減、港湾機能の充実・強化など、ソフト・ハードの両面からの取組を積極的に進めている。
さらに、環境に配慮した船舶の寄港を促進するため、LNG(液化天然ガス)燃料船舶などに対するインセンティブ制度を21年4月に導入した。
京浜港は利用者のニーズに的確に応え、選択される港であり続けることで国際競争力を確保し、わが国の経済・産業を支える総合物流 拠点としての役割を十分に果たしていく。
東京港/首都圏支える一大物流拠点
1941年に国際貿易港として開港した東京港は、首都圏の産業や住民生活に必要な物資を担う都市型産業港湾として、発展を遂げてきた。
2022年のコンテナ貨物取扱個数は、国内第1位の約493万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分、速報値)を記録し、首都圏を支える一大物流拠点としての役割を果たしている。
近年、アジア貨物のさらなる増加や船舶の大型化の進展など、東京港を取り巻く環境は大きく変化している。
東京港はこうした動向を踏まえ、中央防波堤外側Y3コンテナターミナルの早期整備を目指すとともに、青海コンテナふ頭など既存埠頭の再編整備に取り組み、東京港全体の処理能力の向上を図っていく。
東京港ではコンテナターミナルゲート前の交通混雑が課題となっていることから、抜本的な機能強化に加え、早朝ゲートオープンの継続実施や24時間利用可能な貨物の一時置き場の設置などに取り組む。
今年8月から予約システムの「CONPAS(コンパス)」を活用したコンテナ搬出入予約制事業を拡大して実施するなど、物流車両の時間的分散に向けたソフト施策も多角的に進めている。
また、東京港における脱炭素化を戦略的に進めるため「東京港カーボンニュートラルポート形成計画」を今年3月に策定した。
さらに33―37年(令和10年度後半)を目標年次とした「東京港第9次改訂港湾計画」の策定に向けた検討を進めており、年度内の策定を目指す。
今後も、港を取り巻く状況の変化に着実に対応し、選ばれる港となるようさまざまな取り組みを展開していく。
川崎港/新たな物流拠点への挑戦
工業港として首都圏の産業を支えてきた川崎港は、首都圏の中心に位置する。高速道路網などにより関東圏一帯からのアクセスが良好である。立地上の優位性により、首都圏の物流拠点として目覚ましい発展を遂げている。
川崎港におけるロジスティクス機能の中心となる東扇島は、国内トップクラスの保管能力(約125万トン)を誇る冷凍冷蔵倉庫の集積地である。また完成自動車の国内有数の輸出拠点となっている。
2022年の年間入港船舶総トン数は約8474万総トン、貨物量は約6840万トンと首都圏経済を支える総合港湾として大きな役割を担い、特に川崎港コンテナターミナルは、ゲート渋滞が少なく物流がスムーズな点や、利用者に対し細やかな対応が可能な点が評価されている。
2020年には、川崎港全体のコンテナ取扱貨物量が過去最高の17万TEU(1TEUは20フィートコンテナ1個分)を記録し、現在は、今後の貨物量の増加に対応すべく、コンテナターミナルの隣接地に新たなバン・シャシープールの整備を進めており、本年度中の供用開始を予定している。
今後も利用者ニーズを踏まえながら官民一体となったポートセールスにより、貨物集荷の取組を推進し、航路誘致に取り組むなど、更なるコンテナ取扱貨物量の増加を目指す。
このほか、川崎港では、脱炭素化に向けた官民協議会を設立してプロジェクト創出を進めており、今年3月には液化水素サプライチェーンの商用化実証の受入れ地として川崎臨海部が選定されるなど、脱炭素化に向けた取組も加速させている。
また、昨年3月には、羽田空港周辺と京浜臨海部の成長発展を支える「多摩川スカイブリッジ」が開通し、さらに、川崎港と内陸部を結ぶ新たなアクセスルートとなる臨港道路東扇島水江町線の整備が進められるなど、川崎港周辺の道路ネットワークの更なる充実が期待されている。
横浜港/国際コンテナ戦略港湾へ整備
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横浜市港湾局提供
横浜港は1859年の開港以来、わが国を代表する国際貿易港として発展してきた。国際コンテナ戦略港湾として、基幹航路の維持・拡大に向けて、埠頭機能の再編・整備を進めるなど、国際競争力の強化に向けてさまざまな取り組みを展開している。
本牧ふ頭では、超大型コンテナ船への対応を図るため、D4・D5ターミナルの一体運用に向けてD5ターミナルの再整備を進める。また、A突堤ロジスティクス拠点の形成など、埠頭の再編に取り組んでいる。
南本牧ふ頭ではMC1―4ターミナルの一体運用の推進と背後地5―1ブロックの拡張整備を進めるなど、引き続きコンテナ取り扱い機能の強化を図る。併せて新本牧ふ頭では新たな物流拠点の整備に向けて埋め立て工事を進めている。
施設整備の一方で、地方港から横浜港へ貨物を集中させる取り組みを進めている。その結果、2022年の内貿コンテナ取り扱い個数は35万個と過去最高を記録するとともに、国内唯一の北米東岸コンテナ航路が23年3月に開設された。
また、東日本最大の自動車取り扱い拠点である大黒ふ頭では、世界的な脱炭素化の潮流を踏まえて民間事業者などと連携しながら、電気自動車の輸入拠点としての機能強化にも取り組んでいく。
このほか、50年の脱炭素社会の実現のため、カーボンニュートラルポートの形成に向けて取り組んでいる。臨海部において国や民間事業者・自治体間の連携により、水素など次世代エネルギーの輸入・供給大規模拠点の形成に取り組む。さらに停泊中の船舶から排出される二酸化炭素(CO2)を削減する陸上電力供給設備の整備など、埠頭における脱炭素化を推進する。
今後もわが国の物流を支え、選ばれ続ける港として、国や関係者と連携強化のもと積極的な取り組みを推進していく。