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サステナビリティー/まちと産業を次代に①
企業にとって業容拡大は命題の一つとなる。同時に社会の持続可能性を高める上で、企業が果たす役割は大きい。ビジネスの中でこれらを両立できれば、事業を動かすことが社会貢献の推進と同義になる。九州では製品、サービスを通じてサステナビリティーを実現する企業が存在感を放っている。
西部ポンプ機工/地下水処理に独自の強み―都市インフラ支える
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社長 後藤 敏男氏
西部ポンプ機工(福岡県大野城市)は、建設工事に伴う地下水処理で高いシェアを誇る。大規模な都市開発や公共工事、マンション建設といった幅広い分野で活躍する。地域の基盤になる建造物やインフラについて基礎的な工事を支える。後藤敏男社長は「当社やグループの事業自体が社会に貢献できている」と力を込める。
同社は1981年に設立、ポンプメーカーの建設営業部門などをルーツに持つ。主力はディープウェル工法、ウェルポイント工法といった地下水の排水工事だ。地面を掘削して構造物を設ける場合、地下水位を一時的に下げる必要があり、そこで出番となる。
地下水工事の施工性高める
例えばディープウェル工法は穴のあいた直径600ミリメートルほどの鋼管を垂直に埋設する。深さは20―30メートルになることもある。鋼管の穴から管の内側に流れ込んだ水をポンプでくみ上げることで、周囲の水を一時的に除き、地下工事の施工性を高める。
「工事にかかる水理計算を自社でやることでコスト競争力を持ち、社内にノウハウを蓄積できる」と後藤社長は強みを説明する。
岡山県以西のエリアで、年130件ほどの工事を現場技術者12人でカバーする。特に福岡市中心部で進行する大型再開発事業の多くで施工実績を持つ。西九州新幹線の橋脚関連、空港の滑走路でも実績がある。建物が完成すれば痕跡は残らないが、建築物が機能し続けることが技術の証になる。
西日本シティ銀行/金融・非金融ソリューション提供―顧客のSDGs経営 支援
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西部ポンプ機工は、地下水の排水工事技術で社会に貢献する
西部ポンプ機工は国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関しても力を入れる。鋼管を自社で加工し、使用後に発注元のゼネコンから引き取って再利用することもあるなど、循環型社会に貢献する。また社員の経営参画意識を高めることで、利益を生む体制づくりと働きがいの醸成を実現している。
こうした活動を充実するため、さらに西日本シティ銀行の融資商品「NCB SDGs応援ローン」を活用した。同ローンは、同行が融資先に対してSDGsの取り組み状況をヒアリングし可視化する。「SDGs宣言書」の発行とともに、持続的な社会づくりに資する事業活動を後押しするものだ。2021年の提供開始以来1635件(23年6月末時点)の融資実績がある。
同行は金融分野に加えて、非金融領域でもソリューション能力を高め、顧客のSDGs経営を支援している。白木原支店の吉村亮支店長は、担当する西部ポンプ機工について「公正な事業慣行や事業体制の面で評価が特に高かった」と可視化の結果について説明する。
西部ポンプ機工は現在の先進分野に加えて、健康・福祉や気候変動などの活動もより強化する考えだ。後藤社長は「土と水に特化したオンリーワン企業として社会の役に立ちたい」とさらなる貢献を目指す。
九州電力/高圧ケーブルを遠隔監視―劣化事故を未然防止
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電源ケーブルの保守は工場などの操業の根幹となる(特別高圧受電設備)
サプライチェーン(供給網)やインフラを支える大規模工場の安定操業は、社会機能の維持に重要な役割を果たす。それには操業の根幹となる電源ケーブルの持続的な運用が不可欠になる。九州電力は、企業が自家用として運用する特別高圧・高圧ケーブルの異常を遠隔検知できる国内初のサービス「PDLOOK(パドルック)」を提供している。
パドルックは操業を止めずに劣化状況を常時監視できるのが特徴。ケーブルの接地線に高周波電流センサーを取り付けてデータを収集し、劣化の目安となる部分放電(PD)を人工知能(AI)で検出。総合判定で劣化を診断する。機器の設置時も停電は不要だ。
開発には九電のノウハウと学識者の知見を組み合わせた。ケーブルは敷設後20年経つと停電事故が増える傾向があり、日常的に劣化の兆候をつかむことで事故リスクを低減する。
7月上旬には三井住友海上火災保険が「ケーブルあんしん補償保険」の提供を始めた。パドルックによる診断で「リスク高」と評価されると、ケーブル交換費用を一部補償する。故障前の交換が補償対象になるため、九電では早期の設備更新による事故や停電のリスク回避に貢献できると期待する。
西部ガスHD/ZEB拡大、LNG推進―カーボンニュートラルに全力
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西部ガスホールディングスはグループを挙げて脱炭素化に挑む(ひびきLNG基地へのカーボンニュートラルLNG積載船の入港)
西部ガスホールディングス(HD)は、2050年のカーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に向けて、グループを挙げて取り組む。施策の一つがCN都市ガス/LNG(液化天然ガス)の普及だ。天然ガスの採掘、輸送、消費の全工程で発生する温室効果ガス(GHG)をカーボンオフセットしたLNGで、グループの西部ガス(福岡市博多区)が22年4月に供給を始めた。
供給するガスは、ソコテック・サーティフィケーション・ジャパン(東京都千代田区)がGHG低減効果の妥当性確認と検証を実施。国際基準に照らして妥当性を認められたことにより、西部ガスはユーザーに供給証明書を発行し、供給ガスの信頼性を高めていく。
さらに建築物で消費されるエネルギー低減も併せて推進する。このほどネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)導入を支援する事業者「ZEBプランナー」としてコンサルティング分野で登録された。
従来手がけてきた省エネルギー診断などに加えて、顧客のZEB認証取得のほか、総合的エネルギー提案、ガスと組み合わせた省エネシステム提案、補助金申請サポートなどを強化。社会の脱炭素化に向けて多様な手段を提供していく。
