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現場測定器(2023年11月)
電気設備の施工や保守、メンテナンスなどの作業に欠かせないハンドヘルド型の測定器は「現場測定器」と呼ばれ、電圧や電流などを計測する。機能や性能面に加え、近距無線通信規格「ブルートゥース」を搭載することで、スマートフォンやタブレット端末と連携する機器の投入が加速している。同時にアプリケーション(応用ソフト)による測定結果などの処理において、作業者や管理者の利便性を高めている。
スマホ連携機器 投入加速
現場測定器はブルートゥースなどのワイヤレス技術を取り入れて、市場投入されるモデルが増加している。
現場測定器は電圧や電流、抵抗の値を測定するマルチ・メーターやクランプメーター、絶縁抵抗計、接地(アース)を測定する接地抵抗計のほか、照度計などがある。測定の目的や対象に応じた多くの測定器が用意されている。
マルチメーターは直流(DC)と交流(AC)の電圧、電流、抵抗などの測定を1台で行える。測定値を指針で表示するアナログタイプと、デジタルで表示するタイプがある。
絶縁抵抗計は電気機器や電路の絶縁状態を調べる。これは保安管理上重要な測定項目の一つである。
照度計は室内に照らされる明かりを取り込み、光を電気信号に変換して数値化する。住宅やオフィス、工場、学校、商業施設などでは適切な照度が求められる。環境に合わせた照度の確保が重要で、日本産業規格(JIS)では環境に合わせた推奨値の基準が設けられている。
測定者1人で現場対応
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共立電気計器は、ペン型絶縁・接地抵抗計などを提案(JECA FAIR2023)
こうした現場測定器にブルートゥースデバイスを内蔵することで、現場で測定したデータをスマホやタブレットなどの端末に転送できる。これまで測定者と測定値の記入者の2人が必要とされた現場が、測定者1人で対応可能となる。測定箇所が多い作業場での測定時間短縮や、手入力による記載ミスを無くすことができ、リポート作成なども容易に行える。
またアプリでは端末側の使いやすさや利便性、測定値を波形やグラフ表示する視認性など、ユーザーの測定要望を反映し、作業効率を高める。
共立電気計器は自社開発した測定記録アプリ「KEW Smart(キュースマート)」を提供している。同社のアプリは、端末側の使いやすさや利便性、測定値を波形やグラフ表示する視認性など、作業者の測定要望を反映しており、作業効率を高めている。
同社のペン型の絶縁・簡易接地抵抗計「KEW 6041BT」は、同社アプリKEW Smartに対応。「JECA FAIR2023(第71回電設工業展)」の製品コンクールで、経済産業大臣賞に輝いた。アプリを介して端末側で、リアルタイム表示や測定値の記録ができるほか、設定の変更や各機能のオン/オフ、基準値などを作業者向けにカスタマイズができる。
また関電工の測定記録支援システム「BLuE(ブルー)」は共立電気計器などワイヤレス技術を搭載した国内メーカーの現場用測定器を対象に、測定データをパソコンやタブレット端末で受信し、CADやPDFの図面、表計算ソフトウエアのエクセルに直接入力できる。
ワイヤレス技術を生かした現場測定器やアプリは、働き方改革の推進や効率化に貢献しており、販売コストでは見えない作業効率の向上、省人化など高いメリットを背景に注目を集めている。