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三重県産業界(2023年10月)
過度の円安や長引く燃料・光熱費・物価の高騰など、日本の企業を取り巻く状況は相変わらず厳しい。そうした中でも三重県の企業は自ら動き、新たなフィールドを開拓する。次の成長への足がかりとして、培ってきたノウハウや経験を生かした新製品開発や新事業展開を積極的に進めている。また、県内の金融機関や産業支援機関は、セミナーやシンポジウム、相談会などを定期的に開催。企業が必要としている情報や知識を得る機会を提供するなど、各機関の特色を生かした活動で成長を支える。
攻めの姿勢で対応 積極的な設備投資で生産体制強化
ヒラノメタルワークス(同桑名市)は、本社隣接地に第4工場を建設し、24年4月中に本格稼働させる。建屋と工作機械などの設備、そのほかの費用も含め投資額は約3億円。昨夏から今春にかけて導入した複合加工機3台に続く積極的な投資で、主力である工作機械部品の生産体制を強化する。また既存工場で現場事務のスペースが不足しており、新工場建設で作業空間を増やして問題を解消する。
新工場は現在、本社隣で駐車場として利用している土地に建設する。敷地面積は約919平方㍍、延床面積は約674平方メートル。建屋は一部が2階建て。1階には仕切りを設け、約4分の3を金属加工用スペースとし、横型マシニングセンター(MC)を導入する。機種はヤマザキマザック製の「HCN―8800」で、パレットの作業面サイズは800ミリ×800ミリメートル。自動パレット交換装置(APC)も備える。1階の残りの部分には事務スペースを作り、その2階部分に会議などを行う多目的室を設ける。同室には社外の人も利用可能なカフェを併設する。建屋は全館空調と断熱構造を採用し、社員が快適に働ける環境を確保。屋根には太陽光発電パネルを並べ、自家消費用に蓄電池も設置し、使用エネルギーの削減にも取り組む。
現在の計画では、工場内のスペースに余裕があることから、今後も状況に応じて設備投資や人員増強も視野に入れる。
伊藤製作所(同四日市市)は、インドネシアにおいて、自動車用精密プレス部品を生産する新工場を竣工した。近年、大型部品の受注が増えており、旧工場では手狭になっていたことから、新たに工場を建設し、移転。12月より本格稼働させる。総投資額は約11億円。
伊藤製作所は13年に現地財閥ニュー・アルマダのグループ企業であるメカルアルマダジャヤ(MAJ)と合弁会社「イトウセイサクショ アルマダ」を設立。以来、日系自動車メーカーの1次サプライヤーとの取引を中心として、東南アジアの発展とともに売り上げを伸ばしてきた。今回、MAJの所有地にある旧工場(ブカシ県)から、ジャカルタ郊外のGIIC工業団地内に建設した新工場に移転した。運営は同合弁会社が担う。
新工場の敷地面積は約1万4000平方メートル。プレス機、ワイヤカット放電加工機、MC、研削盤などの生産設備は旧工場から移設した。
また、旧工場ともう一つの海外拠点であるフィリピン工場で製作してきた精密プレス部品生産用の順送り金型は、日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)、北米地域などへ輸出され、高い評価を得てきた。今回の新工場稼働に合わせ、二つの海外拠点における金型生産能力も強化する方針だ。
企業活動を支援 県内の金融機関や産業支援機関
三重県は9月7日、アストプラザ(津市)で「みえライフイノベーションシンポジウム」を開催した。ヘルスケア産業に関するシンポジウムで、新規参入方法や事業拡大に関する講演、事例発表が行われた。また、企業や研究機関、産業支援機関などによる製品・技術・サービスも展示された。
三重県によるヘルスケア産業振興施策の説明後、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京都港区)の外石満ヘルスケアコンサルティング室長が講演。参入目的や戦略構築方法、課題や留意点について解説。100人以上の参加者が、自身や自社が活動する上で参考となる情報に耳を傾けた。
三重県信用保証協会(津市)は、中小企業基盤整備機構・中小企業大学校瀬戸校(愛知県瀬戸市)と共催で、チームマネジメントやリーダーシップ、部下育成などに関するセミナーを定期的に開催している。中小企業の経営者や新任管理者など、部下を持つ人やチームリーダーなどが対象。外部の専門家や経営者などを講師として招聘。強いチーム作りに必要な職場リーダーの役割と行動、活気ある職場を作るリーダーシップのあり方について学ぶ機会を提供する。
そのほかに同協会は、三重県産業支援センターや日本政策金融公庫の津・四日市・伊勢の3支店と「創業・スタートアップ支援に係る業務連携・協力に関する覚書」を締結。企業の開業期から成長期まで一体的で切れ目のない、かつ幅広い支援が行える体制を整えた。
また、三重県産業支援センター中小企業活性化協議会、商工中金津支店および四日市支店、再生ファンド会社の三重リバイタル(津市)とも「業務連携・協力に関する覚書」を締結。地域における経営支援や事業再生支援などで相互に連携・協力し、事業や雇用の維持、拡大に取り組んでいる。