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都心部再開発のつち音響く
インバウンド拡大で活気戻る
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ドローンショー・ジャパンと2025年日本国際博覧会協会共催で行われたドローンショー。夜空に描かれたミャクミャク
大阪では未来への都市づくりに向けたつち音が響く。大阪駅前の再開発は完成に向け急ピッチで工事が進み、万博会場の夢洲(ゆめしま)でも工事は佳境に入った。インバウンド(訪日外国人)の増加で活気を取り戻した大阪だが、都心の再開発や2025大阪・関西万博開催により、グローバル競争力を持った産業が再び地域経済をけん引していくことが期待される。
大阪の街中で外国人旅行者の姿が当たり前となり、コロナ禍前の観光の勢いが完全に戻った。関西国際空港の外国人旅客数は2023年度、1501万人に達し、その数は18年度の1552万人に次ぐ。さらに開催を間近に控えた24年度は、この記録を大幅に超えることは間違いないだろう。万博では半年間の期間中、約350万人の訪日外国人が来場すると想定されているため、25年度もインバウンドのさらなる増加が確実視される。
インバウンドの拡大は万博と相まって、消費活動など直接的な経済効果が見込まれる。しかし、それ以上に期待されるのは、産業への波及効果だ。本格的な万博としては55年ぶりの大阪開催。これを契機に、健康・医療産業やデジタル変革(DX)、グリーン・トランスフォーメーション(GX)、自動運転や空飛ぶクルマなど次世代モビリティーといった新しい産業に、関西産業界がどう取り組むかが注目される。中小企業やスタートアップにとっても、万博は世界に自らを発信する大きな機会。大阪ヘルスケアパビリオンには377社が出展することが決まっている。
スタートアップ、ディープテック武器に
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大阪駅の玄関口も再開発が進む。都市開発の大きな転換点に -
9月の先行まちびらきに向け、工事が急ピッチで進む「グラングリーン大阪」
スタートアップの活躍も期待される。関西には京都大学や大阪大学といった理系に強い国立大学が立地し、高度な科学的知見に基づくいわゆる「ディープテック」を武器にしたスタートアップも数多く見られる。例えば、阪大発スタートアップのEX-Fusion(エクスフュージョン、大阪府吹田市)はレーザー核融合の商用炉開発に取り組む。メトロウェザー(京都府宇治市)は京大発で、目に見えない空気の流れをリアルタイムに可視化する風況計測装置を開発する。ドローン(飛行ロボット)運航には不可欠の技術だ。
大阪では9月、総面積が約9万1150平方メートルに及ぶ大型再開発プロジェクトのうめきた2期地区「グラングリーン大阪」が先行まちびらきとなり、大阪駅前の都市開発が大きな転換点を迎える。全体まちびらきは27年に予定し、大型ターミナル駅に直結する都市型では世界最大規模(約4万5000平方メートル)となる公園が誕生。オフィス街の淀屋橋でも、大阪のメーンストリートである御堂筋をはさんだ東西で高さ150メートルと135メートルの再開発ビルの建設が進み、25年に相次いで完成する。大阪の都心がその姿を大きく変える中、次代の関西を支える企業が次々と登場することが期待されている。