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県経済の持続発展を後押し
宮崎市の中心市街活性化プロジェクトやスタートアップ・創業支援施設の開設、宮崎・学生ビジネスプランコンテストなどの効果もあり、宮崎県内には新しい産業や起業家が続々と生まれている。2022年度に宮崎県外から来た移住者数は994世帯・1806人になるなど、4年連続で過去最高を更新したことからも、仕事と生活の両立が十分可能な県だといえる。新事業に乗り出す企業や、若き起業家たちの取り組みを紹介する。
みやざきスタートアップ、雇用増に貢献
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みやざきスタートアップハブ(宮崎市)で8月30日に開かれた成果報告会 -
前回開かれた宮崎・学生ビジネスプランコンテスト。今年は10月9日に開催(宮崎大学提供)
22年を「スタートアップ創出元年」として国が将来的に目標創出社数で10万社を掲げたスタートアップ育成5カ年計画を策定して以降、宮崎県内のスタートアップ支援も加速している。
宮崎市が15年8月から始めた、創業支援施設「みやざきスタートアップハブ」は、審査が通れば1年間は無料で施設が使えるのが特徴。これまでに35人が法人化し、開業届を出した個人事業主は25人にのぼる。「宮崎の中でも起業できる、という事例が続々と出てきた。事業としての効果はあった」(甲斐史哲宮崎市産業政策課長)と、評価する。
8月30日に開いた「みやざきスタートアップハブ成果報告会」では卒業生2人と現役生10人が登壇。支援関係機関など含め40人弱が参加するなか、卒業生のHANATABA(宮崎市、川越多江社長)の押し花アート教室や講師育成事業は、高級ブランドの目にとまるなど順調に進んでいることを報告した。
みやざきスタートアップハブは、14年度に始まった中心市街地に3000人の雇用を創出して活性化を図る「マチナカ3000プロジェクト」の主要事業の一つでもある。10年計画の同プロジェクトも、企業誘致などとあわせ、21年度末には前倒しで目標を達成した。
学生など若者の創業に関して後押しする環境も整ってきている。
10月9日13時から、第4回宮崎・学生ビジネスプランコンテストの決勝プレゼンテーションが宮崎市民プラザオルブライトホールで開かれる。若い感性が光る、斬新なビジネスアイデアが紹介される予定だ。同ビジコンの統括者でもある宮崎大学の土屋有准教授は「地域社会が応援する空気をどう作るかが大事。イノベーターたちを理解し、理解できなくても応援する風土を拡大していければ」と語る。より高付加価値を生み出すようなスタートアップをつくることが目下の課題だ。雇用を増やし、収入を上げ、県内に産業集積して産業が強くなることに貢献するのが地域にある大学の責務だとして、投資を呼び込む仕掛けと仕組みを提供していく構えだ。
新事業創出企業
MFE HIMUKA/農業向け低温調湿庫 拡販
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社長 島原 俊英 氏(日向市)
宮崎県の技術マーケティング支援事業を活用して取り組むのは、低温調湿庫「fresco」の拡販だ。生鮮食品の販売機会ロスや食品廃棄物を出さないようにしたい、との思いから「生産と販売の平準化と市場ニーズに合わせて出荷できる製品」として誕生した。現在、地元農業法人との話が進んでいる。
frescoは独自の技術を使い、庫内環境を庫内温度±0・5度C、庫内湿度を同1%に保てるのが最大の強み。葉物野菜は従来比2倍の鮮度を保つ。サツマイモの長期保存や生食用、苗の出荷時期調整のための保管にも使える。農家が市場ニーズに合わせて商品出荷できるため、商品の付加価値を高めることにも貢献する。
興電舎/生産効率改善サービス 提供
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社長 甲斐 稔康 氏(延岡市)
当社の五つの事業セグメントの一つである「システム・ソフトウエア開発事業」は、K―fisを事業ブランドに掲げ、従来の受託型プラント制御システム開発商品に加え、自社開発のIoT、設備管理システム、スケジューラ、BIシステムなど、あらゆる業界において生産効率の改善を課題に持つ顧客向けシステム利用のサービスを提供することを新たな商品としている。
今後は売り切りではなく、「利用者の希望に寄り添いながらカスタマイズ(個別対応)したものを使った分だけシステムの利用サービスへと進めていく」(甲斐社長)考えだ。
困りごとを解決するという意味で、延岡市医師会向けにワクチン予約受付システムを開発し、貢献している。
スタートアップ企業
ライフスタイルイノベーション/創業以来5期連続で増収増益
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社長 石川 知佳 氏(宮崎市)
2018年5月に創業した。ウェブ広告代理業として宮崎市内でリモートワークと出社のハイブリッドで事業を手がける。リード広告とリードナーチャリングの両方を手がけるのが強みで、顧客は県外企業が多い。創業以来、売上高目標は立てず、5期連続で増収増益を続けている。
以前、東京で上場企業の子会社の代表を務めていたが、みやざきスタートアップハブができることを知り宮崎に移住してきた。「起業は気持ちや思いが大事。学びをサポートしてくれ、無料で施設が使えるのが良かった」と感謝する。宮崎の暮らしは経営者としても心の余裕が出て、仕事にも良い循環につながる。今後も「顧客に向き合って売り上げ増、満足度を高めていく」。
Smolt/サクラマス供給事業を展開
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CEO 上野 賢 氏(宮崎市)
2017年の第一回宮崎大学ビジネスプランコンテスト出場をきっかけに、宮崎大学第一号学生ベンチャー企業として19年に創業。学生時代から研究してきたサクラマスについて「水産業のサステビリティに貢献したい」と語る。成長性がよく、暑さにも強い種で、味も美味しくなるSmolt産「本桜鱒」の稚魚を、まずは地元の水産業者に育ててもらい、供給することが目標だ。
22年12月にANA国際線のファーストクラス機内食で「つきみいくら」が採用されたことでも知られる。高級なイクラを販売するほか、気軽に食べてもらえるよう炊き込みご飯やコンフィー、ジャーキーといった商品も展開中。ギフト需要を狙う。
