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中堅・中小企業・ベンチャー支援 手厚いサポートで育む、イノベーション強力に後押し
日本経済を支えているのは企業全体の99%以上を占める中小企業だ。為替相場の円安に伴う資源・材料の値上がりや人手不足など、依然として厳しい経営環境が続いているが、経済を再び成長軌道に乗せるためには中小企業の事業再構築・事業再生が不可欠。神奈川県下で中小企業支援に取り組む公的支援機関が手厚いサポートを打ち出している。同時に、日本経済を浮揚させる新たなけん引役として期待されるスタートアップ企業の育成・支援メニューも充実してきた。
神奈川産業振興センター 首都圏最大級の工業技術見本市を開催
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2月7-9日に開かれた「テクニカルショウヨコハマ2024」の会場
神奈川産業振興センター(KIP)は例年2月、パシフィコ横浜(横浜市西区)で横浜市工業会連合会、神奈川県、横浜市と共に首都圏最大級の規模を誇る工業技術・製品総合見本市「テクニカルショウヨコハマ」を開催している。今年2月7-9日の「テクニカルショウヨコハマ2024(第45回工業技術見本市)」には807社・団体が653小間に出展。3日間で来場した1万8176人に販路開拓、情報収集、ビジネスパートナーとの出会いの場を提供した。
来年の「テクニカルショウヨコハマ2025(第46回工業技術見本市)」の会期は2月5-7日。600社・団体の参加で、550小間の展示を見込んでいる。
開催テーマは『技術を創る 未来を創る』。出展ゾーンはビジネス・生活・社会のイノベーションにつながる「ニュービジネス」/「環境・エネルギー」、ビジネスモデルを変革するデジタル技術を集めた「DX・AI・IoT」、モノづくりの課題を解決する「加工技術」、付加価値の高いプロダクト提案の「機器・装置・製品・ロボット」、産業・生活・社会の未来を開くヒントを提案する「研究開発」、経営・事業展開の「ビジネス支援」の6分類。9月30日まで出展申し込みを受け付けている。
木原記念横浜生命科学振興財団 ライフサイエンスの研究・産業振興
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バイオベンチャーや研究機関向けの賃貸施設「横浜バイオ産業センター」
木原記念横浜生命科学振興財団(木原記念財団)は、神奈川県内の生命科学分野(ライフサイエンス)の振興と産業の活性化に寄与する活動を展開している。若手のアカデミア研究者を対象とした顕彰制度「木原記念財団学術賞」、小・中学生への自由研究コンクール「木原記念こども科学賞」を通して学術振興や知識の普及啓発を図っており、両表彰制度とも30年以上の実績がある。
横浜市内の中小企業や大学・研究機関・病院などを対象に毎年度、研究成果やアイデアを実用化するための最初のトライとなる試作品開発や予備試験を助成する「横浜市トライアル助成金」を実施。一方で大学のリサーチアドミニストレーター(URA)に代わって研究資金獲得や成果の公表・連携先との橋渡し、社会実装の支援をするなど、個別相談から解決策を一緒に考えて支援につなげている。その支援策は助成金、展示会出展、マッチングイベント参加、研究施設の提供などさまざまだ。
また、同財団は6月に微細藻類を活用した脱炭素技術の開発促進・実用化を目指して「微細藻類研究会」を発足させた。微細藻類研究の第一人者である国立遺伝学研究所の宮城島進也教授を顧問に迎え、企業・ベンチャー企業・研究機関に参加を呼びかけるなど、イノベーションの創出にも取り組んでいる。
横浜企業経営支援財団(IDEC横浜) 脱炭素化宣言を後押し 専門相談窓口も開設
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IDEC横浜が新たに開設した「脱炭素経営相談窓口」
横浜企業経営支援財団(IDEC横浜)は、横浜市内事業者の脱炭素化を後押しする。横浜市は市内事業者を対象に、脱炭素化に取り組んでいることを宣言する制度を2024年度に創設。IDEC横浜は同制度の協力団体として、市内事業者に制度の周知と活用を呼びかける。併せて、脱炭素経営専門の相談窓口を新設して取り組みを支援する。
同制度では「こまめな消灯」「LED照明への切替」といった身近な取り組み項目を専用ウェブサイトからチェックするだけで宣言できる。宣言書やロゴマークの使用、省エネ診断や設備導入費の補助金活用、市の総合評価落札方式における加点などのメリットがあり、事業者が参加しやすい仕組みにして、脱炭素化に取り組むきっかけをつくる。
専門相談窓口は6月26日に開設。脱炭素化の取り組みや関連する補助金等に関する相談、補助金等の申請サポート、自社の二酸化炭素(CO2)排出量・電気使用量を把握するためのセルフ診断の支援など幅広い相談を受け付ける。IDEC横浜のコーディネーターが事業者を訪問し、個別の事情に応じて脱炭素化関連の取り組みを提案する「プッシュ型相談」も推進する。
脱炭素関連技術のセミナーやマッチング会の開催も検討する。経営支援部イノベーション支援課の森原雄一課長は「脱炭素化に取り組むことで、企業価値の向上に結びつくような支援をしていきたい」と話す。
神奈川県立産業技術総合研究所 中小の生成AI活用 手厚くサポート
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4月に開催した生成AI活用促進事業キックオフ講演会
神奈川県立産業技術総合研究所(KISTEC)は、人工知能(AI)の活用を目指す中小企業等を一貫支援する「生成AI活用促進事業」を本年度から開始した。
人材育成支援として、生成AI等を業務に利用する際の適用領域や課題についてのオンラインセミナー(9月18日)や、活用研修講座(本年度後半)の実施を予定。生成AI等を活用する技術や事例などの情報を提供していく。専門家派遣・コンサルティング支援では、企業の生成AI等活用のさまざまな課題に対して専門家を無料で派遣し、現状把握から問題・課題整理、課題の見える化・解決策の方針提示までを支援する(全3回)。派遣実施後生成AI等の活用による新業務開拓を希望する企業にはコンサルティングを実施(1社3カ月程度・書類審査あり)。専門家派遣によって方針が見えた解決策をさらに深掘りし、要件定義、実施計画等の作成を支援する。また、次世代事業創出デザイン支援事業のスキームを活かして、支援対象開発企業、生成AI等システム開発事業者、デザイン事業者のマッチングを行い、KISTECが伴走し開発を支援していく。製品評価は、試作品も含む製品の試験・評価を専門職員が無料で相談に応じる。
ジェトロ横浜貿易情報センター 外国資本・人材で地域エコシステムを強化
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2022年から留学生と横浜市内企業の交流会を開催
日本貿易振興機構(ジェトロ)横浜貿易情報センターは県内企業の海外市場展開を支援する一方で、外国資本・人材を誘致して地域経済活性化につなげる取り組みを展開している。国際都市・横浜には外資系大手も立地しているがイノベーション創出につながるスタートアップを呼び込み、日本人と異なる視点や価値観を持つ外国人の就労を促して“地域エコシステム”を形作っていく。
外国企業の誘致では地元の自治体と密接に連携。日本法人立ち上げや銀行口座開設の支援、法務・税務コンサルテーション紹介などのほか、期間限定で同センターの無料レンタルオフィスも提供している。「外国企業からの問い合わせ、相談件数はすでにコロナ禍前の水準に戻っている。政府の半導体産業支援策を背景に、回路設計などの関連産業の進出もある」(同センター)状況だ。
一方、県内の大学には留学生も多く、卒業・修了後も日本国内で活躍してもらうため、2022年から横浜国立大学および横浜市立大学と共催で横浜市内企業との交流会を開いている。英語による授業のみ履修するイングリッシュ・トラックの留学生に、企業側も英語で対応する。“変革を後押しする存在”として期待を集める。
かわさき新産業創造センター 世界水準のイノベーション拠点
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産学交流・研究開発施設「AIRBIC」
かわさき新産業創造センター(KBIC)は、ベンチャー企業や企業の新分野進出の支援などを目的に川崎市が設置する施設で、各種工作機器やパソコン・3Dプリンターを配備するKBIC(ケービック)本館、大型クリーンルーム、ナノ・マイクロ領域の超微細加工・計測が可能な各種機器を備えるNANOBIC(ナノビック)、商談や懇親会・交流会にも利用可能なレストラン、入居者向け最大300人収容可能な会議室などを備えるAIRBIC(エアビック)といった各施設の特徴を活かし、異分野融合型のベンチャー成長環境を創出しています。
当施設では、豊富な専門知識、実務経験、幅広いネットワークを持つインキュベーションマネージャーが常駐し、入居企業の経営、ビジネスプラン、マーケティング、技術開発更には、専門技術分野の経験者である技術コーディネーターが技術講習会の開催や入居者等の技術サポートするなど、寄り添い型伴走支援体制により、こまやかな経営支援サービスを行うとともにオープンイノベーションに向けた各種イベントを実施するなど、幅広くベンチャー企業の支援に取り組み、入居者様から高い評価を得ています。
入居企業様の成長ステージに応じて切れ目ない成長支援を一気通貫にご提供いたします。