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第35回 読者が選ぶネーミング大賞
3月6日表彰式
日刊工業新聞社は「第35回読者が選ぶネーミング大賞」の受賞ネーミングとして、17件を選定した。2023年秋から24年秋までに開発・発売されたもので、優れたネーミングの製品・サービスが表彰対象。24年12月6日から25年1月13日までウェブで投票を募り、延べ1万570人が投票した。生活部門とビジネス部門それぞれに11件をノミネートし、投票結果から大賞、生活部門・ビジネス部門の1-3位を決めた。
総投票数1万570票の内、2721票を獲得したキリンビールの「キリンビール 晴れ風」が栄えある大賞に輝いた。生活部門1位はカワキタの「N/ORN(ノルン)」が、ビジネス部門1位はキャニコムの「フルーティまさお」が受賞した。そのほか、①発想力に着目した「アイデアネーミング賞」3件②一目で印象に残る「インパクトネーミング賞」1件③遊び心があふれる「ユーモアネーミング賞」2件④洗練された印象を与える「スタイリッシュネーミング賞」4件-を選定した。
さらに佐藤卓氏(TSDO代表)など3人の審査員が全17件の受賞ネーミングの中から選定した「審査員特別賞」を、「キリンビール 晴れ風」とホタルクス、シー・アイ・シーの「殺虫機器 ゴキ減用(げんよう)ライト」がW受賞した。
大賞
晴れ風 キリンビール
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缶裏面の2次元コード(写真左)からできる募金活動「晴れ風ACTION」。売り上げの一部を寄付する自治体は188へと2倍に
キリンビールは17年ぶりのスタンダードビール新ブランドとして「キリンビール 晴れ風」を2024年4月に発売した。発売から約3カ月で目標の7割となる300万ケースを突破し、当初の販売目標を上方修正。12月末時点で576万ケースと当初目標の34%増を販売した。350ミリリットル缶に換算すると売上本数は2億本になった。
「晴れ風」の由来は「お客さまを、そして世の中を晴れやかにし、いい風を吹かせていきたい」という思いから。その名の通り、同製品は飲み応えと飲みやすさを両立して、これまでビールを飲まなかったユーザーも獲得し、若年層からの支持も集めているのが特徴だ。
発売2年目となる今年は、4月から飲食店で業務用としての取り扱いを開始し、さらに多くの人が同製品を楽しめるようにする。前年比17%増となる670万ケースを目標に定めた。
人気の一因となった、缶裏面の2次元コードからできる募金活動「晴れ風ACTION(アクション)」も進化する。売り上げの一部を寄付する対象自治体は、24年の94自治体から倍の188自治体へと拡大する。春の花見、夏の花火大会と「日本の風物詩」を守る活動の輪を広げる。
【喜びの声】
キリンビール マーケティング部 新価値創造担当 晴れ風ブランドマネージャー 野際 陽介氏
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キリンビール マーケティング部 新価値創造担当 晴れ風ブランドマネージャー 野際 陽介氏
栄誉あるネーミング大賞を受賞し、大変光栄に思う。受賞の知らせを受け、驚きとともに、大きな喜びを感じている。
近年、ライフスタイルや価値観の変化などを背景に、お客さまの考え方や行動基準は、目まぐるしく変化している。この時代だからこそ、いまのお客さまの嗜好(しこう)や、価値観を捉えた「新しいビールをお届けしたい」。「お客さまを、そして世の中を晴れやかにし、いい風を吹かせていきたい」。その思いで誕生したのが、「キリンビール 晴れ風」だ。
昨今、暗いニュースが多い中、晴れ風を通じて少しでも皆さまの気持ちが明るく、前向きになるきっかけになっていれば嬉しい。
この賞を励みに、これからも努力を続け、お客さまと世の中にいい風を吹かせていけるよう、精進したい。あらためて、審査員の皆さま、関係者の皆さま、そして晴れ風を応援してくださった皆さまに深く感謝申し上げる。本当にありがとうございました。
生活部門
第1位 N/ORN カワキタ
カワキタ(大阪府東大阪市、河北一朗社長)の「N/ORN(ノルン)」は子どもを座らせて抱っこできるショルダーバッグ。バッグ上部のフラップを折ると座面になり、腰が座ったころから体重20キログラムまでの子どもを乗せられる。
2本のショルダーベルトを背中で交差し、荷重を分散して支える構造。バッグ側面から子どもを乗せたままでも物を取り出せる。バッグを体に固定するウエストベルトは使用時以外はバッグに収納できる。子どもの落下を防ぐ背当て部品はポーチとしても使える。シンプルなデザインで、子どもが成長した後も使いやすい設計になっている。
2015年に発売した、抱っこを補助するボディーバッグ「ダッコリーノ」と比べて価格を下げ、手に取りやすい自社ブランド製品として開発を始めた。子育て中の社員が中心となり、ダッコリーノ同様の安全性を持ちながら機能性やデザイン性を高めた商品を約2年かけて開発した。
【喜びの声】
カワキタ 主任 牛谷 千春氏
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カワキタ 主任 牛谷 千春氏
商品名は100種類以上挙がった案から議論を重ね、子どもが”乗る”という製品の特徴が伝わるように命名した。またノルンという北欧神話の女神がいることから、「ママが女神のように輝けるよう、子どもにとってママは女神であるよう」という思いも込めた。
商品開発では、安全性・機能性・デザイン性を両立することに苦労した。試作品は社内の開発メンバーだけでなく社外の子育て中のモニターにも試してもらい、試行錯誤を重ねた。試作品は約20個にも及ぶ。自身が子育てをする中で「本当に自分が使いたいと思えるものを作る」という思いで開発した。
会員制交流サイト(SNS)を通じて認知度を上げ、海外にも提案してきたい。
第2位 根浄ノズル アイ・ティー・ケー
アイ・ティー・ケー(岐阜県羽島市、岩田真太郎社長)の「根浄(こんじょう)ノズル」は、5本のノズルから毎秒15回、微小な水滴を高速で噴射する。ノズルの先端を頭皮に当て、くしで頭をなでるように使用する。頭の毛穴に詰まった皮脂や不純物を不連続の噴射水で除去する。
皮脂は毛穴内から分泌され、皮膚や毛髪を保護し、細菌などの体内への侵入を防ぐ。しかし育毛剤などの効果を阻害する要因にもなり得る。
ノズルの成形はグループ会社の精密加工技術を生かした。モーター出力は5ワット。非接触充電式で洗面台などでも手軽に使える。
【喜びの声】
アイ・ティー・ケー 会長 岩田 勝美氏
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アイ・ティー・ケー 会長 岩田 勝美氏
40代で頭頂部が薄くなり始め、60代まで進み「沙悟浄」や「カッパ」と言われた。育毛剤をいろいろ試し悪戦苦闘した。毛穴の皮脂は外部から毛根を守っているらしい。皮脂を浄化すれば育毛剤が毛根によく届くと2年前に思い至った。ハンディ型の高圧ポンプを見つけ、得意の5軸制御機による精密加工でノズルを開発した。製品名は「毛根浄化」と、諦めない「根性」を掛けた。今ではつむじがはっきりわかるほど頭髪が戻っている。
第3位 炎満 DekiTech
DekiTech(デキテク、埼玉県八潮市、中村忠裕代表)などが開発した、たき火台「炎満(えんまん)」は、町工場の職人たちの知見・技術を結集して完成した。地面からたき火台までの高さは約5センチメートル。低い位置で火をたくので足元から体が温まる。
円形のシンプルなデザインは職人の技術・ヘラ絞りで実現した。広く平らなたき火台は着火が簡単で使いやすく、市販の40センチメートルの薪をそのまま利用できる。
テーブルやグリルプレート、五徳など、たき火を囲みながら調理など多様な楽しみ方ができるオプションパーツも用意している。
【喜びの声】
ジェイクラフトマン社長兼DekiTech(デキテク)代表 中村 忠裕氏
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ジェイクラフトマン社長兼DekiTech(デキテク)代表 中村 忠裕氏
このたびは名誉ある賞を頂き、感謝申し上げる。じか火に近いたき火台「炎満」は町工場の職人たちが自ら考え、設計し、試作を繰り返して完成した製品だ。武骨ながらも使う人が炎を囲み円満に過ごしてほしいという思いで完成した。
DekiTechは町工場が水平分業により市場を創り、価格決定権を持ちたい思いで活動してきた。日本の町工場として、今後もプライドを持って、製品作りに励んでいきたい。
ビジネス部門
第1位 フルーティまさお キャニコム
キャニコム(福岡県うきは市、包行良光社長)の「フルーティまさお」は、傾斜地で不安定な場所での草刈りに対応する走破性と頑丈さ、機能を備えた乗用草刈り機。機械の寸法は長さ1885ミリ×幅1020ミリ×高さ920ミリメートルで、重量は370キログラム。
リアタイヤを大型化(19インチ)し、最低地上高を150ミリメートルにしたことで地面の凹凸や障害物を避けやすい。機体重量と操縦者の荷重によって沈むことへの対策を施している。
日常的なメンテナンスが必要なリアカバーは上下両方、ワンタッチで開き、掃除しやすくオイルやベルトの調整・交換がしやすい。
国内の果樹園の多くは傾斜地にある。リンゴや桃、ミカンなど日当たりや水はけを重視する果物が栽培され、不安定な傾斜地にも対応できる頑丈な草刈り機が求められる。また中山間地では傾斜がきつく、手作業による草刈りは重労働。ゴーカートのような操縦のしやすさと高機能性で課題解決に貢献する。
【喜びの声】
キャニコム 会長 包行 均氏
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キャニコム 会長 包行 均氏
「フルーティまさお」は当社の草刈り機「まさお」シリーズに、しゃれっ気を込めて「爽やかな色男の香り」を付け加えた。不整地や傾斜地でも力強く草刈りができる、気は優しくて力持ちのまさおが爽快に草刈り作業をするイメージだ。
「フル」パワーで草刈り仕事に取り組み、作業後は爽やかな「ティー」タイムを楽しむという意味合いもある。早く終わって余った時間はゴルフへ行き、素晴らしい「ティー」ショットで気分爽快になってもらいたい。過酷な環境の作業でも「フルーティ」な爽やかな気分で、草刈りを楽しんでほしい。
今回で19回連続受賞。お客さまから当社ネーミングへの期待も感じる。節目の20回連続受賞を目指したい。
第2位 ホタルクス/シー・アイ・シー ゴキ減用ライト
ホタルクス(東京都港区、山村修史社長)とシー・アイ・シー(東京都台東区、芳賀英武社長)が共同開発した「殺虫機器 ゴキ減用(げんよう)ライト」は、飲食店などに生息するチャバネゴキブリを紫外線(UV)ライトによって殺虫する。チャバネゴキブリは屋内にしか生存できず、薬剤への耐性も強いことが多い。同製品は薬剤が使えなかったり、届きにくかったりする厨房(ちゅうぼう)機器の中などに設置。ゴキブリが箱へ入るとUVライトが照射される。ゴキブリに徐々にダメージを蓄積し、殺虫する。メスの場合は卵巣にダメージを与え、繁殖を抑制する効果もある。
【喜びの声】
ホタルクス 経営管理本部 経営戦略部 経営戦略グループ 専任マネージャー 倉石 咲子氏
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経営管理本部 経営戦略部 経営戦略グループ
専任マネージャー 倉石 咲子氏
ゴキブリはけげんに見られがちな存在だ。そこであえて「ご機嫌よう」とゴキブリを減らす意味を組み合わせ、ライトを使ってくれた顧客にもご機嫌になってほしいという思いを込めてネーミングした。また、上品な印象でゴキブリとのギャップを持たせた。反応は「良いね」から「ダジャレだね」など、さまざま。今後はライトのサイズを大きくしたり、厨房機器に初めから取り付けたりし、より効果を実感してもらえるようにしたい。
第3位 昇降力 トーヨーコーケン
トーヨーコーケン(東京都江東区、渡辺一人社長)の「昇降力(しょうこうりき)」は、建設現場などでハシゴを繰り返し昇降する作業者の負担軽減と作業効率を高める助力装置だ。深さが数十メートルになる送電線鉄塔の基礎工事は、繰り返しのハシゴ昇降が大きな負担になる。これを解決するために開発した。
荷重変化を検知し、自動的に電動ホイストが作業者の昇降をアシストする。バランス状態で作業者がハシゴを昇ろうとすると、重量は軽くなるため上昇として認識し、巻き上げる。逆に降りようとすると、巻き下げる仕組みだ。
【喜びの声】
トーヨーコーケン 営業企画室リーダー 田村 紘一氏
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トーヨーコーケン 営業企画室リーダー
田村 紘一氏
「提供価値が伝わる」「短くて面白い」「響きが良い」をポイントとした結果、誰もがどこかで聞いたことがありそうな響きの名前が浮かんだ。投票してくれた皆さまと、昇降力という際どい案を採用した遊び心と勇気ある経営層に感謝する。当社の課題は優れた技術が詰まった製品を、必要とする人に知ってもらうこと。知られていないは存在していないのと同じだ。良い製品と良いPRの両輪で世の中のモノづくり現場に貢献していきたい。
アイデアネーミング賞
AIRAVO オカネツ工業
オカネツ工業(岡山市東区、和田俊博社長)の「AIRAVO(アイラボ)」は、遠隔操作できるラジコン草刈り機。背の高い草をチップ状に細かく粉砕できるハンマーナイフや、軽トラックに乗せられるコンパクトさが好評で、人不足や高齢化の課題を持つ農家などの負担解消に貢献している。
2025年秋にはアイラボにAI(人工知能)を搭載した、自律走行草刈り機「MAIRAVO(マイラボ)」も発売予定。
【喜びの声】
オカネツ工業 社長 和田 俊博氏
アイラボの「アイ」には「愛をもって、重作業を楽にしたい」という気持ちを込めた。今まで培ってきた農機具開発のノウハウを生かし、いかに安く、早く、安全に、草刈りができるか考え抜いた製品。世の中の困りごとを解決し、長く愛される製品になることを願っている。今後はAIを搭載した関連機の開発に力を入れたい。
めまもりほけん 住友生命保険
住友生命保険の「めまもりほけん」は、生命保険業界初の目の治療に特化した眼科医療保険。ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)ビジョンケアカンパニーのコンタクトレンズ「アキュビュー」の製品利用者向けアプリを通じて提供する組み込み型保険でもある。保険料はJ&Jが負担し、消費者は無料で加入できる。消費者に目の健康を啓発する狙いがあり、商品名には契約者の目を守る保険となってほしいとの思いが込められている。
【喜びの声】
住友生命保険 商品部担当部長 西谷 俊之 氏
本商品はJ&Jの製品利用者に気軽に加入してもらえるような名称を意識して命名した。眼科疾患は自覚症状が現れにくく、発見された時には重症化している場合も多い。早期発見が重要だ。目の保障に特化した本商品への加入をきっかけに、顧客に目への関心を高めてもらうことで、眼科疾患の早期発見に貢献していきたい。
ジモイク 東京海上日動あんしん生命保険
東京海上日動あんしん生命保険は自治体の子育てイベントの予約が可能なウェブアプリ「ジモイク」を開発した。これまで地域子育て支援センターなどを利用する際、電話や来所での予約が必要だったため、子育て世代から不便との声があった。こうした"不"の解消を目指して2024年9月にウェブサービスとして提供を始めた。
ネーミングには、地元(ジモト)で育児(イクジ)をがんばるパパママを応援する意味を込めた。
【喜びの声】
東京海上日動あんしん生命保険 企画部 商品開発グループ ユニットリーダー 野辺 加織氏
本サービスは当社が自治体とともに、地域住民の皆さまに提供するため、利用者が言いやすく記憶に残るネーミングを意識した。候補を数十種類出した上で、言いやすさの観点から4文字に短縮した。受賞を大変光栄に思う。少子化が社会課題となる中、安心して子育てができる環境づくりに微力ながら貢献していきたい。
インパクトネーミング賞
Pentagon ユーエフツール
ユーエフツール(名古屋市天白区、赤羽厚彦社長)の「Pentagon(ペンタゴン)」は、先端の中心にある鈍角部分のチゼルエッジを平面に近い五角錐に成形する「五角錐チゼル」の技術を利用したドリル。
五角錐チゼルは一般的なチゼルエッジより先端部の長さが短くなることで加工対象物への食いつきが良くなり、加工と穴位置精度の安定性が高まる。
五角錐チゼルはトヨタ自動車が開発して特許を取得。その利用許諾を得て製品化した。
【喜びの声】
ユーエフツール 取締役 丹羽 修一氏
Pentagonは取引先のトヨタ自動車さまから、特許の利用許諾をいただいた縁から誕生した。名前の由来にもなった”先端が五角錐”という形状が、非常に独特なゆえに開発は難航したが、それだけに受賞の喜びもひとしおだ。商品化にあたり、トヨタさまや開発に協力をいただいた企業の皆さまに感謝申し上げる。
ユーモアネーミング賞
こたつ~る メトロ電気工業
メトロ電気工業(愛知県安城市、青木寛哉社長)の「こたつ~る」シリーズは、こたつヒーターと、その周辺機器のブランド。同ブランドの第1弾の製品として2024年に発売した次世代型省エネこたつコード「BC-2PLT(A)」は、5時間で自動的に電源が切れるタイマー機能を搭載しており、こたつの切り忘れを防止する。安全性の高さと同時に、電気代の節約や環境負荷の低減にもつながる点を消費者に訴求する。
【喜びの声】
メトロ電気工業 商品企画課 課長 竹内 誠氏
「こたつ」と「ツール」を掛け合わせ、省エネ暖房の未来を支える存在として名付けた。寒い冬でもかしこく節電でき、省エネを意識しながら心地よく過ごせる。長年にわたり、こたつ用ヒーターなどの暖房機器を手がけてきた当社ならではの製品だ。これからも皆さまの暮らしに寄り添う製品づくりを続けていきたい。
MATOMAT 太平洋工業
太平洋工業の「MATOMAT(マトマット)」は、日頃は学校などでいすのクッションとして使用し、非常時は連結し避難所などでマットにできる。
防災用品で課題とされる備蓄スペースが不要となるのが特徴だ。連結方法で特許を取得している。
同社の本業は自動車部品の製造。MATOMATはエンジンルーム防音材のウレタンフォームの端材を再利用したエコ製品でもある。防災意識を育てる製品として、小学校などに採用されている。
【喜びの声】
太平洋工業 執行役員 竹下 功氏
「MATOMAT」は「まとまるとマット」になるという意味から名付けた。普段はクッションとして個々に、非常時には団結して防災マットになって活躍する期待を込めた。小・中学生が使用する機会が多いため、親しみやすく、呼びたくなる印象的な名前にした。今後も新たな商品開発を通じて社会課題解決に貢献していく。
スタイリッシュネーミング賞
SMARTS TOPPAN
TOPPAN(東京都文京区、斉藤昌典社長)のサステナブルブランド「SMARTS(スマーツ)」は、環境配慮型パッケージで培った技術や知見にマーケティング、デジタル変革(DX)、BPO(業務委託)などを掛け合わせ、バリューチェーン(価値の連鎖)に沿った最適な選択肢を提供する。透明蒸着バリアーフィルム「GL BARRIER」を使った軟包装パッケージが代表製品。アルミ箔(はく)に匹敵するバリアー性能で食品などの品質を長期間維持する。
【喜びの声】
TOPPAN 生活・産業事業本部 SX推進センターSX事業開発本部 マーケティング部 SMARTSチーム 課長 斉藤 章弘氏
持続可能な社会の実現には、点ではなく面で事業を捉えたストーリーが必要だ。TOPPANのこれまでの知見をもとに社内外の持つ複数のサステナブルソリューションを効果的に組み合わせ、スマートな選択肢をお客さまへ提供し、ともに持続可能な社会の実現に向けて歩んでいきたいという思いを込め命名した。
MIRAI Labo 日本シーム
日本シーム(埼玉県川口市、福田理也社長)の「MIRAI Labo(ミライラボ)」は、廃プラスチックを再生する機械の試験研究施設。社内アンケートで一番票を集めた名称を採用した。
ユーザーの要望に応じた機器やシステムの試験・研究を行う。3階にプレゼンテーションルームやミーティングスペースを設置。プラスチックリサイクルを親子で体験できるオープンファクトリーや環境セミナーなど社外向けの活動にも取り組んでいる。
【喜びの声】
日本シーム CEO 木口 達也氏
廃プラ再生機械メーカーである当社として、わかりやすく意味づけがあるネーミングを意識し、名付けた。MACHINE(機械)、RECYCLE(再資源化)、Innovation(技術革新)の頭文字をとり、なおかつ未来を創る研究開発センターという意味合いがある。賞の獲得を社員と共有し、さらなる廃プラ再生の研究開発に取り組んでいきたい。
MS LifeConnect 三井住友海上火災保険
「MS LifeConnect」は三井住友海上火災保険が提供するIoT(モノのインターネット)プラットフォームサービス。AIカメラを活用したセキュリティーサービスで、保険にとどまらない価値提供を目的に開発した。ネーミングには、安心・安全な暮らし(Life)の実現だけでなく、暮らしと人、人と人、社会と人とをつなげる(Connect)新たな手段として、大切な家族の見守りに役立ててほしいという思いを込めた。
【喜びの声】
三井住友海上火災保険 ビジネスデザイン部 アライアンス第ニチーム チーム長 平岩 幸治氏
直感的なわかりやすさを最優先に名称を考えた。さまざまなつながりを表現するため、意図的にLifeとConnectをつなげて1語にした。2025年度は、各種センサーなどIoTデバイスを拡充する予定だ。当社は国内の損害保険会社に先駆けてIoT事業に踏み出した。今後も安心・安全な社会の構築に貢献したい。
UITORU ナサ工業
ナサ工業(福岡県須恵町、長沢貢多社長)の「UITORU(ウイトル)」は、キッチンやオフィスの空間にまるで浮いているようにつり下げ、固定する棚。商品名は九州地方の言葉で「浮いている」の意味。1枚のステンレス材を板金加工した。長さは1・6メートルと2メートルの2種類で、幅は70ミリ-130ミリメートル、高さは35ミリ-65ミリメートル。重さは1・7キロ-5・3キログラム。色は白、黒、クリアブラックをそろえる。キッチン用品や工具などを載せられる。
【喜びの声】
ナサ工業 開発部担当 石井 良司氏
得意とする板金加工技術を生かして生活の場を豊かにする-が開発コンセプトだ。目をつけたのはキッチン。アイランド型など対面式が増える中、リビングを見通せて会話の邪魔にならずに空間を活用できる棚を目指した。デザイン性に優れていることも外せなかった。家族だんらんの時間を大切にしてほしいという願いを込めた。
講評
TSDO代表 佐藤 卓氏
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TSDO代表 佐藤 卓氏
「読者が選ぶネーミング大賞」35周年という記念すべき年に受賞された皆さま、誠におめでとうございます。過去に受賞されたネーミング一覧を拝見すると、まさに名作と言えるネーミングの数々に、非常に納得させられます。印象に残るネーミングは、その時代の感覚を捉えているだけでなく、時代を超えた普遍性をも備えているのでしょう。
そしてネーミングは本来”音”なので聴覚に入るものですが、それを可視化したロゴが視覚にも訴えかけて、より印象深くなることがわかります。つまりネーミングはグラフィックを含めたメディアの力を借りて人に届き、特に印象的なものは音として記憶に残っていくのでしょう。ロゴの記憶は曖昧でも、ネーミングだけは覚えていることはよくあることです。
今年の大賞はキリンビールの「キリンビール 晴れ風」です。暗く混沌(こんとん)としたニュースが多い日常で、ビールを飲む時くらいは爽やかな気分でいたいという気持ちが、高い得票数につながったのではないかと思います。二つの漢字の間に「れ」を入れるセンスが秀逸です。
そして私がつい笑ってしまったネーミングが「殺虫機器 ゴキ減用ライト」「UITORU(ウイトル)」そして「根浄ノズル」です。それぞれ技術的な研究を重ね開発された質の高い商品のネーミングだと思いますが、ダジャレの力を借りて印象的にしているところのギャップが面白い。
ビジネス部門1位「フルーティまさお」は、草刈り機のネーミングとしては「なぜ?」と思えるほど画期的でしょう。生活部門1位の「N/ORN(ノルン)」は北欧神話の女神の名前と関西弁の「乗るん」を掛けたネーミングで、とても優しい響きの中に思いが込められていて、すてきなネーミングです。
モノやサービスには名前が必要不可欠です。「強いインパクトで瞬時に覚えさせる方法」「聞いた人にまず『なぜ?』と思ってもらい、その裏にストーリーを用意する方法」「ダジャレの面白さで覚えてもらう方法」「工夫をしないという逆説的な方法」など、ネーミングにはいくつもの手法があります。全く新しいネーミングのあり方があるのかどうか。ネーミングは一つの文化と言えます。この活動の今後の発展を祈念しています。
審査員コメント
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前刀 禎明氏(元米アップル本社副社長、ディアワンダーCEO&CWO)
前刀 禎明氏(元米アップル本社副社長、ディアワンダーCEO&CWO)
晴れやかな気持ちになる。製法や味などビールそのものではなく、五感で味わって感じることに焦点を当てたネーミングが魅力的。口当たり、喉ごし、体に染み渡るときなど、いつ晴れ風が吹くのだろうとワクワクし、好奇心とイマジネーションが膨らむ。
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齋藤 峰明氏(元仏エルメス本社副社長)
齋藤 峰明氏(元仏エルメス本社副社長)
日本にはこんな名前の風があったかもと思わせる親しみやすいネーミング。飲みやすさときれいな味を追求したビールらしい、自然表現とのマッチングが今風で、ビールが時代とともに変化していることを感じさせる。同製品が新時代を作ることができるかが楽しみ。