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海の日
7月20日の「海の日」は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨とする国民の祝日。日本の海へ目を向ければ、内航海運は国内の貨物輸送全体の約4割を担う基幹的な物流インフラとなっている。しかし船員不足や安全性の確保など諸課題にも直面する。そのような中、日本財団が旗振り役となり2040年までに内航船の自動運航化50%を目指すプロジェクト「MEGURI 2040」が進む。
無人運航船プロジェクト進む
「フェリーの乗客はまったく気付かない。自動運航なのか、そうでないのか」。日本財団の海野光行常務理事は笑みを見せた。25年12月、新岡山港と瀬戸内海の小豆島を結ぶ旅客フェリー「おりんぴあどりーむせと」で、自動運転レベル4相当での商用運航が始まった。当面は現行法が定める人数の船員が乗船しての運航となるものの、旅客船としては世界初となるこの試みに、大きな期待が寄せられている。
20年に始動した同プロジェクトには造船・海運企業や舶用機器メーカーだけでなく、IT・通信やAI(人工知能)開発企業、商社など、海事クラスター(産業群)を越えた幅広い分野の国内企業53社が参加する。挑戦への船出となった第1フェーズ、22年秋からの第2フェーズを経て、用途や運航距離、航行環境などが異なるさまざまな実証を重ねてきた。
第2フェーズでは旅客フェリー「おりんぴあどりーむせと」のほか、トラックやトレーラーが自走して乗り込む貨物専用フェリー・RORO船とコンテナ船、自動運航を前提とした新造船の全4隻で実証を行った。いずれも国土交通省の船舶検査に合格し、自動運航での商用運航を既に実現している。
レトロフィット普及のカギ
中でも、船舶では一般的なレトロフィットでの改造をここでも活用していることが注目される。自動運航船と聞くと、最先端技術を搭載した船を一から造ることをイメージしがちだ。しかし前出の4隻のうち3隻は既存船にセンサーや通信機器、操船支援システムなどを後付けし、周辺認識や運航状況の統合表示、挙動予測といった機能を実装している。
これにより既存船を活用した自動運航機能の導入が可能となり、費用・時間ともに大幅に抑えられる。日本で最も普及する749総トンのコンテナ船「みかげ」が同プロジェクトでの実証を経て商用化されていることは、今後の普及に向けて弾みになるだろう。
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陸上支援センターから航海士が船を監視する様子(日本財団提供)
また自動運航船の実用化は、船員の働き方を変える可能性も示す。その象徴が兵庫県西宮市に設置された「陸上支援センター」だ。同センターは複数の船舶と通信回線で結び、運航状況や機関の稼働状況を遠隔で監視・支援する。これまで船員は長期間にわたる乗船勤務が前提だったが、将来は船員の陸上勤務が当たり前になるのかもしれない。
そしてもう一つの重要なテーマが国際ルールづくりである。海野常務理事は今年5月、ロンドンで開催された国連の国際海事機関(IMO)の会議で同プロジェクトの成果発表に臨んだ。多くの国が構想段階の説明にとどまる中、世界に先駆けて自動運航船を社会実装した日本の取り組みは関心を集めた。会場には各国の代表団約300人が詰めかけ、複数の国から技術協力の申し出もあったという。この会議で採択された自動運航船の国際ルール「MASSコード」の策定においても、日本の実証成果は貢献したといえる。
プロジェクトは27年から新たなフェーズに突入する。海野常務理事は「船舶は絶対に事故を起こしてはならない。だからこれからも実証を重ねて、より完璧なものを目指したい」と力強く語った。
