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混合・混練・撹拌機(2024年3月)
粉体プロセスの一角を占める「混合・混練・撹拌操作」。それぞれの操作が単独で活用されるほか、最近では複合活用も進む。それに伴い装置の多様化に加え、生産プロセスの効率化・省人化につながる自動化・ロボット化への対応がさかんになっている。また進展が著しいシミュレーションが機器・装置設計に利活用されるなど、技術・研究開発は活発化する。こうした動きが関連機器や装置のさらなる進展を促すものと期待されている。
製造プロセス 密接に関連
2種類、あるいはそれ以上の固体状態にある異なった性質の材料を混ぜ合わせ、均質な組成を得る“混合”、粉粒体の周囲に液体やペーストをコーティングしながら分散する“混練”、さらに槽内の粉粒体や液体をかき混ぜることで、混合や分散などの操作を高効率化する“撹拌”。これらの操作は、製造プロセスでは密接に関連する。
日常生活から工業分野まで
それぞれ特徴を持つことから、日常生活に関わる製薬や食品関連をはじめ、電子・電池材料やセラミックスなどの工業分野まで幅広く活用され、対象となる素材やその物性、製品や生成物に応じ原理や機器・装置が使い分けられている。
組成均一化へ 複合的活用も
いずれの操作も、多種多様な素材や材料の配合・調合とともに組成の均一化を図ることがベースだがそのレベルはさまざま。完全均一化が求められる場合もあれば、ある程度のレベルで対応可能な分野もある。それだけに、単独利用にとどまらず複合化が必要なケースも増えている。
自動化・ロボット化を追求
粒子サイズの微小化が進んでいることもあり、操作の状態の把握も欠かせなくなっている。それをカバーするのがシミュレーション技術で、状態把握の精度向上を背景に利活用が活発化している。シミュレーションは関連機器や装置の設計段階で有効な手法となっている。
人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)の導入も進みつつある。生産人口の減少が待ったなしであることに加え、ここ数年続いたコロナ禍による汚染制御対策もあって、生産プロセスの効率化・省人化を目的とした自動化・ロボット化も積極的に行われている。
新たな取り組みに期待
省スペース化 生産性を向上
具体的には、対象となる試料を容器に入れたまま運搬し計量、調合した上で、容器を回転させることで混合操作を発揮する装置が登場している。脱炭素化やカーボンニュートラルで注目が集まる二次電池の電極スラリー向けに原料供給装置と2軸混練機を組み合わた連続生産システムの開発が進む。電極スラリーは複数の原料で構成され、異なる特性の原料を的確な配合比で安定供給したり、性状を変化させたりしないなど混練の均一さが開発のカギとなる。連続式のため省スペース化や生産性向上にもつながるという。
撹拌翼がカギに
撹拌関連では、撹拌翼の性能が効果発揮の精度を左右するが、最近では穴の空いた円板を液中で回転させて発生する遠心力による水流で撹拌したり、回転体をパイプ形状にして、遠心力とともにパイプの空洞部から試料を吐出して壁面へ衝突させたりすることで分散効果を高める方法など、技術開発は活発化する。こうした取り組みは今後も続くと思われるだけに、その動向と成果が注目されるところだ。