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海の日
7月21日の「海の日」は「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日」として1996年に施行された国民の祝日。2025年で30回目を迎える。業界では人材獲得や海事産業への理解促進など、多様な取り組みが行われている。
輸出船、堅調続く
内航船―船も船員も”高齢化”
日本船舶輸出組合(JSEA)が9日に発表した2025年1―6月期の輸出船契約実績によると、受注量を示す一般鋼船の契約は前年同期比31・9%減の502万3200総トンとなった。3年ぶりの増加となった前年同期から再び減少に転じた。半面、旺盛な受注を背景に国内の船台が埋まっている状況に変化はなく、業界関係者によると受注環境は悪くないという。新造船受注量から完成分を引いた国内における輸出船の手持ち工事量は25年度6月末現在で620隻、2999万2730総トン。3・5―3・6年相当分の水準を維持しているという。
6月単月の実績は前年同月比36・9%減の135万5450総トンと、3カ月連続で前年同月を下回った。一方、単月では3月以来3カ月ぶりに100万総トンを超えた。受注隻数は23隻で前年同月に比べて31隻減った。船種別では自動車運搬船が2隻、ハンディ型バラ積み船が9隻、ハンディマックス型バラ積み船4隻、ケープサイズ型バラ積み船5隻、VLCC(20万載荷重量トン以上の大型タンカー)2隻、液化石油ガス(LPG)/アンモニア船1隻だった。
内航船は船の老朽化が進みやすいだけでなく、船員のなり手不足と高齢化といった問題に直面している。
国土交通省海事局の「数字で見る海事2024」によると、23年時点での内航船では、法定耐用年数14年を超える船齢の船舶が66%を占めている。内航船員は50歳以上の割合が44・0%と全体の約半数を占める状況にある。一方で若年層の獲得に向けた取り組みが進められ、23年の30歳未満の船員数割合は5693人(前年比142人増)となった。2018年の30歳未満の船員数は5270人で、割合は全体の18・7%だったのに対し、23年は19・9%まで増加した。
練習船「銀河丸」
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銀河丸の長谷川船長から、船の構造などについて話を聞く子どもたち
海技教育機構(JMETS)と富山高等専門学校は5月11、12日の両日、富山県射水市の伏木富山港海王岸壁で練習船「銀河丸」の見学会を開催した。
見学会は乗船体験などを通し、若年層への海事産業の理解促進を図り、将来の担い手確保につなげる狙い。航海訓練所時代から続く伝統行事で、例年全国の港で5回ほど実施している。
銀河丸は銀河丸二世の代替船で2004年6月に就航した。全長116・40メートル、全幅18メートル、6185総トン、最大搭載人員246人。低公害エンジンを搭載し、毒性の少ない船底塗料の採用など、環境に配慮された設計になっている。船内や装置の一部をバリアフリー化し、一般公開時に高齢者や身体障がい者の見学にも対応している。
11日は富山県内の小中学生など19人が参加し船橋や甲板設備、機関室などの見学や椰子摺りなどを体験した。公室では長谷川恭通船長が、自作の銀河丸など練習船5隻の模型を紹介した。長谷川船長は「模型を作ることで船の構造が理解しやすい。実習生に操船の仕方を教える時も模型を見せている。私も幼稚園の時に練習船を見学して、いつの間にか船長になっていた」と話し、児童や生徒らは耳を傾けていた。
12日は富山高専商船学科の学生など42人が参加した。船内見学などで、3年時から始まる練習船での実習に向けて具体的なイメージをつかんでいた。
海の日記念行事2025
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会場では自動車船や練習船を間近で見ることができる
国土交通省海事局や総合海洋政策本部、日本財団は21日11時から17時まで、東京都江東区の東京国際クルーズターミナルで「海の日記念行事2025」を開催する。入場無料。
会場では多世代に海への関心と理解と深めてもらうことを目的に各種イベントや展示、体験会が行われる。
館内3階ステージゾーンでは、11時40分から海上保安庁音楽隊が、14時10分から海上自衛隊東京音楽隊がそれぞれ「海の日スペシャルコンサート」として演奏する。15時からは直木賞作家の伊与原新さんと日本財団の海野光行さんが「物語を海で継ぐ~直木賞作家・伊与原新さんと考える『海の未来』」をテーマに文学と科学の視点から、日本人の今後の海との向き合い方など海をめぐる問いについて対談する。
会場では関係企業や団体などがブース出展する。企業のブースでは操船シミュレーター体験、船に関するパソコンゲーム、エンジン分解体験などに参加できる。団体ブースでは内外航海運の紹介、VR(仮想現実)体験などがある。このほか、事前予約制の自動車船見学や海技教育機構(JMETS)による海洋学校の紹介と練習船「大成丸」の一般公開を行う。
