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元気な大阪の中小企業48社を選定
「大阪ものづくり優良企業賞」顕彰事業は、全国有数のものづくり企業集積地である大阪の製造業を、「技術」「QCD(品質・コスト・納期)」「財務」「CSR(企業の社会的責任)」の四つの視点で審査し、優れた企業を選定、支援する制度。
大阪府のほか、大阪府商工会議所連合会、大阪府商工会連合会、大阪産業局、大阪産業技術研究所で構成する大阪中小企業顕彰事業実行委員会が実施している。
受賞企業は紹介冊子「大阪の元気!ものづくり企業」に掲載し、大規模展示商談会などの場で広く紹介する。また受賞企業は同賞の象徴である「匠」ロゴマークを使用でき、「元気な大阪の中小企業」として販路拡大やブランド力向上に活用できる。
最優秀企業賞にダイプラ
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「大阪ものづくり優良企業賞2023」表彰式
23年度の最優秀企業賞はダイプラ(大阪市東成区)。1958年に創業した同社は、プラスチックの射出成形加工を事業とし、加工ノウハウや技術を積み上げてきた。
現在では、プラスチックの中でも耐熱温度が150度C以上で加工が難しいスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)の成形を得意とし、直近2年の売り上げの50%以上をスーパーエンプラ成形品で占めるほどの実績を誇っている。
中でも、加工が難しいポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂の取り扱いが多く、その加工には高性能なドイツ製成形機を導入した。多品種小ロット、インサート成形等の高精度・高付加価値の加工体制を整える一方、豊富な実績に基づく設計支援・技術提案サービスを行うことで、製造原価の高さを上回る顧客の利用満足度を高める取り組みをしている。
また、工場をリフォームして良好な作業環境を整え、年間休日129日、有給消化90%以上、残業ゼロ、外部のメンタルカウンセラー導入など、働きやすい職場づくりに積極的に取り組んでいる。
加工の難しいスーパーエンプラにいち早く挑戦し、長年にわたる豊富な実績に基づく付加価値の高いモノづくり、従業員のワークライフバランスへの優れた取り組み、自社の強みを生かす経営が評価された。
技術力部門賞 鴻進テック
技術力部門賞は鴻進テック(守口市)。1986年にプリント回路の片面基板・スルーホール基板の製造で創業した同社は、品質・納期で顧客の要望に応え、信頼性の高い製品を提供してきた。
現在では、片面、両面、4ー10層の多層、特殊構造、放熱用アルミ等あらゆる産業用プリント基板の量産試作の製造を可能とする。設計・製造・実装を一貫して行うことで、1枚から小・中ロットまでの製造や短納期を実現し、顧客の評価を得ている。
短納期で高品質な製造を行うため、最新の精密加工機、検査装置等の積極的な設備導入、熟練の従業員によるCAM編集に時間をかけ、途中や最終検査工程での精度の高い測定を行い、不具合防止や品質向上に取り組んでいる。
また、女性従業員が働きやすい職場となるよう、キャリア形成の確立やフレックスタイムの導入などの改善や社内教育にも取り組んでいる。意欲的な設備導入を図り、電子機器には欠かせないプリント基板技術を常に探求し、技術力を向上する姿勢が評価された。
審査委員特別賞に3社
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「大阪ものづくり優良企業賞2023」交流会
審査委員特別賞は河島製作所(東大阪市)、杉本精機(同)、ユーテック(門真市)の3社。
河島製作所は85年に組立などの内職加工業として創業以来、プラスチック製品のOEM(相手先ブランド生産)や樹脂製フック、スマートフォン専用カバー、トレーディングカード関連サプライ商品などの自社製品で成長してきた。
金型の内製化で、開発から量産までの一貫生産体制を構築。コロナ禍におけるオリジナルマスクの販売では、開発から量産・販売まで約3週間で行うなど短期間で実現した。
自社製品の樹脂製フックは3800種類をそろえる。入子金型(製品部分の金型)の差し替え式を類を見ない組み合わせの数で対応して、多品種かつ低コストを実現した。社内において、各従業員のアイデアを真剣に検討する風土があり、高い技術力で市場ニーズにもスピーディーに対応する柔軟・機敏さが高く評価された。
杉本精機は63年に金属切削加工業として創業以降、ネジ製品やボルト製品を二輪メーカーなどに供給し、チタン、インコネル、ハステロイ等の難材加工も可能とし、手のひらに収まる大きさの製品を得意としている。特にマシニングセンター(MC)への材料の固定を行う金型の工夫で多数個取りを可能にした量産加工を行うなど、コスト低減にも取り組んでいる。
社内システムを駆使して、納期・工程・原価を一括管理しているほか、機械ごとの生産時間など、現場の「見える化」を行い、機械の不調や従業員の長所・短所の把握や改善に積極的に生かしている。
DX化を積極的に進め、原価イコール生産時間の考えによるコストパフォーマンスの実現、女性・高齢者・障がい者・外国人といった多様な人材が能力を発揮するための職場環境づくりも評価された。
ユーテックは01年にトムソン加工を行う事業として創業、射出成形機を使ったフィルムインサート成形品を主力とする。特に大手炊飯器メーカーの炊飯器操作部分のデザインパネルを取り扱ってきた実績を持ち、白物家電や遊技機の加飾部品の取り扱いも行っている。
同社では、印刷から金型製作・成形まで一貫した対応が可能であり、プレス機で加工する際には、デザイン性の高い炊飯器の丸みに合わせたパネルを製造するため、3D形状の金型も自社内で製作している。
また、既存技術を活用し、エアフィルターのフィルターネットをインサート成形で行うなど、顧客の要望を受けた品質の改善提案も行っている。
省人化など社内の合理化を積極的に進めながら、インサート成形の技術を新たなものづくりに挑戦する姿勢が評価され、今回の受賞となった。
夢・未来・ORIST賞(地方独立行政法人大阪産業技術研究所理事長賞)はナガサカ(東大阪市)、知的財産部門賞にはアダプト(八尾市)、ジェイビーエフサプライ(大阪市城東区)、メディカル・エイド(和泉市)、YOOコーポレーション(八尾市)の4社が選ばれた。
メッセージ/大阪中小企業顕彰事業実行委員会委員長 大阪府知事 吉村 洋文
「大阪ものづくり優良企業賞2023」を受賞されました皆様、心からお喜び申し上げます。また、皆様の新たな技術開発への研鑽に対し、心より敬意を表します。
大阪中小企業顕彰事業実行委員会では、大阪の優れた「ものづくり力」を国内外に広く発信するため、「高度な技術力」を有し、「高品質・低コスト・短納期」など、総合力が高い府内の中小企業を発掘して「大阪ものづくり優良企業賞」を授与しています。15回目となる今回は新たに48社を選定し、その累計は948社となりました。
大阪府では、受賞企業等を「大阪のものづくり看板企業『匠企業』」として位置づけ、匠企業紹介冊子である「令和6年版 大阪の元気!ものづくり企業」やホームページに掲載するとともに、東京・大阪等で開催される大規模展示商談会など、様々な機会を通じて積極的にプロモーションを行っています。
いよいよ2025年大阪・関西万博の開幕まで1年余りとなりました。万博は、日本全体への経済波及効果のみならず、世界の多様な価値観が交流しあい、新たなつながりや創造が促進されることで、経済、社会、文化等のあらゆる面において、更なる成長、発展の契機となります。この契機を千載一遇のチャンスととらえ、中小企業の皆様にも万博開催のメリットを実感していただくとともに、大阪経済の力強い成長に繋げていくための取組を全力で推進します。
受賞された企業の皆様には、今後も大阪経済の活性化のけん引役として、大阪府施策も有効に活用いただきながら持てる力をより一層発揮していただくことを期待します。