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国際物流総合展(2024年9月)
国際物流総合展2024(Logis-Tech Tokyo 2024)が10日から13日までの4日間、東京・有明の東京ビッグサイト東1-8ホールで開催される。主催は日本ロジスティクスシステム協会、日本能率協会など7団体。開場時間は10時から17時まで。入場登録料3000円(招待状・事前登録証持参者は無料)。
シン・物流革命とロジスティクスの最適化
【執筆】物流エコノミスト 日本大学 生産工学部教授 鈴木 邦成
トラックドライバーにはこれまで法的な労働時間の上限はなかったが、働き方改革関連法の施行に基づき、2024年4月より年間960時間という労働時間の上限が設定された。これがいわゆる「物流の2024年問題」である。本来は労働時間が長く、年間賃金の安いトラックドライバーの待遇改善を目的とした法改正であるが、労働集約的な現場を抱える現場ではかえって人手不足に苦しむという矛盾が表面化したのである。NX総合研究所によると、30年には「24年問題の影響(24年時点)と合わせて、輸送能力の34・1%(輸送9・4億トン)が不足する可能性がある」と指摘されている。
2024年問題/物流センターにも影響
物流の24年問題はトラックドライバー不足に焦点が当てられているために、「貨物輸送部門の問題に限定される」と考える関係者もいるが、実際はその影響は貨物輸送部門だけではなく、物流センター運営などにも及ぶことになる。
ただし、24年問題を物流危機として悲観的に捉えるのではなく、むしろ「ロジスティクス最適化を目指す好機」と捉える姿勢も大切である。労働力不足をデジタル変革(DX)の導入で、省人化、無人化により「新」や「真」と結びつけた「シン・物流革命」のもとにロジスティクス最適化を進めていくのである。
避けられないドライバー不足とDX武装
工場などから製品を出荷して物流センターや店舗に配送するスキームを考えた場合、出荷元や出荷先でトラックが長時間の荷待ち、手待ちを行えば、トラックドライバーが法律で決められた1日当たりの拘束時間や時間外労働時間を超過してしまう。長時間労働の一因となっているのが荷待ち、荷積み、荷降ろし、荷さばきや納品などに関わる一連の作業負担なのである。
トラックドライバーの労働時間には運転時間に加えて、荷待ち時間や荷捌き時間もカウントされることになる。これまでと同じような作業時間を想定していると、トラックドライバーの労働時間は上限に達してしまう。もちろん、トラックドライバーが不足している状況を鑑みれば、そうなっても代替ドライバーの確保は難しい。
したがって、工場や物流センターにおける迅速な荷積み、荷降ろし、荷捌きが求められることになる。これまでは手作業で行っていた一連の荷役作業からフォークリフトによるパレット荷役などに切り替えなければならない。レンタルパレットシステムなどを用いることで積み込み、積み下ろしの効率化を図るのである。
さらに言えば単にパレット荷役に切り替えるだけではなく、IT管理の導入も必須である。一例をあげれば、クラウド上でパレットの枚数管理ができるユーピーアールの「パレットファインダー」など人工知能(AI)技術を用いたパレットカウントアプリなどの活用も積極的に進めていく必要もある(写真)。フォークリフトについても将来的には無人運転システムの導入が進むことになるだろう。
また、トラックドライバーの長時間に及ぶ待機時間の解消を念頭に、入荷バースの予約受け付けシステムの導入も進んできた。トラックドライバーは納品の順番を事前にクラウド経由で予約できるようにすることで、待機時間を大幅に削減できる(図1)。
なお、DXの推進にあたり中核となるのはクラウド型の情報システムである。初期費用がかからず、維持コストについてもアップグレードなどは運営会社側が適時対応できる。
さらに言えば、物流DXの導入をいきなり進めるのではなく、まずはこれまでの作業プロセス全体を見直して、荷役作業の標準化・平準化を進めていく必要もある(図2)。作業ルールを統一する作業標準化と庫内の荷物の動きのムラをなくす平準化を徹底させたうえで、物流DXの導入を急ぎたいところである。
求められる無人化とDX
24年問題はトラックドライバー不足に起因する物流事業者の問題のように捉えられることも多いが、むしろ、荷主企業の問題といえる。バラ積み中心の荷姿、荷役、手荷役中心の庫内作業などのDX化を進め、ロジスティクスの最適化を目指していくのが、唯一無二の解決策ともいえるのである。
ロジスティクス未来フォーラム
国際物流総合展2024では同時開催フォーラムとして「ロジスティクス未来フォーラム」を実施する。このフォーラムはこれからの物流が歩むべき持続可能な道について、さまざまな観点から最新情報や取り組み事例を、東京ビッグサイト会議棟レセプションホールで発信。聴講対象を、荷主企業・物流企業などの会長・社長・執行役員クラス「マネジメント」、センター長・課長など物流現場担当者クラス「カイゼン」、ソリューション導入担当者向け「ケーススタディー」、サービス業を含めた全対象向け「トレンド」-四つの区分に分けた推薦プログラムを用意し、もっとも関心を持つ内容が容易に選択できる。定員400人で聴講は無料(事前登録制・先着順)。
13日14時半からコクヨロジテムと日本ロジスティクスシステム協会によるパネルディスカッション「物流事業の継続と革新のダイバーシティへ 業務×ひと×DX」が行われる。社会全体として多様性が注目される中、ロジスティクスや物流における女性活躍推進など、労働市場変化の観点から事例も交えて話し合う。
ほかにも多彩な最新情報・取り組み事例をフォーラム形式で発表する。詳細は国際物流総合展ホームページ(www.logis-tech-tokyo.gr.jp/ltt/)へ。