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大阪・関西特集
JIMTOFに見るーモノづくりの今と未来
第32回日本国際工作機械見本市(JIMTOF2024)が11月5-10日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開かれた。機械業界では国内最大級の見本市で来場者数は12万9018人にも及んだ。出展者数は過去最大となり、関西圏からも多くの企業が出展。省人化や操作の標準化などをキーワードに製品や技術をPRした。
出展者 過去最大 12万人超来場
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住友電気工業が開発した航空機向けCFRP用エンドミル
住友電気工業は航空機向け切削工具で、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)加工用の標準品を出展した。CFRPは航空機の機体パネルに使われる。均一な厚みのダイヤモンド被膜と鋭利な溝が付く二重らせん状の刃先で、CFRPの切り残しを減らす切削工具のエンドミルを開発。片方に浮き上がる力を抑え込む反作用の形状設計で振動も減らす。航空機エンジンの素材用には、チタン合金との化学反応を抑え溶着しにくい被膜の旋削用工具を開発した。
航空機向け以外も、簡易な工具取り換えや切削剤不要などの新製品を投入する。刃先を装着する先端部を容易に交換できる旋削用工具は、取り付け位置も高精度に保つ。
IDECは「製造工程間における、人と機械が安心して協働できる労働環境」をコンセプトに出展。工作機械や自律移動ロボット(AMR)など向けでは、非常停止用押ボタンスイッチを遠隔操作できるアシストシステムを展示した。「大型機械などは直接人が押しに行くと事故が起こりやすく、安全性向上の面からニーズが増えている」(西口徹弥メディアプロモーションチームリーダー)と手応えを示す。
また、台車に取り付けるだけで簡単に電動化できる車輪「電動アシストホイール」は、実機を用いて実際に200キログラムの重量物を簡単に動かせる実演を行い来場者を引きつけた。
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神崎高級工機製作所の出展ブース。前方にあるのがギアホーニング盤「FX260」
神崎高級工機製作所(兵庫県尼崎市)は、従来は鋳物を使っていたベッド(土台)に鉱石と樹脂の複合材料「ミネラルキャスト」を採用した歯車研削盤「GX150」とギアホーニング盤「FX260」を出展した。
機械の振動や加工対象物(ワーク)の熱変位を抑え、加工精度の向上や、砥石(といし)のランニングコストを低減する。また操作盤にはタッチパネルを採用し、ベテランではなくてもワークの加工設定などを直感的に操作しやすい点をアピールした。「加工が難しいギアが増える中、経験値に左右されない機械の需要は高まっている」(北剛志工機技術部部長)とし、国内外への展開を目指す。
省人化ニーズに応える
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研削機能を搭載したオーエム製作所のCNC立型ターニングセンター「VTLex1100M」
オーエム製作所(大阪市淀川区)は、新たに研削機能を搭載したコンピューター数値制御(CNC)立型ターニングセンター「VTLex1100M」を初出展した。切削後にワークを取り外して研削機に移す手間を省き、加工時間を短縮する。また高精度自動パレット交換装置(APC)でパレットの振れ精度を0・01ミリメートル以下と従来機の半分以下に抑えた。「1台で多くの工程を実現し省人化、無人化のニーズに応える」(上田裕亮取締役)。
展示では、従来から取り組む刃物への切りくずの巻き付きを防止する機能「AI切粉検知システム」を紹介。切りくずが出やすいベアリング加工や建設機械の旋回機向けで採用実績があり、機械の短時間停止の削減に貢献する。
野村製作所(大阪府岸和田市)は、最大貫通穴径が52ミリメートルの中空エアシリンダーの新製品を紹介した。46ミリメートルが最大だった従来機と外径を変えていないため、既存のNC(数値制御)旋盤の主軸部を付け替えるだけで大型のバー材加工が可能になる。設置スペースやコストを考慮し、既存機での大型部材を加工する需要に応える。併せて、小型旋盤向けの、逆止弁防止機能を内蔵する中空エアシリンダーを紹介。「特殊な仕様に細かく対応することを強みとする」(松本博文専務取締役)出展製品が目立った。