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技術と英知の融合 発信 最新技術披露 商談活発に
水素などクリーンエネルギー提案
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オープニングセレモニーでテープカットをする福田紀彦川崎市長ら7人 -
会場を埋め尽くすように124社・団体が出展 -
出展者の説明に耳を傾ける福田紀彦川崎市長(右)
今回掲げたテーマは「技術と英知の融合が切り開くグリーントランスフォーメーション」。出展数は124社・団体(171小間)で、そのうち49社が新規出展だった。
2日間の来場者は計約4600人。4150人だった前回を大きく上回った。商談は開催前の予約段階で100件超。出展者からは「これまでにない商談ができた」「活気があった」なとという声が相次ぎ寄せられた。
再生可能エネルギーの研究開発を進める大手企業とモノづくりを得意とする中小が同じ「舞台」で共演。脱炭素社会の実現と、持続可能な経済活動を両立させる課題解決に向けた提案が目を引いた。
三菱化工機は水素を「つくり、貯めて運び、使う」まで一貫して扱う強みを強調。水素製造装置から排出される二酸化炭素を光合成に使う藻類培養装置の模型など展示して水素を「より身近に感じてもらえた」という。
ブース内には水循環型手洗いスタンド「WOSH」も設置。使った水の98%以上をその場で循環することで節水に役立つだけでなく、災害で断水した場合、給水が復旧するまで力を発揮するとあって注目を浴びた。
東京メータ(川崎市中原区)が三木プーリとの共同出展で紹介したのは空気の流量、空気圧エネルギーを算出する空気力計「エアパワーメータ」だ。
工作機械などの環境負荷低減を加速させる上で課題となるのが消費エネルギーの可視化。中でも注目されるのは空気圧のエネルギー管理。工場全体の空気圧エネルギーを見える化することで対策を進めようと提案した。
馬場正寿社長は「エアーパワーのエネルギーを管理する時代がやってくる」と語った。
クジ精機製作所(川崎市宮前区)が紹介したのは噴霧した微細な霧の気化熱で涼風を送るミストクーラー。空気と水の二つの流体を噴射する2流体タイプのノズルでミストを微細化。噴霧後すぐにミストは気化し、機器周囲の人や設備、床を濡らさない。取り付けが容易なのも強みだ。
樹脂成形メーカーへの納入がほぼ決まったほか、工事現場向けにも引き合いが相次ぐ。温暖化が進む中、「現場の暑さ対策は急務になっている」(山本浩平社長)とみる。
エレックス工業(川崎市高津区)が披露したのは2024年春をめどに投入するデジタル型マイクロ波放射計。物体が放出する電磁波から得た輝度温度をもとに水蒸気量、風速、塩分濃度などを推測。雲を形成する前の水蒸気量を高精度に観測できれば、甚大な災害をもたらすゲリラ豪雨、線状降水帯の早期発生予報につながる。
気象レーダーで水蒸気を捉えるのは困難を極める。そこで期待されるのがマイクロ波放射計。「仕組みと効果に期待を寄せられた」(内藤岳史社長)。
小田急電鉄が披露したのは、廃棄物収集業務を効率化する自治体・収集運搬業者向けシステム「WOOMS(ウームス)」。タブレット端末の位置情報と収集データに基づき、効率的な回収ルート構築や各集積所・資源ゴミ回収拠点の訪問履歴を管理できるようになる。川崎市では一般廃棄物の収集運搬業務委託先の同システム導入について、9月に働き方改革・生産性向上モデル事業に採択された。同社担当者は展示会が「自治体関係者に広くアピールする機会になった」と話す。
ビジネスマッチングに重点/川崎市 経済労働局長 久万 竜司氏
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久万竜司川崎市経済労働局長
脱炭素実現へのイノベーション期待
今回は新たな技術開発につなげるビジネスマッチングに力を入れた。重点を置いたのはスタートアップ、水素技術など先端技術を扱う企業に出展してもらうこと。新規の出展者などと交わることで、新しい気づきが生まれることを期待していたが、例年以上の手応えを感じた。
大切なのは参加者が他社の優れた技術を取り入れ、付加価値を高めるきっかけにすること。つながりを深める中で脱炭素に向けたイノベーションを起こしてもらいたい。
川崎にはIT系の企業も多い。今後はそうした方にも参加してもらい、DXを重ね合わせればGXの加速にも効果的。川崎市の強みを生かせる。アジアにとどまらず欧米からも参加していただける技術展としたい。来年は市制100周年。ワールドワイドな展開が一層の飛躍につながるだろう。次世代を担う人材育成にも力を入れたい。
エコに注目
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フィルムを使わず荷崩れを防ぐパレタイズグルー
アネスト岩田/潤滑油を使わず清浄な空気
アネスト岩田は吐出されるエアに油分を含まないオイルフリースクロールコンプレッサー「SLPシリーズ」、段ボールなどに水溶性接着剤を塗布して荷崩れを防ぐシステム「パレタイズグルー塗布システム」を出展した。同社は環境負荷が低いオイルフリーコンプレッサーを推進している。スクロールコンプレッサーは、さらに省エネ・静音性にも配慮した仕様となっている。
別なアプローチの環境負荷低減策として注目されたのがパレタイズグルーだ。段ボールなどに水溶性接着剤を塗布して積み重ねることで、結束バンドやストレッチフィルムに頼らずに荷崩れを防ぐ。同社担当者は「多くの来場者に関心を持ってもらった」と話す。
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シゲンは「シゲンクラウド」のデモンストレーションを実施
シゲン/ペーパーレスで産廃を一元管理
シゲン(横浜市中区)は廃棄物契約書の作成から電子マニフェスト(産業廃棄物管理票)登録まで一元管理できる排出事業者向けクラウドサービス「シゲンクラウド」をデモンストレーションした。小出花帆システム事業部長は「実際にパンフレットを手に取り、話を聞いてくれる来場者が多かった」と手応えを語る。
日本産業廃棄物処理振興センターが運用する「JWNET」とのシステム連携で、リサイクルに適さないノーカーボン複写紙の紙マニフェスト伝票や行政報告書の作成が不要になる。業務の効率化とともに、環境保全のため廃棄物処理法が排出事業者に責任として求める“適正な処理”をDXで担保する仕組みづくりを進める。