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応用広がる熱電変換技術
ペルチェ/応答性に優れた精密温調
ペルチェ式冷却技術はコンプレッサーや冷媒を用いないので、配管やラジエーターなども不要となる。機械的には可動部のないシンプルな構造で、運転に伴う振動や騒音が発生しない。電流の向きを切り替えることで冷却にも加熱にも使用でき、応答性がよく高精度の温度制御が可能だ。
これらの特徴から、ペルチェ式冷却・温調は装置にコンパクトさが要求され、かつ①音や振動を避けたい用途②精密な温度制御が要求される用途―などで活用されている。とりわけ局所的な冷却・温調を得意としている。
民生分野ではホテル客室や病室の小型冷蔵庫、車載用クーラーボックス、高級乗用車のシート温調などで用いられている。産業・研究用途では半導体製造装置の温度制御、医学・バイオ工学の生体試料分析装置、オプトエレクトロニクスの電荷結合素子(CCD)受光板やレーザー発振器の冷却など、先端分野で活躍している。
光通信分野では大容量化が進み、データ送受信部の発熱量が増大している。データ変換を担うトランシーバーユニットの冷却に微小なペルチェモジュールが組み込まれている。
新型コロナウイルス感染症で広く知られるようになったPCR検査では、厳密な温度制御下で加熱・冷却を繰り返す操作が行われる。コンパクトな検査装置にはペルチェモジュールによって、ヒートサイクルが行われている。
ペルチェモジュールは温度ギャップや熱の移送量を、目的に合わせて設定できる。温度ギャップを大きくしたい場合は個々の素子を長く(モジュールを厚く)し、熱の移動量を増やしたい場合は素子を短く(モジュールを薄く)することで対応する。性能設計の自由度が高いため、研究用の特殊な装置に適用するための専用設計にも適している。
ゼーベック/排熱回収モジュール 開発進む
ゼーベック効果は環境中の未利用エネルギーから電力を取り出すEH技術の一つとして、広く知られている。機械装置やダクトの熱と雰囲気との温度差、直射日光を受ける部分と陰になる部分との温度差などで発電が可能だ。
IoT(モノのインターネット)実装の広がりの中で、膨大な数のセンサーを用いる提案も数多い。生産ラインの機械やプラント設備の状態監視などを目的としたIoTシステムの提案も活発だ。
その際、センサーと通信モジュールの電源をどうするか。小型電池で対応するとしても、電池には寿命がある。大量のセンサーの電池の管理と交換は新たな労力を必要とする。
ゼーベック効果の利用は、配管内部など光のない環境でも温度差があれば発電できる。電力線の配線や電池交換が不要なこともメリットだ。
センサー駆動などの微小な電力利用ではなく、より高い温度の排熱をエネルギー(電力)回収するモジュールの開発も進んでいる。高温域での耐久性、冷却面での結露対策など、課題の解決が進められ、実用的な製品が登場してきた。ゼーベック発電の応用展開の広がりが期待される。
