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宮崎県特集2025
成長・躍進する宮崎県!
宮崎県では県内経済の活性化を図るため、さまざまな施策を展開している。県内の企業、大学などが連携して共同研究や新たな産業を生み出す後押しも4月から本格始動した。ここでは、みやざき地域経済けん引企業等育成事業として宮崎県が2025年度に始めた「付加価値向上チャレンジ企業」選定・支援と、宮崎県産業イノベーションプラットフォームの取り組みとして始まった「ひなたイノベーションハブ」の取り組みの二つを紹介する。
付加価値向上チャレンジ企業/10年後の宮崎担う成長企業 選定
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付加価値向上チャレンジ企業に選定された6社に選定証が授与された(7月30日、宮崎県庁で)
みやざき地域経済けん引企業等育成事業「宮崎県付加価値向上チャレンジ企業」は、人的資本経営を推進し、企業と従業員の所得向上を図る成長戦略の実践により、地域経済をけん引する役割を担うことが見込まれる企業を10社程度選定し、支援する事業。中小企業診断士や公認会計士といったプロジェクトマネージャーが選定企業を訪問し、事業計画や戦略の整理などを助言するほか、補助制度や表彰制度に係る情報提供と取得支援、専門家派遣による課題解決支援など五つの支援を3年間にわたり実施する。現在6社を選定済みで、残り3、4社は12月22日に選定証授与式で確定する予定だ。
今般、選定されたヤマエ食品工業(宮崎県都城市)は、南九州最大級の老舗みそ・しょうゆ・つゆ製造メーカーで、原料調達から製品化まで一貫生産を強みにもつ。江夏啓人社長は「日本有数の発酵食品メーカーに成長するため、みそ・しょうゆの生産量で西日本トップクラスのシェアを獲得し、発酵技術を生かした新製品開発と市場確立を急ぎたい」と言う。しょうゆ粕などの副産物や大豆皮の廃棄物を有効活用する環境配慮型生産体制を構築する計画もある。また、AIやIoTを活用した工場生産プロセスを自動化・最適化することで発酵・熟成プロセスのデジタル管理による品質の安定と向上も進めていく。
さらに、グローバル展開の加速と海外市場での存在確立のため、「日本の伝統的発酵食品の魅力を世界に発信する『YAMAE』ブランドを5年以内に確立したい」と意欲を示す。実際にマレーシアから大学生のインターンシップを受け入れており、国際交流もすでに実施中だ。
一方、四位農園(宮崎県小林市)は、約300ヘクタールの農地で業務加工用露地野菜と抹茶の原料である有機碾茶の栽培、生産から商品開発まで一貫体制を構築している。付加価値向上チャレンジ企業に選定されたことについて「働いている従業員のモチベーションも高まっている」と、四位廣文社長は言う。
英楽(宮崎県門川町)は、竹名地区にある同社の冷凍倉庫に食肉カット専用工場を増設する。投資額は約20億円で、そのうちの10億円が正確なグラム数で定量カットする機械設備費だ。2階建ての工場の延べ床面積は2052平方メートル、27年4月に稼働する。池田英勝社長は「宮崎県の畜産物を省人化と自動化で高付加価値化するための先行投資だ」と言う。主に2ラインあり、「1ラインは必要な分だけ解凍できるIQF凍結の定量カット、もう1ラインはバラミンチ肉を生産予定で、従来のBQFも同時に製造可能」。農業産出額で全国6位の宮崎県からの期待も大きいことから、しっかりとその役目を果たしていく。
産業界・大学研究者とのきっかけの場「ひなたイノベーションハブ」
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「ひなたイノベーションハブ開設記念講演」で同ハブについて説明する宮崎大学の淡野副学長(5月29日)
イノベーション共創促進事業は、県内の大学・高専や産業支援機関などによるワンストップ支援体制を構築することで県内企業などによるイノベーション共創の取り組みを促進することを目的とする。県内の産学金労官あわせて23機関で構成する宮崎県産業イノベーションプラットフォーム(事務局=宮崎県企業振興課)のもと、4月から相談支援拠点「ひなたイノベーションハブ」を宮崎大学が錦本町ひなたキャンパス2階に開設。宮崎大学と宮崎県産業振興機構からコーディネーター各2人ずつ、計4人が予約制で対応している。
ひなたイノベーションハブの役割は、県内の大学・短大・高専10校の研究シーズを収集し、その情報を企業や団体、自治体などに発信してマッチングを図り、共同研究やプロジェクトなどを創出するとともに、その事業化までを伴走支援し、研究シーズの社会実装につなげることである。
実際、「宮崎県内にある大学など10校には研究者が約800人おり、マッチングの幅が広がった」(宮崎大学産学官連携コーディネーターの平川良子氏)と言う。ひなたイノベーションハブには、これまで、新商品の開発や廃棄物の有効活用など、のべ235件(本年度4月から10月までの実績)の相談が寄せられているが、最近は、人材育成の悩みで相談に来る企業も増えている。大学など10校の文系・理系の研究者とのマッチングにより、多様化する相談に対応している。
製造業が農業分野の課題に取り組む動きも増えてきた。宮崎県は農業産出額(2023年)が3720億円で、全国第6位の算出額を誇っている。農業では、これまで、農作物の管理や収穫時期などの生産技術は従事者の経験に頼る部分が大きかったが、これからの持続可能な農業に向けデータ活用やロボット開発に取り組む相談も寄せられており、新たな社会実装につながるチャンスが生まれようとしている。
シーズとニーズをマッチング
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ひなたイノベーションハブでは、予約制でコーディネーターが県内企業の相談に対応する
ひなたイノベーションハブでは現在、シーズとニーズのマッチングの効率化を図るため、AIの導入を進めているところだ。研究論文などのシーズ情報をAIに学習させ、コーディネーターのマッチング業務に活用する取り組みを、まずは宮崎大学からスタートさせている。
宮崎大学の淡野公一副学長は、「ひなたイノベーションハブは、地域の企業や自治体などのさまざまな課題など一つの大学では収まらない問題を解決するための産学連携の拠点であり、県内の大学・短大・高専10校や産業支援機関が連携することで可能となった。まずはAIを使い、シーズとニーズのマッチングを迅速化する。今後は公設試験研究機関にも参加してもらい、みんなが助かるとともに、地域課題の解決に貢献できるようにしたい」と語っており、研究シーズの社会実装に向けた今後のさらなる貢献が期待されている。
