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機械工具の再研磨&コーティング
摩耗した機械工具の使用は加工品質や精度、生産性の低下を招く。さらには工具の破損・折損につながり、加工対象物(ワーク)の破壊や工作機械の故障を引き起こしかねない。機械工具の再研削・再研磨は加工品質の維持や廃棄の削減などに有効な対策となる。
再研磨/加工品質向上・コスト削減に貢献
ドリルやエンドミル、タップなどの工具は、ワークの材質や加工条件に応じた多様な先端形状を持つ。摩耗した工具を適切に再生させるには、専門知識と高度な技術が必要とされる。工具の再研削・再研磨は①自分で行う②専門の事業者に依頼する③工具メーカーの再研磨サービスを活用する—といった選択肢があり、自社の状況に合わせて対応できる。主に工具研削盤を用いて行われる。
工具を再研削・再研磨して使うことで、加工品質や加工能率の維持・向上、コスト削減を実現できる。また工具の廃棄を抑えられるので環境にも優しい。さらに通常販売していない特殊な工具を再発注せずとも、再研磨によって工具をカスタマイズすることで、特殊形状や特殊素材の加工も可能となる。
エンドミルや丸鋸(のこ)などの再研磨において、等ピッチから不等ピッチ化するケースもある。不等ピッチは加工時に各刃がワークに接触する周期が不定になることで、びびり振動の抑制などの効果が期待できる。びびりの発生が減るため、速い送り速度で加工でき、生産性向上へとつながる。
スローアウェー(刃先交換)式工具は刃先のチップが摩耗したら新しいものに交換して使用するが、チップを固定するホルダーも繰り返し使用することで消耗・破損する。そうした中、ホルダーを修理するサービスを手がける工具メーカーもある。
コーティング/硬度・耐摩耗性・耐熱性アップ
再研削・再研磨の際にコーティングが加えられることもある。母材となる工具表面に別の材質を蒸着させることで、硬度や耐摩耗性、耐熱性を向上でき、工具の性能アップにつながる。窒化チタン(TiN)や炭窒化チタン(TiCN)、窒化チタンアルミニウム(TiAlN)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などが用いられ、母材やワークとの相性、加工内容に合わせて選択することが大切だ。
工具にはタングステンやモリブデン、コバルトなど高価な希少金属が大量に使われている。希少金属は産出国に偏りがあり、資源の安全保障という観点はますます重要になっている。貴重な資源の有効利用は社会的な意義も大きい。
過度に摩耗した工具は再研磨できなかったり、再研磨量が増えて全長が短くなりすぎたり、再研磨費用が高くなったりすることがある。加工音や加工精度、工具の欠け、切りくずの状態などに日頃から意識を向け、小さな変化があった時点で再研削・再研磨を行う必要がある。またセンサーやAI(人工知能)などで工具の状態を監視し、そのデータを収集・分析して見える化するサービスなども提供されており、これらの活用も有効だ。
