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EUで検討進む PFAS規制 対策と関連技術
有機フッ素化合物の総称である「PFAS」。非常に多くの種類があり、生活用品、産業・工業用品やその製造現場などでは欠くことができない物質だ。その科学的安定性ゆえに自然分解されず、ほぼ永久的に環境に残留するため、「永遠の化学物質」とも呼ばれる。物質によっては環境汚染や人間の健康に対する潜在的リスクが指摘され、規制に向けた動きも出ている。
欧州への輸出に影響
2023年1月、ドイツ、デンマーク、オランダ、ノルウェー、スウェーデンの5カ国から、欧州化学物質規制(REACH)に基づいてPFASの製造や販売、使用を制限する規制案が欧州化学物質庁(ECHA)に提出された。それに対し、同年9月に締め切られた同案に対するパブリックコメント(意見公募)は5642件、10万ページに及び、審議に多くの時間を要している。
もし、PFASがREACH規制の対象になれば、欧州連合(EU)に進出している日本メーカーの産業活動をはじめ、PFASを使用している最終製品のEU向け輸出にも影響が出るため、産業界が動向を注視している。
永遠の化学物質/製造現場・産業に欠かせぬ存在
PFASとは、社会で広く使われている数多くの有機フッ素化合物の総称だ。
1940年代ごろから普及しはじめ、耐水耐油性、熱・薬品に強い、光を吸収しない、非通電性、耐候性、潤滑性、化学的安定性などの優れた特性を持ち、撥水撥油剤、界面活性剤、洗浄剤、表面処理剤、半導体用反射防止剤、金属めっき処理剤、殺虫剤、乳化剤、コーティング剤など、半導体産業、電機・電子・通信、エネルギー、医療機器、洗浄分野などの幅広い分野で使われ、産業に欠かせない存在となっている。
PFASは1万種類以上存在するともいわれ、自然界や体内で分解されにくい性質から「永遠の化学物質」と言われている。
PFASの中でも特にペルフルオロオクタン酸(PFOA)類、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)類はその有害性や難分解性、長距離移動性、高蓄積性などから、国連の残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)ですでに廃絶対象物質に認定されている。
PFOAやPFOSは分解が遅いため、仮に環境への排出が継続した場合、人や動植物へ悪影響を及ぼす可能性がある。日本でも「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」においてPFOSは10年から、PFOAは21年から第一種特定化学物質に指定、施行されている。PFOA、PFOSは化審法に基づき、製造・輸入が原則禁止されている。
PFOA、PFOSの毒性として、動物実験では胎児の発育影響のほか、発がん性、消化管や肝臓への影響、軽度の皮膚刺激や眼への刺激などが報告されている。
PFOSの主だった用途は半導体や液晶ディスプレーのフォトマスク、金属めっき処理剤、写真感光剤、カテーテルや留置針といった医療機器など。一方のPFOAは電子基板や食品包装紙、フッ素ポリマー加工助剤、フローリングなどの建材で使われてきた。
また、消防機関や空港などの消火装置で使用される泡消火薬剤において、法令規制前に製造されたものにはPFOA、PFOSを含有するものもあるが、国が定めた基準に従った厳格な管理が義務づけられている。
しかし、全てのPFASが生体に影響を及ぼすとは認められていない。例えば有機高分子化合物(ポリマー)は構造上PFASに分類されるが、PFOAやPFOSのような生体毒性が確認されているわけではない。
今後、欧州規制がどのような形で検討され着地するのか、産業界が動向を注視している。
ライブ配信セミナー/PFAS規制の最新動向と対応策、想定される代替手段
日刊工業新聞社は、ライブ配信セミナー「PFAS規制の最新動向と対応策、想定される代替手段」を2025年1月22日13時半から17時まで開催する。
フッ素樹脂およびフッ素樹脂コーティングの専門家を講師に迎え、PFAS規制の最新動向から制限案の詳細までを解説する。
WEBミーティングツール「ZooM」を使用するWEBセミナーで、受講料は3万8500円(テキスト代・録画視聴・消費税込み)。申し込み締め切りは25年1月22日13時。問い合わせは日刊工業新聞社西日本支社総合事業本部セミナー係(06・6946・3382)まで。