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物流未来画(ミライエ)
日々、大量の物資が運ばれ、必要とする場所に届けられている。こうしたモノの流れを表す“物流”は重要なインフラの一つとして、経済活動を支えてきた。物流業界では、人手不足や燃料コストの増加、環境対応など多くの課題を抱える。これらの課題解決のために、政府や企業が物流改革を進めている。技術・サービスの進化で物流の未来を創造する。
モノの流れで社会を変える
自動化・省力化対応進む
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人手不足を背景に、物流現場でのAMRの需要が高まる(第6回関西物流展 オカムラのブース)
コロナ禍を機に電子商取引(EC)市場は拡大し続けている。経済産業省がとりまとめた「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2023年の国内のBツーC(対消費者)EC市場規模は、前年比9・23%増の24・8兆円、BツーB(企業間)EC市場規模は同10・7%増の465・2兆円となっている。
EC市場の拡大だけでなく、荷物の小口化、配送の多頻度化が進む。これに対して、モノを運ぶ担い手は国内の少子高齢化による労働人口の減少に伴い、人手不足が懸念される。
また24年4月から「働き方改革関連法」が施行され、トラックドライバーの時間外労働時間の上限規制が適用された。ドライバーの労働環境改善につながる一方で、ドライバーの収入減少や、労働時間の縮小による1人当たりの輸送量が減少するなどの恐れがあり、課題となっている。十分な対策を行わなければ、30年度には34%の輸送力が不足することが見込まれている。
このため、物流業界の労働生産性向上と人手不足対策が急がれる。国土交通省は30年度の総合物流施策大綱の策定に向けた検討会として5月に初会合を開催した。総合物流施策大綱は国内の物流の方向性を示すもので、現行の大綱は25年度が最終年度となる。
政府は対策として荷主・物流事業者に対する規制的措置を導入し、適正運賃や多重下請け構造の是正などを進めている。さらに、自動運転トラックや自動物流道路の実用化を急いでいる。
物流施設でも人手不足解消のため自動化や省力化への対応が求められており、ロボットの導入ニーズが高まっている。矢野経済研究所が発表した「物流ロボティクス市場に関する調査」によると、物流倉庫など屋内作業用ロボットの24年度の国内市場規模は前年度比13・1%増の404億3000万円を見込んでいる。ロボットのラインアップの拡充や、物流現場への導入の増加、ロボットの導入コストの上昇傾向などの影響が予想される。
また27年度には733億3000万円、30年度には1238億円になると予測。今後も物流現場でのロボットの導入は増えていくとみられる。
物流施設で活躍する自動化設備は、無人搬送車(AGV)や自律移動ロボット(AMR)、無人搬送フォークリフト(AGF)、コンベヤーなどの搬送機器といったハード面に加え、倉庫管理システム(WMS)などのソフトの面でも自動化に貢献する製品やソリューションが多数市場に投入されている。
こうした物流機器メーカー各社の製品・技術が物流現場の効率化や省力化を後押ししている。
