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サステナビリティー/モノづくり革新(2)
久留米リサーチ・パーク/バイオ産業を支援
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バイオ関連企業が研究成果の実用化段階で利用できる貸工場「福岡バイオファクトリー」(福岡県久留米市)
久留米リサーチ・パーク(福岡県久留米市)は「福岡バイオコミュニティ推進会議」の事務局としてバイオ分野の支援活動を推進している。
「福岡バイオコミュニティ」は2021年に内閣府より認定された。その特徴として①充実したネットワーク②研究開発に恵まれた環境③魅力的なオープンラボ④多種の事業開発支援―といった四つの強みを有する。
現在4棟77室のインキュベーション施設を提供しており、特に先端機器をそろえたオープンラボでは約100種の機器を安価で利用可能であり、専任の技術職員による技術相談、技術指導、依頼分析など、手厚い支援を受けられる。
また「リーディングプロジェクト」「福岡バイオ産業創出事業」といった研究開発支援事業の成果である有望な技術シーズの早期社会実装に向け、「教育プログラム」「ビジネスプランのレビュー」「ピッチコンテスト」を提供するアクセラレーションプログラムを提供している。
さらに、大型展示会への出展支援、機能性表示食品の展示商談会の開催といった情報発信や、人材育成セミナーを開催するなど、シーズ段階から社会実装まで切れ間ない支援を実施している。
モノづくり3団体 合同でビジネス交流会
九州・山口産業人クラブと福岡商工会議所工業部会、福岡市機械金属工業会は10月、福岡市博多区で「モノづくりビジネス交流会2023」を開いた。恒例となったモノづくり関連3団体の合同イベント。日刊工業新聞社主催の産業見本市「モノづくりフェア」会場で2日間にわたりセミナー・パネル討論会、展示商談会を実施し、製造業の魅力を発信した。
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「大学生が使える補助金が必要」と日本風洞製作所のローン社長は提言した
九州発スタートアップ 風洞装置を“民主化”
初日のセミナーでは福岡市機械金属工業会の渡辺剛会長(渡辺鉄工社長)があいさつ。「若い人がモノづくりに興味を持ち、事業化・起業するエコシステム(生態系)をつくりたい。交流を通じて次代のモノづくりのイノベーションを達成したい」と口火を切った。
セミナーには日本風洞製作所(福岡県久留米市)のローン・ジョシュア社長が登壇。長崎県出身で九州大学在学中に起業した“九州発”の風洞試験装置を開発するハードテック・ベンチャーとして経験を語った。
同社は既成概念を打破し、安価で小型な装置の事業化を進める。ローン社長は「風洞の民主化が設立理念。中小やスタートアップでも手が届くようにしたい」と力を込める。
「一番きつかったのが製品化段階である“死の谷”」とし、一般的に投資家に人気のない成長ステージと説明。他方、西部技研や三松(福岡県筑紫野市)といった地場製造業から「応援したいという思いで」(ローン社長)支援を受けて乗り越えたと振り返った。
さらにハードテック・ベンチャーの育成についても触れ、「シード期に若手や大学の学部生が使える補助金が必要だ」と提言した。
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パネル討論会では事業承継やオープンイノベーションについて熱い議論が飛び交った -
展示商談会には22社が出展
パネル討論会―次世代につなぐモノづくり
パネル討論会は3部で構成した。最初の「スタートアップと産学官連携」では福岡大学、大分大学の担当者とスタートアップ2社が登壇。大学生で企業したナビラズの砂畑龍太郎運営代表は「学生起業の課題は社会人1年生で学ぶ基礎的なビジネスマナーなどを学べないこと。大学の支援があると助かる」と話した。
「アトツギ世代と産学官連携」では、家業を継いだ経営者と経営者候補の4人が登場。水門製造で培った金属加工技術を生かしてキャンプ用品に参入した、乗富鉄工所(福岡県柳川市)の乗冨賢蔵副社長は「最初はことごとくうまく行かなかった。わらしべ長者のように人脈をたどっていった」と明かした。
締めくくりの「元気なモノづくり企業と地域をつくる」にはローン社長と福岡商工会議所担当者、東洋ステンレス研磨工業(福岡県太宰府市)の門谷豊社長、西部技研の隈扶三郎社長が並んだ。
門谷社長はオープンイノベーションについて「核となる技術の周囲を協業してやっていく。花が開くと花びらが重なり、地域も活性化する」と意義を説いた。株式上場直後の登壇となった隈社長は「コア技術の性能向上などで大学の知見も借り、事業を伸ばしてきた」と説明した。
2日目の展示商談会には22社が出展。併催したプレゼンテーション大会では、10社が強みをアピールした。デジタル技術を用いた構造物点検業務を手がけるオングリットホールディングス(福岡県博多区)、製造業のビジネスマッチングサイト運営のミラリンク(北九州市小倉北区)の2社が最優秀賞を受賞し、幕を下ろした。