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レーザー加工機と加工技術
熱影響を低減 高品質な面照射レーザー接合技術「エリアレーザーリフロー」
【執筆者】
ナ・デックス
レーザセル
AI(人工知能)半導体や電気自動車(EV)向け二次電池分野で、高品質な接合技術が求められている。ナ・デックスは韓国のレーザセル(Laserssel、京畿道東灘新都市)と国内販売代理店契約を締結し、「エリアレーザーリフロー」技術を用いた装置の市場投入を加速する。同技術は数百マイクロメートルからミリ単位で設定したエリア内に均一なレーザー熱を面照射できる。微細化技術が求められるAI半導体の2・5次元(2・5D)積層パッケージ、3D積層パッケージのダイ接合や、バッテリー分野の難燃性の高いフレキシブルプリント基板(FPC)接合、ミニ発光ダイオード(LED)・マイクロLED基板の製造における品質向上にも有効とされる。
半導体基板 反りなしでリフロー
先端半導体が求められる第6世代通信(6G)ネットワーク、AI、高性能サーバーなどの用途におけるトレンドは「データの大容量化と処理の高速化」だ。データ処理速度の向上方法として、中央演算処理装置(CPU)やグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)、高性能メモリーの単一パッケージング化がある。
チップとダイ間の距離を短縮する大面積パッケージ工法やチップ積層工法(2・5D/3D)がその一例だ。
パッケージは非常に大きなサイズ(100ミリー200ミリメートル角)となっているが、チップの厚さは紙よりも薄く(0・03ミリメートル)、リフロー工程ではパッケージ自体の反り防止が課題だった。レーザセルのエリアレーザーリフロー技術は240度C以上の高温でも印刷回路基板を反りなしで接合でき、このような課題を解決する。
微小LEDのリワーク容易に
次世代ディスプレー分野では、2021年に誕生した小型のLEDを高密度に敷き詰めたミニLEDやマイクロLEDがタブレット端末のディスプレーなどに採用されている。こうしたディスプレーの製造において、大量転写やボンディング工程で発生した実装不良に対して、回路基板からLEDを取り外し、新しく付け直す作業(リワーク)は難しい。
特に数十マイクロー数百マイクロメートルサイズの微小LEDチップを除去し、新たなLEDを再実装するのは非常に難しく、顕微鏡とスポットレーザーを使う従来方式ではLEDチップと回路基板への熱によるダメージが懸念されていた。
このような課題に対して、エリアレーザーリフローはマイクロメートルサイズの面照射レーザーと、ミリメートル単位の比較的大きいサイズの面照射レーザーの二つの方式で同時に作業することで、熱によるダメージを解決した。
バッテリーとBMSの連結工程で活躍
EV分野では航続距離の延長や急速充電に対応するためにバッテリー性能の向上が求められているほか、発火の危険性があるため安全性の向上も課題となっている。安全性向上のカギはバッテリーマネジメントシステム(BMS)にある。
バッテリーの発火事故を減らすためには難燃性材質であるFPCの選択が重要となる。BMSとバッテリー電装部品を連結する軟性基板は発火に備えて難燃性材質の採用へと変わっているが、耐熱性の懸念を抱えており、高温下に長時間置くと熱的変形が起きてしまう。この連結工程では熱風式のマスリフローは適用できないため、エリアレーザーリフロー技術が新しい解決策として定着しつつある。
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図1 ビーム・シェーピング・オプティカル・モジュール(BSOM) -
図2 均一なビーム強度を持つ面光源レーザー
同技術は「イノベーション・ボンディング・オプティカル・レーザー」というユニットから、強度がガウス分布になる円形ビームが「ビーム・シェーピング・オプティカル・モジュール(BSOM、図1)」に入射される。そして、内部の多様なレンズを通じ、照射領域に均一なビーム強度を持つフラットトップビームに変形され、出射される。レンズ構成や配列、位置などを調整し、フラットトップビームの大きさを変えられる。
レーザセルはスポットレーザーを面に変換する超精密・超微細光学モジュールシステムであるBSOMとして、5タイプの光学ユニットで40通りの照射エリアをラインアップし、90%以上の面照射レーザー均一度を実現した(図2)。
SMTとして幅広い分野支える
前述の分野をはじめ、さまざまな分野でレーザーリフローは表面実装技術(SMT)として使用されている。最先端異種接合半導体パッケージの製造では、異なる材質や工程で製造された半導体を一つの大きなパッケージにする「チップレット」技術において、反りや不均一加熱による接合不良を解決することが喫緊の課題だった。
レーザセルは100ミリメートル角以上の大面積で対象に均一ビームを正確に照射することで、優れた歩留率で生産できる「レーザー・セレクティブ・リフロー(LSR)」を、18年に開発した。同技術は独自開発のレーザー光源をカスタム設計したBSOMにより、均一なビーム強度を持つエリアレーザーを生成する独自の源泉技術。
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図3 隣接部品への熱影響を最小限に抑えながらリワークが可能
必要な局所部位にレーザービームを短時間(数秒以内)面照射することで、チップやFPCの反り、基板損傷、隣接部品に対する熱影響を最小化する(図3)。数十マイクロメートルサイズのマイクロボールから、数百マイクロメートルサイズのLED、数十ミリメートルサイズのボールグリッドアレイ(BGA)、チップサイズまでリワークできる。
エリアレーザーの応用技術 グローバルに展開
またレーザセルは30マイクロメートルの薄さに適した超微細・超精密加圧機能を持つ「レーザー・コンプレッション・ボンダー(LCB)」も開発。半導体の反りの解消に寄与している。同製品は大面積の半導体製造工程において、最大500ニュートンの加圧が可能で、100マイクロメートル以下の極薄半導体でも反りなく接合できる。
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図4 多様なレーザーリフローの適用事例
さらに一つの装置で半導体製造の後工程に必要とされる全ての機能を一つの装置に集約したシステムも提供している。先端パッケージ工程に対応するエリアレーザー技術をコアとする応用技術(図4)と革新的な装置を開発した。技術力、工程の安定性、高い生産性が先端産業分野のグローバル顧客に認められ、顧客の拡大へとつながっている。
このほか、自動車業界におけるレーザー加熱のニーズとしては、高温雰囲気炉での部品の高温耐久テスト、焼きなまし、塗料乾燥、接着剤硬化などが注目されている。エリアレーザー加熱は高温雰囲気炉に比べて電力量や立ち上げ時間の削減効果もあり、適用拡大が加速すると期待されている。