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2025年注目された工作機械・周辺機器
人材不足が社会課題となる中、製造業では生産性の向上や熟練技能者不足に対応するため、自動化技術や工程集約に注目が集まっている。9月に独ハノーバーで開催された欧州国際工作機械見本市「EMOハノーバー2025」や国内の工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2025」でも出展メーカー各社は工作機械に協働ロボットや自動搬送機などを組み合わせたシステムの提案に力を入れていた。また多品種少量生産に対応するため、工程集約が可能な加工機の開発も進む。
脆弱材の長時間加工が可能
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三共製作所の研削加工用円テーブル「RPSシリーズ」
三共製作所(東京都北区)は、脆性材加工向けの研削加工用円テーブル「RPS200」「同330」を出品した。
最高回転数は従来の3倍の300rpm(1分当たりの回転数)を実現した。さらに24時間以上の連続運転にも対応し、高硬度材の長時間加工も可能だ。
動力伝達(ローラーギアカム)の構造を専用設計することで、位置決め精度は同200でプラスマイナス25秒以下、同330でプラスマイナス20秒以下を実現。さらに熱変位も5マイクロメートルに抑えた。
このほか小型MC向けの提案にも力を入れる。パレット交換装置「SPM400」は、片持ち2軸CNCテーブルとAPCユニットで構成。APCユニットを加工側面に接続することで長時間および夜間の無人運転にも対応できる。また、大ワーク径向け傾斜円テーブル「RTG610」も公開した。
チップを自動交換
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ツールプリセッターにタブレット式モニターを追加した
共立精機(宇都宮市)はMC内のツーリングに取り付ける切削工具「インサートチップ」を自動交換する装置「チップチェンジャ CC—80H」と、「全自動計測システム HP—6040V—FA」のデモ機による自動化を提案した。
ツールプリセッター単体として非接触式自動機の「HP—4030」のほか、従来の投影機タイプからモニターを搭載し、接触式にモデルチェンジした「AMⅡ—5030N」、「MMⅡ—6040N」の2機種を展示した。タブレット式モニターで画像の拡大やチャートの変更が可能となり、角度や半径(R)などの目視合わせができる。全自動・非接触式だけでなく接触式でもスマートな測定を提供する。
切削距離2倍のドリル
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第1弾として「ロールタップ下穴用ドリル」を売り出す
また、工具の長寿命化もより求められる傾向にある。
シー・ケィ・ケー(愛知県半田市)は、新たな超硬切削工具シリーズ「LDera(エルディラ)」の第1弾となる「ロールタップ下穴用ドリル」を発表した。
超硬合金に微量の他元素を加えるレーザードーピング(LD)を施すことで、材料の強度や耐摩耗性を向上した。さらに工具先端に切りくずの詰まりを防ぐ独自設計を採用し、表面処理には耐熱性に優れた専用のコーティングを施した。LDと同社のノウハウを組み合わせることで、大幅な長寿命化を実現した。
同社によると一般的な超硬ドリルと比較し、切削距離は約2倍だという。工具の交換頻度が減少することで、機械の稼働時間を増やし生産性の向上にも貢献する。機械部品関連に加え、自動車産業、航空機産業での導入も目指す。
工具へのLDは同社が名古屋工業大学と共同開発した技術。協働ロボットを用いて自動でLDを施す生産ラインを構築し、量産化を実現した。
特殊構造の工具
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ステンレス鋼をはじめさまざまな被削材に対応
住友電気工業は、小型・自動旋盤用工具として新たに小物部品加工に適した「AC1135U」を追加した。刃先への溶着を抑え、微小チッピングの発生を低減する。ステンレス鋼などさまざまな被削材に対応できる。
超硬母材に2層の特殊コーティングを施し、表層には同社初の特殊表面処理を採用した。表面の炭窒化チタン(TiCN)層は耐溶着性に優れ、微小切削や低速切削での溶着を低減。高品位な加工を実現する。また、靭性に優れたチタンアルミニウム合金(TiAl)と、窒化ホウ素(BN)の化合物層では突発的なチッピングを抑制する。さらに母材にコーティングの密着力を高める特殊技術を採用し、工具の安定性を向上した。
工具の摩耗が少ないため、切削距離が伸びてもプログラム通りに加工でき、ワーク寸法の変動が少ないのがメリット。また突っ切り加工などでもワークのむしれを抑制し、優れた加工面品位を実現する。
