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紙・パルプ産業
製紙大手が紙製品や木材繊維(パルプ)の付加価値を向上させて、生活や仕事などさまざまな場面で活用できる商品の開発・販売を強化している。原料となる樹木は再生可能なことに加え、成長過程で二酸化炭素(CO2)を吸収しているためカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に寄与する。持続可能な成長に向けて素材の力を引き出し、新たな市場の創出につなげる。
環境配慮・機能性両立 素材の力で新たな市場創出
王子HD/紙製小袋—ドレッシング包材に
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高いバリアー性を確保した液体食品向け紙製小袋
王子ホールディングス(HD)は液体食品向け紙製小袋を開発・展開している。紙素材を主成分としつつも、酸素や水蒸気に対する高いバリアー性を確保し、環境配慮と機能性を両立している点が特徴。キユーピーのドレッシング包材に採用され、2025年9月から日本航空(JAL)の一部の国際線機内食のドレッシングで順次利用が始まった。
王子HDの製紙技術と、大成ラミックグループ(埼玉県白岡市)のラミネート技術や充填機械製造による包装技術を掛け合わせて開発した。従来の大成ラミックグループのプラスチック製パッケージに比べ、1袋当たりのプラスチック使用量を44%削減、CO2排出量を25%削減したという。
王子HDはこのほか、ネスレ日本(神戸市中央区)やブルボンの菓子の外袋向けなどにも紙袋を展開。海外では紙ベースの環境配慮型の包装資材を生産するフィンランドのワルキを買収するなど、国内外で持続可能なパッケージの製造・販売を強化している。
大王製紙/手のひらサイズ—ウェットティッシュ
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手のひらサイズのウエットティッシュを発売した
大王製紙は手のひらサイズで持ち運びに便利なウエットティッシュを開発し、全国販売に乗り出した。従来の同社製の携帯商品に比べパッケージの体積を約5分の1まで縮小する一方、広げたシートは両手を覆うほどの大きさがあるため汚れをしっかり拭き取れる。コロナ禍の収束に伴って衛生用品の需要拡大は一服したものの、消費者目線の商品展開で市場を開拓する。
発売したのは「除菌アルコール」と「除菌ノンアルコール」、「トイレに流せる」の3種類。
同社の調査では携帯用ウエットティッシュの購入で、持ち運びやすさを重視する回答が45%と最も多かったことを踏まえた。
また、衛生面への不安から「外出先で温水洗浄便座(シャワートイレ)を使わない」という回答は77%に上った。トイレに流せるタイプはシャワートイレを代替できるほか、シャワートイレが使用できない時、手や体を拭く時にも使える。
衛生面が気になる日常のさまざまなシーンに寄り添う商品を通じて需要を掘り起こす。
日本製紙/和紙糸で抗菌・消臭靴下 安全靴向け
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抗菌・消臭機能を持つ和紙糸を使った安全靴用靴下
日本製紙はパルプに銅イオンを結合させた和紙糸「Cu―TOP(シーユートップ)アオ」を使って、抗菌・消臭機能に優れた靴下を開発した。銅イオンの効果により高温・多湿の状況下でもムレやにおいを抑制できる特徴を生かし、工場の安全靴向けなどに展開する。2026年初頭の発売を予定する。
靴下メーカーの助野(富山県高岡市)と共同で開発した。和紙糸が持つ吸水・速乾性を生かしつつ、つま先や踵には丈夫な糸を編みこむことで、和紙糸の弱点であった耐久性を向上させた。
シーユートップアオはこれまで入浴の困難な入院患者用の靴下などで採用の実績があるが、高温・多湿の作業環境が想定される工場の安全靴向けに活用するのは初めて。日本製紙の石巻工場(宮城県石巻市)の従業員が試着しての検証では、70%以上の従業員が従来の靴下よりもムレの改善を実感したという。
また、オペレーションルームや休憩室で気になる足のにおいについては、75%以上の従業員が軽減されたと回答した。今後は災害時の避難所で使える靴下や、医療・介護、スポーツ分野などでの商品展開も検討する。
