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塗装機械と周辺装置
塗装工程は早くから自動化・ロボット化が進められ、効率化と作業環境の向上が図られてきた。近年はカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)や国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成などの社会的課題にも対応している。最適な塗装方法で品質や生産効率の向上を目指すことが、二酸化炭素(CO2)排出量の削減につながっていく。
脱炭素など社会的課題に対応
塗装には主に保護、美装、機能付与の役割がある。塗装されるものは構造物や船、自動車、産業機械、家具、家電製品などさまざまで、塗料や塗装技術にも多くの種類がある。最適な塗装は塗装対象物と求められる条件によって千差万別だ。
塗装機械メーカーでは塗着効率や塗膜品質、操作性の向上、環境負荷の低減、省エネルギー・省スペース化などを追求した製品・技術開発を進めている。近年はカーボンニュートラルやSDGs達成といった社会的課題にも対応する。
日本塗装機械工業会(CEMA)、日本塗料工業会(JPMA)、国際工業塗装高度化推進会議(IPCO)、日本工業塗装協同組合連合会が参画する「コーティング・コンソーシアム(CoCo)」では、2023年に工業塗装事業者を対象として「CO2排出量の意識調査アンケート」を実施した。その結果、約7割の企業がCO2排出量の削減に取り組めていない現状で、その要因として「具体的な取り組み方法がわからない」という意見が多く見られたという。
そこでCoCoでは、「CO2排出削減のためのチェックリスト」(無料)と「工業塗装CO2排出削減ガイダンスブック」(消費税込み1650円、送料別)を作成した。チェックリストは、工業塗装事業者が脱炭素に取り組む際に留意すべき点を網羅。自社が取り組むべき課題がレーダーチャート化される。
ガイダンスブックは工業塗装の設備・装置におけるCO2削減ポイントを簡潔にまとめた。CEMA監修の下、削減ポイントにアプローチした具体的な商品や技術を掲載している。また、その効果についてもわかりやすく説明している。
生産効率・品質向上 CO2削減のカギ
例えば「塗装機器」であれば、CO2削減のアプローチとして「塗料使用量の低減」や「生産効率アップによるエネルギー費の低減」「エア消費量の低減・電動化」などが挙げられる。関連商品・技術として「エアスプレーガン」「静電塗装機」「粉体塗装機」「塗料供給機器」が紹介され、旭サナックやアネスト岩田、IEC、パーカーエンジニアリング、サメス、Binksジャパンといったメーカーが情報提供している。
また「塗装ロボット」であれば、CO2削減のアプローチは塗装ブースの空調やメンテナンスに関わるエネルギー消費の削減となる。このため、塗装機との連携による自動塗装で生産効率を向上させる提案や、コンパクトな塗装ラインに対応する機能を持つロボットの採用などが挙げられている。関連商品・技術として、ABBの「インクジェット型塗装機×ロボットシステム」や、安川電機の「自動塗装ロボットシステム」が紹介される。
このほか乾燥炉、搬送装置、塗料など多岐にわたる塗装工程それぞれの排出削減ポイントがわかるので、チェックリストで浮き彫りになった自社の生産ラインの課題に関連のある工程を確認できる。
CoCoが4月に、塗装業界55社からCO2排出削減のためのチェックリストを回答してもらい平均的な回答としてまとめた「塗装業界における脱炭素化の現状」では、日常的な管理や現場の改善技術は浸透していたが、設備投資や外部組織との連携に大きな伸びしろがあることがわかった。
エネルギー管理(電気やガスの使用量把握)が3・7点、現場技術・改善(塗着効率を上げる現場の工夫)が3・5点と高い水準にある。一方、外部連携(原材料や輸送に関わるCO2の数値化)は1・6点、設備・再エネ(再生エネ設備への投資)は1・7点と遅れている。これにより、自社完結の努力から、外部とのデータ連携やインフラの刷新に踏み出す段階にきていると考察している。
対策として、まずはデータのデジタル化とCO2換算に着手すること、外部連携が必要なスコープ3に関しては取引先にデータ提供を依頼してみることを提案する。また、現場でできる工夫として今ある設備の無駄を省くことに取り組んだ上で、補助金などの活用も視野に入れたエネルギー効率の高い設備への更新を計画することが理想的としている。
CEMA技術委員会が25年に「塗装用乾燥炉の設計における省エネ・安全基準」を策定したことで、25年度補正予算の「省エネ・非化石転換補助金」(設備単位型)から「低炭素工業炉」のメニューに「塗装乾燥炉」が追加された。同補助金は現在、二次公募が終了し、三次公募のスケジュールが決まり次第、環境共創イニシアチブ(SII)のホームページで公表される。
CEMAは1976年に設立以来、塗装機械・設備の普及と向上、業界の発展に取り組み、今年創立50周年を迎えた。
