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岡山県特集
岡山県は優れた技術や製品、サービスを有し、全国区のブランドへと成長する企業が多い。大きな災害の少ない恵まれた土地柄で「晴れの国」と呼ばれる。近畿地方から近く、瀬戸大橋をはさんで四国をにらむ拠点性から、工場や物流の立地が相次いでいる。そんな岡山県の今を紹介する。
地域・企業の魅力発信強化
人口減・少子化対策に全力
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岡山県知事 伊原木 隆太 氏
―岡山県の魅力を教えてください。
「県内総生産に製造業の占める割合が全国平均を上回るモノづくり県だ。水島コンビナートを中心に石油や化学、鉄鋼、自動車関連など多彩な産業が集積している。脱炭素社会の実現に貢献する電気自動車(EV)や風力発電設備用鋼板なども生産している。また、コンビナートの脱炭素化を進めるため、電炉への転換、二酸化炭素(CO2)再利用の実証実験など2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けた取り組みが実施されている」
―企業同士、企業と大学など連携によるイノベーションの推進も重要です。
「カーボンニュートラルの流れに対応するため、県内サプライヤーで構成する『岡山県自動車関連企業ネットワーク会議』を通じた企業間連携が進んでいる。また、企業と大学とのイノベーション創出の取り組みも活発になってきた。本県には岡山大学、岡山県立大学、岡山理科大学など理系学部・学科を擁する大学が多数存在する。総合相談窓口である『岡山県 企業と大学との共同研究センター』、イノベーション創出プラットフォーム『OI-Start(オーアイスタート)』もある。大学の知とモノづくり産業の集積を融合する産学官連携の取り組みを進めている」
―26年に重点的に取り組むテーマを教えてください。
「現下の最大の課題である人口減少問題、とりわけ少子化対策に引き続き全力で取り組む。人口減少対策として女性や若者の県内への還流と定着に向け、25年の取り組みをさらに充実させる。民間企業とも連携を深め、女性や若者にとって魅力的な地域、職場づくりを全庁一体となって推進する。本県に住むこと、働くことの魅力について情報発信を強化していきたい」
―産業振興ではどのような施策を展開しますか。
「スタートアップやベンチャー企業の成長支援、中小企業の新技術や新製品の研究開発促進、経営革新や生成AI(人工知能)をはじめとしたデジタルツールの活用による生産性向上など、企業の稼ぐ力の強化に取り組む。県としては新事業への挑戦やデジタル化による生産性向上など意欲ある中小企業などを支援し、地域経済の活性化を図りたい」
―現場では人手不足が大きな課題です。
「県内企業の魅力発信に努め、IJUターンを含めた県内就職の促進に取り組んでいる。『おかやま就活サポーター』の活躍の場の拡大、合同企業説明会や就職面接会の開催、オンライン中継による県内企業の職場見学ツアーなども行っている。25年11月開催の『おかやまテクノロジー展2025』は220の企業・機関が出展し、過去最高となる1万3392人が来場した。また、高校生なども2493人が来場し、大いに盛り上がった」
岡山県・アイリスオーヤマ 防災などで包括連携
岡山県とアイリスオーヤマ(仙台市青葉区、大山晃弘社長)は、防災を含む災害対策、県産品の販売促進による産業振興など広範囲な分野で相互が協力する包括連携協定を、1月22日、結んだ(写真)。
締結式は岡山県庁で行われ、は伊原木隆太知事と大山健太郎会長が出席した。伊原木知事は「とても心強い」と期待を寄せた。一方、大山会長は「お互いが協力して岡山の発展に尽くしていきたい」と述べた。
アイリスオーヤマが中国四国エリアにある県との間で包括連携協定を結ぶのは初めて。
2027年に一部(物流棟)が竣工予定の岡山瀬戸内工場が立地する岡山県瀬戸内市とはすでに同協定を結んでいる。岡山瀬戸内工場ではパックごはんの生産を計画している。3期に分けて完成する。
カーツ/防衛装備品の国産化の一端に
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無人航空機(胴体後方に同社のエンジンユニットが搭載)
カーツ(岡山市東区、勝矢雅一社長)は、「あくまでもエンジンにこだわる」の経営理念のもと、無人航空機用の「エンジンと制御システム(エンジンユニット)」による防衛産業への参入を目指している。
無人航空機の多くはモーターによる電動式で駆動し、航続距離は数十キロメートルだが、エンジン式の場合は約1000キロメートルの航続距離、10時間以上の飛行時間が要求される。また、配備される部隊や用途によって使用燃料や飛行高度が異なるため、エンジンユニットはオーダーメードに近い専用設計が求められる。ここに、同社は大きな勝機があると捉える。大量生産と違いオーダーメードに近い開発、生産となると、中小企業独自の戦略に加えて、培われた技術を発揮できると強く確信する。
防衛装備品においては限りなく国産化が目標とされ、同社のもうひとつの経営理念が「メイドインジャパン」だ。国産の自社エンジンで、国防の一端を担うことを目指している。
オカネツ工業/杜の街プラザでアイス専門店
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キャプション:杜の街プラザでアイス専門店
オカネツ工業(岡山市東区、池上健太郎社長)は、自社製品の業務用アイスクリームブレンダー「BJ」を使ったアイス専門店「AOBA(あおば)」を岡山市北区の商業施設である杜の街プラザ1階に移転し、昨年12月6日に業務を始めた。100%子会社のオカネツコマーシャルカンパニーが運営。あおばが販売するアイスは岡山県北部の蒜山(ひるぜん)高原で育ったジャージー牛から搾られたジャージー乳100%と、冷凍した岡山県産の食材を混ぜ合わせせる。食材は農家から直接仕入れた新鮮な果物や野菜を使用し、規格外品を含む仕入れにより農家の収入安定と食品廃棄の削減を支援している。
同社は無線操縦の草刈り機「AIRAVO(アイラボ)」やAI(人工知能)搭載の自律走行草刈り機など自社ブランド製品に注力し、作業者の現場負担軽減を重視している。
こうした中、BJは農機具で培った技術を生かし開発し、産業機械用モーターで硬い食材も簡単に粉砕する。あおばはBJを紹介する旗艦店となる。
明大/高耐荷重の製品に注力
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ロックスリング ソフターTNを使用した重量物の運搬
明大(岡山県倉敷市、小河原敏嗣社長)は、原糸を調達し撚糸(ねんし)から製織、延伸、縫製、検査、出荷まで国内の自社工場で一貫生産体制を整える。さまざまな材料を組み合わせて縫製することで作業内容に合わせた多様な提案を実現。超重量物や長尺物の荷役用製品も提供可能だ。また設備投資で増産体制の強化と短納期化を進めている。
同社の高強力アラミド繊維による「ロックスリングソフタ―TN」は、強さと柔らかさ、軽さを実現した超重量用ソフトタイプの繊維スリング。
さらに、標準玉掛け用ベルトスリング「ロックスリングシグマ」は、日本産業規格(JIS)の最上級グレードⅣ等級に対応している。これはⅢ等級の製品と比較して、同じベルト幅でも最大使用荷重が約25%大きい。優れた耐久性により“重量物でも安全”な玉掛け作業に適しており、作業効率の向上、作業者負担の軽減に貢献する。現在は超重量物用の製品開発にも力を入れており、洋上風力発電市場などの新しい需要を取り込む。
タカヤ/自律型RFIDリーダ ICタグで実績収集
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カラー液晶タッチパネルを搭載し、操作が容易
タカヤ(岡山県井原市、岡本龍二社長)RF事業部は、ICタグ実績収集用タッチパネル端末を3月に市場投入する。インターネット接続環境があれば自律型RFIDリーダとして機能し、「誰が」「いつ」「何を」行ったかの実績を簡単に「読み取り」「確認」「送信」までを現場で完結する。
クラウドサービス「タカヤIoTプラットフォーム」と連携することで、タグデータのクラウド蓄積から可視化までをワンストップで実現。タグを貼付した指示書を端末で読むだけで、全工場のリアルタイムな作業データを自動で収集できる。
また読み取り枚数が画面に表示されるためヒューマンエラーによるデータ収集漏れも防止する。煩雑なデータ入力や手作業による記録、データ活用の遅れといった課題を解消。収集したデータは工程のボトルネック把握、原価・生産コスト管理の精度向上などに活用でき、現場の生産性向上とDX(デジタル変革)の推進を支援する。かんたん設置、かんたん運用で導入時のテストもスピーディーに進めることができる。
実装基板検査装置拡大
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フライングプローブ式実装基板検査装置「APT-T400J」
タカヤ(岡山県井原市、岡本龍二社長)産業機器事業部は、実装基板向け検査装置の新製品「APT—T400J」を発売した。長年培ってきたフライングプローブ方式の技術を継承しつつ、ハイエンドモデル「APT—2600FD」と比べて導入しやすい価格帯を実現し、新たなユーザー層の開拓を目指す。
治具式検査装置では基板ごとに専用治具の用意が必要で、設計・製作や保管にかかるコストが大きな負担となっていた。一方、この装置は複数の接触式プローブを高速かつ独立して制御し、基板上の各部品へ的確にコンタクトすることで、導通や抵抗値などの電気特性を測定する。プローブ動作はソフトウエアで制御され、多品種・少量生産にも柔軟に対応できる。
新製品は四つの稼働軸を搭載。うち2軸は傾斜型プローブ、残り2軸は傾斜型と垂直型を切り替えられる構成とし、高密度実装にも対応する。基板への負荷を抑えるため、プローブの降下速度は19段階で調整可能。また、外観検査やバーコード読み取りに活用できるカメラも備えている。
ナガセヴィータ/3年連続、プラチナ評価獲得
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エコヴァディスのサステナビリティ評価「プラチナ メダル」
ナガセヴィータ(岡山市北区、万代隆彦社長)は、仏エコヴァディス社のサステナビリティ調査で評価対象企業のうち上位1%以内にあたる最高位の「プラチナ」評価を3年連続で獲得した。
エコヴァディスは185カ国以上の国で、250以上の業種、15万社以上のサプライヤー企業の持続可能性を、独自の審査と分析によって客観的に評価する、信頼性の高い共同プラットフォーム。
今回は特に「労働と人権」「倫理」「持続可能な資材調達」の各分野のスコア向上が評価された。
この実績はナガセヴィータが、サステナビリティのグローバルスタンダードにおいて一貫して高い水準にあることが示された。同社のパーパス(存在意義)である「生命に寄り添い、人と地球の幸せを支える」という実現に向け、バイオテクノロジーで社会課題の解決に取り組み、今後も強みを生かした素材とソリューションの提供を通じ、新たな価値を創出していく。
中国銀行/自動車産業支援チーム設置
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自動車産業支援チームは中国銀行本店内に設置
中国銀行は今月2日、「自動車産業支援チーム」を本店内に設置し、自動車産業支援の取り組み強化をスタートさせた。岡山県内には三菱自動車が主力工場である水島製作所を構え、板金やプレス、切削、表面処理、鋳造・鍛造など自動車産業に携わる多くのサプライヤー企業が集積する国内有数の拠点。自動車産業が与える地域経済の効果は高く、存在感を強めている。
こうした背景の中、自動車業界はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)などの変革期を迎え、支援チームはサプライヤーの持続性向上に向けた重要な役割を担う。企業が抱えるさまざまな課題のほか、技術や生産面にも注目してヒアリングしている。こうした情報の整理やサプライチェーンの全体像の把握を行い、ビジネスモデルを構築する方向だ。同行は「優秀な技術を保持する企業が多く、企業や地域に寄り添うコンサルタントを目指す」と意欲を示す。公的機関や自治体との連携を視野に入れ、第一歩を踏み出した。
テクノス/新工場で航空・防衛産業を開拓
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6月に一部が稼働する鳥取新工場
テクノス(岡山県総社市、藤井範之社長)は、2026年に鳥取市に新工場を竣工し、6月に一部を稼動させ、航空産業や防衛産業の開拓を目指す。航空宇宙・防衛産業の品質マネジメント国際規格「JISQ9100」認証の取得を予定する。
同社は半導体製造装置やFPD(プラット・パネル・ディスプレー)製造装置に加え、農機具、産業機械部品などの分野に部品を供給。材料調達から機械加工、表面処理までを一貫して行っている。岡山県だけでなく九州や近畿、関東地域など国内全域で取引先を広げ存在感を高めている。
こうした中、グループを含めて5工場目となる鳥取新工場を稼動させ、受注拡大を目指す。マシニングセンター(MC)を新たに複数台導入し、航空機など最先端産業における高付加価値の大型精密部品加工を短納期で納品する延べ床面積は約5300平方メートル。6月より稼働を始め、自動化による生産性向上を視野に入れる。
両備システムズ/バース入退場管理で物流効率化
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タブレット端末でバース入退場管理を見える化
両備システムズ(岡山市北区、松田敏之社長)は、製造業や物流業向けにトラックの待ち時間を約20%削減するバース入退場管理システム「R-LOGI for Truck Berth(アールロジ・フォー・トラック・バース)」で物流効率化を提案している。トラック運転手の労働時間規制強化や運転手の高齢化などの課題を背景に、荷待ちトラックの時間短縮や人手不足解消に貢献する。
また、荷数やパイプなどの数量確認時間を、監視カメラとAI(人工知能)で分析することで約20%時間短縮できる同社のカウントツールと組み合わせることで、最大60%の時間削減を実現できる。
この入退場管理システムは、トラックバースの入退場を管理し、各作業工程の業務時間をタブレット端末で進捗確認ができる。IPカメラもしくはセンサーの画像をAIで解析し、自動検知することでオペレーションロスを抑制できる。さらに、クラウド活用による複数拠点の監視業務など継続的な業務改善を支える。
