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大阪南部地域産業界
強み、魅力を万博で紹介
モノづくりの魅力PR
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「ワークワクワク河内長野」では作業車のミニチュアの組み立て体験ができる
大阪府各地のオープンファクトリー(OF)の取り組みも万博で紹介される。堺市のモノづくり企業による「さかいオープンファクトリー」は7月28ー29日、堺市内の中小4社が廃材を活用したアート作品のワークショップを実施する。河辺商会(堺市西区)による射出成形や、小泉製作所(堺市堺区)による溶接体験などで次世代の製造業人材の育成を目指す。
また29ー30日には泉州地域の企業でつくる「泉州オープンファクトリー」が地域の魅力発見ツアーを実施。さらに泉州地域でのOFの開催時期を9月27日-10月3日と例年より前倒しし、万博会期中に合わせることで地域への誘客を図る。
河内長野市のOF「ワークワクワク河内長野」は作業車のミニチュアの組み立て体験を実施し、国内外の子供たちの来場を見込む。
地域の強みアピール
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歌舞伎や人形浄瑠璃などの演目から作る「だんじり彫刻」も万博で展示
大阪府単独ではなく、全国の自治体との連携企画も多い。7月28ー31日にはEXPOメッセ「WASSE」で、全国600以上の市区町村が参加するネットワーク、万博首長連合が「ローカルジャパン展」を開催する。全国から43自治体が集結し、六つのテーマで強みをアピール。大阪南部地域からは岸和田市や泉大津市、貝塚市、泉佐野市、松原市、和泉市、泉南市が参加する。
この中で岸和田市と貝塚市は、香川県東かがわ市や高知県須崎市と合同で手工芸技法を出展する。岸和田市は弱アルカリ性で虫を寄せ付けない桐(きり)を利用し、密閉性や恒温性に優れる「大阪泉州桐箪笥(たんす)」を展示。さらに岸和田市と貝塚市が共同で「だんじり彫刻」を展示する。だんじりには歌舞伎や人形浄瑠璃、講談などの演目から下絵を描き、それを基に立体構造になるよう欅(けやき)を彫る。こうした伝統技法を紹介する。
泉大津市では未病予防対策先進都市を目指し、健康課題の解決に向け官民連携や市民との共創で進める。足指から健康な体づくりを目指すプロジェクトや認知症予防改善プログラムなど、心身の不調に焦点を当てた取り組みを紹介する。
中小、事業拡大の種まく
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万博に展示する次世代農業システムに組み込まれるタワー型太陽光集光システム(NT技研工業提供)
万博を自社の成長戦略に組み込む中小企業もある。大阪ヘルスケアパビリオン内に設置される「リボーンチャレンジ」では、新技術開発などに取り組む400以上の中小・スタートアップの技術力や魅力を週ごとに26のテーマで展示している。
NT技研工業(堺市北区)は、有光工業(大阪市東成区)と共同で10月、太陽光システムを組み込んだ次世代農業システムを出展する。
その次世代農業システムの核となるのが太陽光を効率良く集め、電力や熱、光として利用できるタワー型太陽光集光システムだ。NT技研工業は太陽光システムを開発し、10月にも受注を始める。太陽を自動追尾する集光システムを搭載することで、外部電源を使わずに現場で熱電併給が可能になる。
集光した太陽光エネルギーの発電効率は4割で、光や熱なども含めた総合的なエネルギー効率は8割に達する。飲み水の確保が難しい地域での海水の淡水化にも役立ち、パネルの設置面積1平方メートルで1日当たり5リットルの淡水化が可能だ。
価格は発電機付きで120万円程度(消費税抜き)を想定する。仲崇志NT技研工業社長は「2029年にも年間5000台を販売したい」と意気込む。
新川製作所(堺市中区)は7月15-21日、工具なしでラックの高さを変えられる保管棚を万博に出展する。製造、販売している亜鉛メッキを施したパイプ製のネスティングラック「エコテナーα」をステンレス製の高級感のある仕様に変更し「万博出展に向け進化させた」(新川浩社長)。
新川製作所は収納や保管、搬送が行える金属製の棚「ネスティングラック」などの物流機器の製造、販売を手がける。同製品は保管する品物の大きさに応じ、棚床の高さを変えることで保管効率を向上できる。
万博出展に先駆けて同社は5月から万博仕様の保管棚の受注を開始。物流倉庫や工場での利用を想定する。価格は7万円(消費税抜き)。新川社長は「万博向けの製品開発を通じ、自社で頑張る社員の励みになれば」と期待する。
各社は万博への取り組みを通じ製品の拡販やインナーブランディングなど将来の事業拡大に向けた種をまく。
