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関西発―次世代産業への取り組み(2) 自社の強みを生かし幅広く事業展開
センコー/物流2024年問題へ対応本格化
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前車両は旭化成ホームズ、後車両はフジテックの貨物を輸送する全長24メートルのダブル連結トラック
センコー(大阪市北区、福田泰久社長)は、来たる物流2024年問題に対応するため、物流の効率化や脱炭素化に取り組んでいる。22年に旭化成ホームズとフジテックの長距離輸送で共同配送を開始した。
2社の貨物輸送トラックを連結させて運ぶ「ダブル連結トラック」の導入により、年間の二酸化炭素(CO2)排出量を約30%削減、運転時間の約40%削減を目指す。
従来は関東―関西間における2社の配送を別々で行っていた。ダブル連結トラックにより長距離幹線区間は連結して運び、再度切り離して各納品先への配送を可能にした。
また連結・切り離し地点でドライバーが交代できるようになり、長距離輸送を1人で担う必要がなくなったことで、ドライバーの負担軽減にもつながった。これらの取り組みにより第24回物流環境大賞の特別賞を受賞した。
電気自動車(EV)トラックの導入も積極化している。9月、住宅部材の配送に、三菱ふそうトラック・バスと共同で開発した4トン級の平ボディーEVトラックを導入。車体の軽量化などで重量のある部材でもEVでの輸送を可能にした。1回の充電で往復約200キロメートルの走行が可能で、23年度内に計4台投入する計画だ。
レンゴー/DXでホワイト物流推進
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24年度にボタンデバイス導入を予定するレンゴー淀川流通センター
段ボールトップメーカーのレンゴーは、トラックドライバーが安心して健全に働ける「ホワイト物流」をデジタル変革(DX)で進めている。2023年度には、専用の情報端末で段ボール原紙の出荷作業を改善する取り組みを始める。
ボタンとディスプレーで容易に通信できる端末(ボタンデバイス)をドライバーに配布する。端末は積み込み待ちトラックの順番や原紙の荷ぞろえを管理する情報システムと連携しており、原紙をトラックに積み込む手続きを端末で電子的に遠隔処理し、手続きする場所への移動や対面作業が不要になる。
ドライバーは原紙の出荷拠点に直接向かえるようになり、拘束時間を最大で約30分短縮できる。埼玉県八潮市の八潮工場(製紙工場)、八潮流通センター、八潮第二流通センター(原紙倉庫)で活用を開始する。
淀川流通センター(大阪市福島区)においても、トラックの順番管理システムや原紙ピッキングアプリを導入し、構内の混雑を緩和した。倉庫は一部自動入出庫エリアを導入して、荷ぞろえの一部自動化で積み込み時間を短縮し、入出庫を省人化している。淀川流通センターにも24年度、ボタンデバイスを導入する。既に導入を開始しているRFID(無線識別)の活用と合わせ、原紙の輸送効率化と現場の作業低減を進める。
ダイキン工業/製造ラインにデジタル技術
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新たな生産技術を生み出す場となっているダイキン工業の滋賀製作所
ダイキン工業は滋賀製作所(滋賀県草津市)をマザー工場と位置付け、ここで開発した新たな生産技術を海外にも展開している。現在、取り組んでいるのは製造ラインでのデジタル技術の活用。従来、部品を正しく取り付けたかどうかの確認は目視に頼っていたが、骨格推定技術を用いた動作分析技術を導入。作業者の手の動きや角度を周辺の画像とすり合わせて正しい作業手順だったかを自動判定する。作業漏れの疑いを早期発見し、品質安定と生産ロス低減につなげる。
原価の低減のために材料の置き換えにも取り組む。2019年から室外機の熱交換器の素材を銅からアルミニウムに変更したことに続き、23年からは室内機でも採用した。アルミはろう付けができる温度範囲が狭く接合加工が難しいが、作業者によって品質の差が出ないよう自動化を達成。トーチ形状と加熱方法の工夫で複雑な配管形状に対応した。将来の世界的な切り替えも視野に入れている。
今後は設計を工夫し、部品の共通化やモジュール(構成単位)化に取り組む。さまざまなニーズへの対応で機種が多種多様になり、部品の種類も膨大になる。そこで異なる機種でも部品を共通化し、共通部品を一体にするモジュール化ができれば、生産現場の大幅な効率化が実現する。