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オフィス環境改革
全てのオフィスワーカーが効率よく、また快適に仕事をできる環境とは―。近年、オフィス環境は大きく変化している。効率化、可変性の高さを追求したオフィス設計を基軸に、感染症対策を視野に入れた動線、テレワークやサテライトオフィスにまたがる社員間の円滑なコミュニケーション。もちろん、地球環境負荷低減を目的とした省エネ設計も欠かせない。タスクを円滑に処理しながら、全方位で負荷のかからない職場環境を提案する、各社の動きを追った。
ワーカーも環境も快適に
【内田洋行】オフィス利用状況見える化 能力・創造性の向上加速
進む多様化と同時に、社員同士の結束感を高めて必要な情報を引き出し、個々人の能力を最大限に発揮できるオフィスとは―。情報通信技術(ICT)を活用したオフィスを積極的に提案してきた内田洋行。同社は光学・電子機器メーカー、オリンパスの本社機能と開発機能を新たに集約させる「グローバル本社」の統合移転に際し、約6500人規模のオフィスでさまざまな利用状況を可視化できるプラットフォームを構築した。
オリンパスの新本社では出社とリモートワークのハイブリッドな働き方を両立させるために全面的なフリーアドレスを採用し、社員同士の対面コミュニケーションを活性化させ、組織をまたいだコラボレーションが課題だった。
その働き方改革を支えるツールとして、内田洋行の「SmartOfficeNavigator」が採用されている。手元のスマートフォンで社員に必要な人や場所の情報を瞬時に引き出すことができ、進行するプロジェクトに必要な個々の力と創造的生産性の向上を支援する。
さらに、会議室予約・運用システム「SmartRooms」やオープンスペース管理システム「RoomSense」とも連携し、ICT環境を構築した。
リアルとデジタルの両方で「働く場」をより自然に繋ぎ、オフィスワークと人と人の結束力を高め、また創造的生産性も高める場所が求められていることを受け、内田洋行では「人が主人公のハイブリッド・ワークプレイス」を提案する。
クラウドや社内ネットワーク上にある社員のアクティビティーデータを利用し、チームで集う最適な時間と空間をシステムが提案するなど、ハイブリッド・ワークプレイスから生まれる働く人と場のさまざまなデータは、未来の働き方やオフィスづくりを好循環へと繋げていく。
【ヤマハ】LAN/WAN高速化 中規模ネット用ルーター
テレワークやウェブ会議、オンライン研修などオフィス環境の多様化が加速している。デジタルデータ量の大きいコンテンツを利用する機会が増え、社内のネットワークトラフィックは急増。新たな懸念としてトラフィックの鈍化が問題視されている。
ヤマハは企業向けルーターの開発をはじめ、スイッチや無線LANアクセスポイントなど、ラインアップを拡充している。通信速度低下への解決策として、中規模ネットワーク(拠点向け)のLAN/広域情報通信網(WAN)の高速化を実現する「10ギガアクセスVPNルーター RTX1300」を開発、提案する。
同製品は10ギガビットに対応したコンボポート(LANポートとSFP+スロット)を2ポート搭載し、接続する機器のインターフェースに応じて最適なポートを選択し、LAN/WAN両方の高速化を実現する。
工場出荷時の状態で合計100対地(箇所)までのVPN接続を収容でき、IPsecスループットを最大2・5ギガbps、NATセッション数を25万に強化した。クラウド型のネットワーク統合管理サービス「YNO(Yamaha Network Organizer)」に対応し、遠隔からでも簡単に機器の監視・管理ができる。
ある介護施設では同製品群への更新で、従来人手に頼っていた全80人分のベッドに見守りシステムを導入。さらに常時インターネット接続するコミュニケーションロボットを導入し、職員の負担を軽減した。
ヤマハでは充実した技術情報の提供や購入前相談とともに、「ヤマハネットワークエンジニア会(YNE)」の運営や「ヤマハネットワーク技術者認定試験(YCNE)」など、スキルアップを支える活動も行っている。
【新晃工業】1台で空調+外気処理 快適性・メンテ性を両立
オフィス環境の改善を語る上で、なくてはならないのが空調だ。働く人の快適性はもちろんのこと、ビル管理者の目線では、メンテナンス性の良さも求められる。さらに、オフィスの消費電力の中で最も大きい割合を占める空調。二酸化炭素(CO2)排出削減の観点からも、空調設備の見直しが有効な手段となっている。
セントラル空調機のパイオニアとして業界をリードし続けている新晃工業。主に水方式空調機の分野で、長年空気の質に向き合い続けてきた同社は、ヒートポンプ方式空調機にも注力している。
一般的なパッケージエアコンでは外気処理能力が不足することが多く、また湿度調整能力も限定的であるため、外気導入や加湿に別の補助機器を入れることも少なくない。同社の「ヒートポンプ空調機Ⅱ」は、快適な温度コントロールと十分な外気導入能力を備え、また梅雨時の除湿、冬季の加湿もより細やかな制御を可能にしている。
1台で外気処理に加え室内空調もできるため、パッケージエアコンに比べて設置台数を少なくでき、メンテナンス作業の省力化にもつながる。また一口にオフィスビルと言っても、収容人員によってCO2濃度や熱負荷は大きく異なるが、同機は風量調整範囲が広く、風量の制御が細かくできるため、電力消費の無駄を抑えることができる。
機器設置スペースが屋内にない場合や、工事期間を短くしたい場合は、ヒートポンプ空調機シリーズ「オクージオ」が適している。屋外設置ができるため機械室を必要とせず、空調機本体と室外機が一体となっているため、冷媒配管工事や試運転が不要で、工期短縮や施工費削減を実現する。同社のヒートポンプシリーズは汎用品にはない「+α」の価値を提供することで、オフィス環境の改善に貢献する。