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オフィス環境改革
国内のオフィス市場ではテレワークが減少し、対面重視の“オフィス回帰”が一段と鮮明になっている。在宅勤務と出社のハイブリッドワークが定着し、企業はオフィスに従来の「事務作業をする単調な場所」から「目的を持って集まり、交流したり快適さを実感したりできる空間」を求め始めている。また経営者は職場環境を、人的資本投資の対象として見直しつつある。労働力人口減少の中、業務効率や組織間連携、創造性、モチベーションなどを高められる職場環境を提案する各社の動きを追った。
オフィス環境改革
ヤマハ/音響システムソリューション 遠隔会議・授業 快適に
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音響システムソリューション「ADECIA」を導入した室内
ヤマハは遠隔の会議や授業に最適なマイクロホン・スピーカーを一式導入できる音響システムソリューション「ADECIA」の新製品を発売した。天井設置型スピーカーシステム「VXC2P」と、マイクのミュートボタンとして機能するコントローラー「CTL-BN1」を追加。遠隔の会議や授業用の設備導入検討者に向けて訴求する。
VXC2Pは音声接続と電力供給が1本のケーブルで可能な天井設置型のパワードスピーカー。価格は9万9000円(消費税込み)。160度の広い指向角度で、従来のラインアレイスピーカーと使い分けることで「部屋を分けて使う」「広く使う」など柔軟にレイアウト変更できる。
また、室内に設置したマイクと組み合わせて補助的な拡声にも使え、話者の声が届きにくい部屋でも音を届けられる。ネットワーク規格「Dante」とPoE(イーサネットによる給電)動作に対応し、LANケーブルでPoE対応のL2スイッチと接続するだけでシステムを構築できる。
CTL―BN1は、ミュート専用・有線式ボタン型コントローラー。価格は5万5000円(同)。会議のミュートボタンとして使用し、離れた天井にあるマイクのオンオフを手元で切り替えられる。サードパーティー製品の最大同時コントロール数は5台。
ADECIAは使用環境ごとに複数ラインアップを用意。このうちマイクを机上に置かない「ADECIAシーリングソリューション」は、このほど米マイクロソフト「チームズ」と米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ「ズームルームズ」の認定を取得した。VXC2Pを搭載した同ソリューションは大規模な会議室に均一な拡声音を届け、システム全体で高品質な音声会議環境を実現する。
新晃工業/1台で空調+外気処理 ヒートポンプ式で付加価値
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ヒートポンプ空調機シリーズ「オクージオ」
オフィス環境の改善を語る上で、なくてはならないのが空調だ。空調には働く人の快適性に加え、ビル管理の観点からメンテナンス性の良さも求められる。オフィス消費電力の中で最も大きい割合を占めることから、二酸化炭素(CO2)排出削減の観点からも、空調設備の見直しは有効な手段となる。
セントラル空調機で業界をリードする新晃工業は、従来の水方式空調機だけではなく、ヒートポンプ方式空調機にも注力している。
一般的なパッケージエアコンは、外気処理能力が不足することが多く湿度調整能力も限定的で、外気導入や加湿に別の補助機器を入れることも少なくない。近年の気候変動に伴い、日本各地で最高気温が上昇しており、従来の方式では適切な外気処理が賄えず、室内空間が快適と言えない環境に陥る可能性もある。
同社の「ヒートポンプ空調機Ⅱ」は、快適な温度コントロールと十分な外気処理能力を備える。梅雨時の除湿や冬季の加湿も、より細やかな制御が可能だ。1台で外気処理に加え、室内空調もできるため、パッケージエアコンに比べ設置台数を少なくでき、メンテナンス作業の省力化にもつながる。また、オフィスビルは収容人員によってCO2濃度や熱負荷が大きく異なるが、同製品は風量調整範囲が広く、風量制御が細かくできるため、電力消費を抑制できる。
設置スペースが屋内にない場合や、工事期間を短くしたい場合は、ヒートポンプ空調機シリーズ「オクージオ」が適している。屋外設置ができるため機械室を必要とせず、空調機本体と室外機が一体で冷媒配管工事や試運転が不要。工期短縮、施工費削減を実現する。
同社のヒートポンプシリーズは汎用品にはない「+α」の価値を提供することで、オフィス環境の改善に貢献する。
元旦ビューティ工業/屋根に軽量エコパネル 工場・倉庫を効率空調
近年、夏の酷暑下で働く人々の熱中症対策が重要視されている。 特に工場や倉庫では、天井が高く空間が広いため空調を効果的に効かせることは難しく、施設内の温度上昇は深刻な課題だ。
中でも金属板を波形に折り曲げた折板屋根は熱を受ける表面積が広く、谷間に熱がこもりやすい形状のため、直射日光を受けると屋根表面温度が80度Cを超えることもある。
従来の折板屋根の断熱改修工法は、既設の屋根全体にグラスウール断熱材を敷設し、その上に新たな折板屋根を施工する。築年数のある建物の場合は屋根の重量が懸念されるほか、通常の屋根工事と同じくらい大掛かりとなり、工期もかかってしまう。
元旦ビューティ工業が開発した新工法「元旦エコパネルシステム」は、高い遮熱効果がある軽量なエコパネルを、既設の屋根にアルミ製金具で固定する仕組み。
フラット形状のエコパネルは日射を受ける面積が小さくなり、日射熱の侵入を効果的に防ぐことができる。さらにガルバリウム鋼板のパネル表面に防眩(ぼうげん)加工を施して周辺環境への配慮も行っている。
エコパネルの設置工事は、同社独自の落下防止装置 「バリヤネット78」を使用。建物全体への大掛かりな仮設足場を必要としないので、狭スペースでも施設の稼働に影響なく工事を進めることができる。
また屋根全体ではなく、事務所の真上など遮熱が必要な部分のみに設置も可能。ビス止めなど屋根に穴を開けないため漏水の危険性がなく、撤去も容易にできるため賃貸物件の施設も導入可能だ。
軽量設計で建物にかかる負担を抑えるとともに、一般的な屋根の断熱改修工事と比べて工期短縮と低コストを実現する。
大気社/ダクト接続で空間除菌 LED照射、安全な空気供給
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空間除菌システム「Airaiser(エアライザー)」
コロナ禍以降、室内の空調システムに注目が集まっている。人が密集しやすいオフィスや病院、工場、高齢者施設などではインフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染リスクが高まることから、安全で快適な空気環境を確保するために、定期的な換気や空気環境の浄化が求められている。
大気社が開発した「Airaiser(エアライザー)」はダクト接続型の空間除菌システム。装置内部は除菌力の高い深紫外発光ダイオード(LED)と光触媒フィルターを含めた3層のフィルターで構成される。同製品を天井隠蔽(いんぺい)型パッケージ空調機や送風機に取り付け、通過した空気に深紫外LEDを照射することで、細菌やウイルスを除去。さらにカビの発生を抑制することで、浄化された空気を室内に供給する。
天井裏に取り付けることができるため、設置スペースを取らずオフィスの内観に影響を与えない。また、大風量の処理が可能なため広いオフィスや商業施設などでも効果を発揮する。
従来の空間除菌システムは光源に低圧水銀灯など水銀を含む深紫外光源を用いることが一般的だったが、同製品は水銀フリーの光源を採用しているため環境負荷が低く、安全に長期間使用することができる。
装置本体に駆動部を持たず使用時に騒音が発生しないため、静かなオフィス空間を実現する。プレフィルターと中性能フィルターの交換頻度は年1回、深紫外LEDは4―5年に1回で、それぞれ空調設備のフィルター交換と同時に作業を行えるため、メンテナンスが容易でランニングコストを抑えることができる。
空調機の風量に応じて三つのラインアップを用意する。現在、2026年の量産開始に向けてマーケティングを進めている。
内田洋行/オフィス利用 見える化 人・場所 スマホで瞬時に把握
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建物設備とICTをつなぐ「スマートビルディングインテグレーション」の展示
オフィスニーズが多様化し、社員が仕事の目的や内容に合わせて働く場所を選択できるようになった。その一方、社員同士でコミュニケーションを取りたいとき、どのフロアにいるのか探すのに手間取ったり時間がかかったりするなど、円滑なコミュニケーションに支障を感じる企業が増えている。また、多様な働き方を実現していく上で、利用状況を把握する必要も出てきている。
デジタルとリアルを組み合わせたハイブリッド・ワークプレイスを積極的に提案してきた内田洋行では、既存のWiーFi(ワイファイ)環境を活用して社員の居場所を知ることができる「スマートオフィスナビゲーター」を提案する。
スマートビル推進部の大矢訓寛課長は「2024年1月に光学・電子機器メーカーのオリンパスが、東京都八王子市に移転した新本社で同ソリューションが採用された」と話す。
新本社は本社機能と開発機能を集約しており、約6500人規模のオフィスで会議室をはじめ、さまざまな利用状況を可視化できるプラットフォーム(基盤)を構築。スマートフォンで社員の居場所や利用可能な会議室を瞬時に探すことができるようになった。
また、空調、照明、セキュリティー、エネルギー管理など、さまざまな建物設備と情報通信技術(ICT)をつなぐソリューション「スマートビルディングインテグレーション」により、新築のみならず「既存のオフィスビルを最新のスマートビルへと進化させることが可能」(大矢課長)。
オープンテクノロジーにより、メーカーを問わず各設備を接続することができるため、既存ビルでも後付けで設備の一元管理ができるようになる。
このほか、AI(人工知能)による温度ムラを解消する空調制御やAI搭載カメラによる監視業務の効率化など、エネルギーコストの低減や建物管理者の負担軽減などに貢献する。