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新たな価値を提供

　工作機械は高速・高精度加工が可能な５軸加工機や金属積層造形機能を搭載した複合加工機が登場するなど進化し続けている。また、デジタル技術を活用した新たなモノづくりも提案される中で、企業収益を押し上げるには生産性向上や工程集約を実現する最新鋭設備の導入が近道と言える。

　一方、国内の生産現場では１０年、２０年と長期使用したビンテージ機械が生産設備の６０％以上を占めると報告されている。こうした機械の有効活用は生産性向上においても重要な課題だ。

　また、ビンテージ機械をオーバーホールやレトロフィットする最大の理由として、古くても使い慣れた機械で作業したいというユーザーの思いがある。数値制御（ＮＣ）装置を取り替える際でも、操作盤のボタンを元のＮＣ装置と同じ位置に配置するなどの要望が出されることも少なくない。ユーザーにとって操作性を維持しつつ生産性が向上すれば、新たな付加価値の創造につながる。モノづくりの現場ではオーバーホールやレトロフィットで復活した工作機械が活躍している。

スピンドルの保守メンテ 地元メーカーと連携／ショーダテクトロン

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　ショーダテクトロンはガラスなどの脆性材やプリント基板といった加工装置の製造販売を手がける工作機械メーカー。数十年に渡り数多くの納入実績があり、アフターサービスの手厚さも好評だ。機械のオーバーホール時にはスピンドルのケアは欠かせない。そこで重要なパートナーとなるのがスピンドルメーカーの大弥精機だ。

　両社の関係は長く、ショーダテクトロンは大弥精機から２０年以上スピンドルの供給を受けている。特に基板加工機に搭載するスピンドルの一部でメーカーが製造を終えたものもあり、１０年ほど前から大弥精機が代替品を設計し納めている。

　大弥精機はショーダテクトロンの発注でスピンドルの保守・修理を請け負うが、自社製品だけでなく他社製品にも対応する。同社のメンテナンス責任者はそうした大弥精機を「必ず相談に乗ってくれるためとてもありがたい」と頼りにする。長年使い込まれたスピンドルの損耗具合はさまざまだが、大弥精機から断られたことはない。毎月２―３本オーバーホールを依頼し、２週間程度で新品同様になって戻ってくる。両社は同じ静岡県西部にあるため、「急ぐ時は品物を持参することもある」（同）ほどだ。

　これまで納めた基板加工機のうち、現在約４００台が稼働しており、５００本以上のスピンドルを搭載している。「機械が現場で動いている限り、アフター対応に努力する」（同）方針だ。顧客に寄り添う姿勢を貫くためには、これからも大弥精機との信頼関係が欠かせない。

【企業ＭＥＭＯ】
事業内容＝プリント基板加工機や脆性材加工機などの製造販売
所 在 地 ＝浜松市中央区桜台５丁目１の１
社 長 名 ＝庄田 匡宏
電話番号＝０５３・４１４・６１１１
資 本 金 ＝１５００万円
従業員数＝６６人
設　　立＝１９５７年１１月

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レトロフィット機でアルミ押し出し金型製造／澤本製作所

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　澤本製作所はアルミ押し出し形材金型が主力製品。押し出し成形は複雑な断面形状や滑らかな表面仕上がりを得られる。また、アルミサッシに代表される建材や、軽量化が求められる鉄道車両・自動車などの部材生産に欠かせない加工技術だ。

　押し出し成形によって作られるアルミ形材は大きさ、形状などさまざま。数限りないほどの種類になる金型をＣＡＤ／ＣＡＭシステムを駆使して製造するが、同社宇都宮工場では熟練技術者が操る汎用加工機も活躍。汎用旋盤は実に４台が稼働しており、そのうち１台は旧昌運工作所が仏カズヌーブと技術提携して製造した「昌運精密旋盤」だ。高精度で耐久性も兼ね備えた汎用旋盤の“名機”として知られる同機の中古機を三宝精機工業が調達し、完全な部品レベルまで分解して新品同様に組み立て直して販売したリファビッシュ製品だ。

　こうした三宝精機工業の技術力に対する信頼から２０２３年６月、放電加工機用の旧ジャパックス製電極成形機「ＥＭＭ３０」（１９８９年製）のオーバーホールを依頼。同機はメンテナンスができず、使用不能状態だった。三宝精機工業から約半年ぶりに戻ったマシンはレトロフィットによる加工ストローク延長、ＮＣ装置リプレースも施されて進化し、活躍の舞台を広げている。

　月井憲一製造技術部長は「三宝精機工業は修理・メンテナンス体制も申し分ない。安心して仕事をお願いできる」と太鼓判を押す。

【企業ＭＥＭＯ】
事業内容＝アルミ押し出し金型設計・製作、発泡樹脂押し出し金型・その他精密金型設計・製作
所 在 地 ＝栃木県宇都宮市野沢町３７０
社 長 名 ＝澤本 義明
電話番号＝０２８・６６５・０６３０
資 本 金 ＝１０００万円
従業員数＝３４人
設　　立＝１９５７年１０月