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京都産業界
存在感示したJASIS2023
見て、触れて、話して、体感
「Come Touch JASIS」をコンセプトに掲げた分析・科学機器の展示会「JASIS2023」が、今秋開かれた。コロナ禍を経て4年ぶりに制約のない開催となり、見て、触れて、話して、体感できるリアル展示を意識したという。最新技術や自動化などの課題解決、新製品を紹介する京都企業が存在感を示した。
ラボの属人性を解消
「AI(アナリティカルインテリジェンス)toAX(アナリティカルトランスフォーメーション)」をテーマにした島津製作所。研究者がより高度な業務に専念するため、ラボの属人性を解消する製品などを出展した。
大きく展開したのがソフトウエア展示。研究開発の現場で使われるガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS)向けに、分析データ取得後の波形処理に人工知能(AI)を活用して作業者によるばらつきをなくすソフトウエアや、分析条件の開発を支援するシステムなどを紹介。AI技術を用いた自動化・省力化ソフトの展示に多くの来場者が足を止めた。
従来機種よりも横幅を35%削減したスリムなGCといった実機も披露。今年は技術説明員をコロナ禍と比べて約1・5倍に増員し、来場者への対応を手厚くした。
実機によるデモエリアを開設
堀場製作所もリアルでの体感に重点を置き、実機によるデモンストレーションを行うエリアを開設する初の試みを行った。医薬品分析などに使う蛍光吸光分光装置を含めた4装置によるサンプルの測定実演に加え、装置の有効的な使い方や分析ノウハウなどの困りごとも直接相談に応じた。
このほか、半導体材料向け分析などで活躍する顕微ラマン分光測定装置の旗艦機をリニューアルし、初披露した。「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」といった注力分野の紹介や、半導体製造工程でのトータルソリューションを提案するパネルなどで「はかる」技術の可能性を訴求。担当者の説明を熱心に聞く来場者の姿が見られた。
自動化・新製品などアピール
中小企業でも自動化システムや新製品の出展が目立った。京都電子工業(京都市南区)は、自動化・省力化に向けたカスタマイズ製品「連続オンライン滴定システム」を参考出品した。酸やアルカリの濃度を測る滴定装置で、サンプルを並べれば測定結果を出すところまで全自動で行える。顧客の要望に合わせて個別対応する。
精密・微細部品を受託加工する二九精密機械工業(同)は、自社開発したパイプ内面粗さ検査装置の販売モデルを紹介。小径の金属管内面を非破壊で測定でき、作業性なども高めた。
ワイエムシィ(京都市下京区)は液体クロマトグラフィー用カラムなどの新製品を出展し、世界的に需要が拡大している核酸医薬品や最新モダリティー(治療手段)などに向けて提案する。
トップインタビュー/京都中央信用金庫理事長 白波瀬 誠氏
DXで広く、深くつながる金融
―環境が目まぐるしく変わる中での顧客支援や、変革への取り組みを教えてください。
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