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工作機械のオーバーホール&レトロフィット(2025年3月)
モノづくりを支える工作機械は“マザーマシン”として産業用機械や輸送機器、電機、機械要素部品など多くの産業で活用されてきた。それだけに国内の製造現場には新旧さまざまな工作機械が導入されており、オンリーワン技術の源泉ともなっている。しかし、こうした機械は長年の使用による摩耗や劣化によって、本来の能力を発揮しきれていないケースが少なくない。こうした機械を修理、改修することで新品同様かそれ以上の価値を提供するオーバーホール、レトロフィットに注目が集まっている。
ビンテージ機 再び活躍
工作機械は高速・高精度加工が可能な5軸加工機や金属積層造形機能を搭載した複合加工機が登場するなど進化し続けている。また、デジタル技術を活用した新たなモノづくりも提案される中で、企業収益を押し上げるには生産性向上や工程集約を実現する最新鋭設備の導入が近道と言える。
一方、国内の生産現場では10年、20年と長期使用したビンテージ機械が生産設備の60%以上を占めると報告されている。こうした機械の有効活用は生産性向上においても重要な課題だ。
また、ビンテージ機械をオーバーホールやレトロフィットする最大の理由として、古くても使い慣れた機械で作業したいというユーザーの思いがある。数値制御(NC)装置を取り替える際でも、操作盤のボタンを元のNC装置と同じ位置に配置するなどの要望が出されることも少なくない。ユーザーにとって操作性を維持しつつ生産性が向上すれば、新たな付加価値の創造につながる。加えて、メーカーがメンテナンスを終了したNC装置を他社製に載せ替えることで、機械寿命をさらに延長することも可能だ。現在でも現場で活躍する名機と呼ばれるビンテージ機械は、最新鋭の工作機械では採算が合わない加工に使用されるケースも少なくない。特定の加工に特化した機械の長期活用が可能となる。
かつて工作機械のオーバーホールやレトロフィットは経済の減速曲面で、買い換え資金に苦慮した結果の選択だった。しかし近年では持続可能な選択肢として、景気の状況に左右されることなく引き合いがあるという。
エノテック/スピンドルの修理、復元 自社・他社問わず対応
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スピンドルを新たにした約30年前の先端専用研磨機
エノテックはチップソー用研磨機や自動ロウ付け機などを手がけるえのきだ(静岡県牧之原市)の製造部門を担う。えのきだが直接顧客に販売するのが特徴で、オーダーメードにも対応。図面さえあれば、古い機械でも注文に応じて新たに製造する。また、販売した機械の修理などもエノテックで受け付ける。
柔軟な顧客対応で信頼を築いてきた両社だが、主要ユニットのスピンドル(主軸)メーカーの廃業に頭を悩ませてきた。主軸は主に砥石(といし)を回転させるのに使用されるが、古い機械では搭載していたメーカーの多くが廃業していた。機械性能を左右する主軸は非常に精密なため、内部の組み付けのわずかな差で精度や耐久年数に大きく差が生じる。同業者でも製造元以外は修理に応じないケースが多い。
しかし大弥精機(静岡県磐田市)は、同社製主軸のオーバーホールやレトロフィットに加え、組み付けなど自社・他社問わずに引き受ける。30年以上前に製造した機械の主軸修理依頼にも対応。同社は修理が可能か、取り換えが必要かを判断し、取り換えの場合はエノテックが保管する図面をもとに新たに作成。必要に応じて改良も提案する。両社の取引は20年以上にわたり、修理にだけでなく、新規のスピンドルの製作依頼をするまでに取引が広がっている。
同社の榎田哲也社長は「大弥精機の技術がなければ、古い機械の修理や、新規受注は受けられない」と信頼を寄せる。
MEMO
事業内容:工業用刃物向け超硬研磨機、研削盤などの開発・製造
所在地:静岡県牧之原市勝俣1589
社長名:榎田哲也氏
電話番号:0548・22・8833
資本金:1000万円
従業員数:23人
設立年月日:1961年3月11日