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関西経済連合会/持ち味は〝大胆な提案〟
関西経済界を引っ張る関西経済連合会。その活動は関西にとどまらず全国で存在感を発揮する。大胆な提言は持ち味で、デジタル変革(DX)などにも意欲的に取り組む。最近の活動を追った。
CGコード改訂へ一石
関西経済連合会は9月11日、北海道・北陸・中部・中国・四国・九州の6経済連合会と連名で、上場企業の行動規範となるコーポレートガバナンス・コード(CGコード)改訂の流れを作るべく、提言をまとめた。マルチステークホルダー資本主義の理念を反映し、現CGコードで色濃い「株主第一主義」に一石を投じた。関経連は同提言を金融庁や東京証券取引所にも説明し、改訂時の参考にしてもらう狙いだ。
関経連の松本正義会長は「わが国で初めて(CGコード改訂の)具体的な提言となった。地域を越えた六つの経済連合会から共感を得られたのは心強い。(岸田文雄政権が掲げる)新しい資本主義の潮流にも合致する」と発表会見で述べた。12月には提言を知ってもらうため、東京で関連シンポジウムも行う。
提言は、CGコードの全ての「基本原則」に顧客や従業員、取引先、地域社会、株主など多様なステークホルダーを等しく重視する内容にすべきだとした。
企業にCGコードの取り組みで自律性を促す序文の追記も提案。政策保有株式で「縮減ありき」と解釈される表現の修正や、買収防衛策では買収提案者に社会的責任に関する情報の提出も求めた。独立社外取締役も「3分の1以上選任すべき」から、「3分の1を目安に必要に応じ選任すべき」とした。
松本会長は「ガバナンスの最後のよりどころは企業経営者の倫理観や道徳観であり、『社会の公器』としての責任を果たすことが必要」としている。
10月はDX推進強化月間に
関西経済連合会を中心に関西広域連合や近畿経済産業局など官民6団体は、関西広域でデジタル変革(DX)を推進する仕掛け「関西デジタル・マンス」を創設した。
関経連が事務局を務め、毎年10月を「DX推進強化月間」と定めて多様なイベントを行う。企業や自治体のDXの質向上を図り、関西全体でDX推進地域を目指す。
10月2日にオープニングイベントとして、Zホールディングスの川辺健太郎会長の基調講演や「関西がDX先進地域となるために」がテーマのパネル討論を大阪市内で行う。10月30日には、関西のDX推進企業を選出し表彰するイベント「KANSAI DX AWARD」も実施する。
関経連は2022年12月に「関西DX戦略2025」を策定し、大阪市内でキックオフシンポジウムを開催するなどDXの機運醸成を図っている。
関西経済連合会 会長 松本 正義氏/関西経済は改善傾向に
関西経済は個人消費の緩やかな回復、GX・DX・省力化などを見据えた設備投資の増加もあり、全体としては改善傾向にある。こうした明るい材料を背景に、関西経済のさらなる発展に向けて取り組んでまいりたい。
また、関西経済、ひいては日本経済の発展や新たな産業振興に向けたスプリングボードとなる「2025年大阪・関西万博」の開幕まであと562日となった。開幕500日前にあたる11月30日から入場チケットの前売り販売が開始されることとなり、官民一体での機運醸成活動が展開されている。
私自身も全国の経済連合会を訪問し、万博のさまざまな催事に参加いただき、万博を身近に感じていただきたいと、お願いしたところである。また機運醸成活動への協力、万博への来場、チケット購入といったご協力をお願いしている。関経連としては、政府、日本国際博覧会協会(機運醸成委員会)、自治体などと一体となって、国家プロジェクトとしての万博の成功に貢献してまいりたい。
今後、パビリオンや催事といった万博の中身が続々と明らかになっていくが、必ずや皆さまに楽しんでいただける内容になると確信している。未来社会を身近に感じることができるまたとない機会であるので、ぜひ会場に足をお運びいただきたい。