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大阪・関西特集
「リボーンチャレンジ」441社名乗り
中小・ベンチャー・スタートアップ躍動
2025年の大阪・関西万博で、中小企業やベンチャー、スタートアップにとって参加の機会となるのが大阪ヘルスケアパビリオンで行われる「リボーンチャレンジ」。同パビリオンの展示・出展ゾーンの一角に特設ブースを構え、商工会議所や地方自治体、金融機関、大学などが実施主体となり、それぞれでテーマを設けて週替わりの共同展示を行う。
週替わりで共同展示
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大阪ヘルスケアパビリオン内の、リボーンチャレンジのブース配置予定の一角
リボーンチャレンジは展示期間が短いものの、単独での出展が難しい企業でも全世界からの来場者がいる万博での展示が可能な仕組みとあって、出展を希望する多くの企業が名乗りを上げた。半年の開催期間の参加企業は計441社に上る。
そのテーマはさまざま。万博のテーマが「いのち輝く未来社会のデザイン」であることから未来の医療や心身の健康、スマートヘルスケアなどの切り口で「健康」に関わる企業が集う週は多い。また「未来社会の実験場」という方針を踏まえ、人工知能(AI)やメタバースなどを活用する未来のデジタル技術や生活スタイル、観光産業などの提示、学術・研究との融合、町工場による未来のビジネスなどもみられる。
さらに国連の持続可能な開発目標(SDGs)を踏まえ、環境課題を解決する素材や技術、脱炭素、働き方、ボーダーレス、DEI(多様性、公平性、包括性)などの社会問題に向き合うテーマもある。これらのテーマに挑戦するリボーンチャレンジの出展予定事例をいくつか紹介する。
展開テーマは多種多彩
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ボタンとおみくじを組み合わせる方針の島田カネエム工業社長
カネエム工業(大阪府八尾市、島田真輔社長)は、25年9月16ー22日に八尾市が実施する「まちこうばのエンターテインメント」のテーマの週に出展。文字をプレス機で刻印した自社製品のアパレル用ボタンを日本の文化のおみくじと組み合わせて紹介する。金、銀、銅にメッキ加工した3種類のボタンに、大吉・中吉・小吉の結果と10数文字の文言を刻印したものをおみくじとする。ワークショップでは引いたおみくじを布生地などにハンマーなどで打ち付けて固定する作業を体験できる。
国内で2社だけのジーンズ用ボタンメーカーで小物金属への刻印と色加工が強み。だが「会社を知ってもらわないと商談や採用活動の土俵に上がれない」(同社経営企画室)と国内外の認知度向上を図る。
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万博グッズをつけ、3Dプリンターで作った人工骨を紹介する寺内大阪冶金興業社長
大阪冶金興業(大阪市東淀川区、寺内俊太郎社長)は、同年10月7ー13日の大阪商工会議所と大阪信用金庫の「身近な課題や世界のお困りごとを大阪の町工場が解決します!」をテーマとする週に出展する。再生医療に貢献できるチタン製人工骨を人体の部位別に展示する計画だ。
金属熱処理業を中核とする同社は、新規事業で3Dプリンターの可能性に着目。三木工場(兵庫県三木市)にドイツ製金属3Dプリンターを導入し、生体適合性の高いチタンで人工骨を製造する。これまでチタン合金粉末から下顎固定用プレートと椎間ケージ板を製品化し、今後は全身の骨の再生を狙う。「高齢化社会を見据え、患者一人一人に合う人工骨の製品化を目指したい」(寺内社長)と構想を練る。出展を通じ若い人へも刺激を与えたい考えもある。
ユニオン(大阪市西区、立野純三社長)は、同年7月8-14日に大阪産業局が行う「国境・垣根・時代・カベを越える技術展」で「心で開く未来のドア」を出展する。ビル建築向けドアハンドルの国内トップメーカーが、感染症対策にもなる未来のドアハンドルに挑戦する。裸眼で空間に立体的な映像を浮かべる「3次元ディスプレイ技術」と、物に触れず触感を再現する「ハプティクス技術」を融合。「あたかも触っている感覚があり、非接触でドアを開ける体験が可能」(立野社長)という。
1970年大阪万博ではデザイン性の高いドアハンドルを多くのパビリオンに提供した。今回の万博でも国内外へPRを狙う。