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2023年度 栄誉に輝く
神奈川県は輸送機械(自動車や鉄道車両など)、化学工業、食料品をはじめとして、首都圏の産業の一角を担う重要な地域だ。多くの企業が集うこの地には、地域という垣根をも越えて活躍して活躍する人材、優れた製品が数多く存在する。その中から2023年度、輝かしい評価を得た「人」「もの」を紹介する。
旭日小綬章を受章―厚木商工会議所会頭 中村 幹夫氏 23年秋の叙勲
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地元の厚木市で開かれた祝賀会で謝辞を述べる中村氏
地域経済発展に尽力 叙勲の栄誉
厚木商工会議所会頭で大和ケミカル(神奈川県厚木市)会長の中村幹夫氏が、2023年秋の叙勲で旭日小綬章を受章した。中村氏は1947年高知県生まれで高校卒業後、厚木市内の企業に就職。6年後の72年に同僚と二人で大和ケミカルを起業し、13年に子息へ事業を承継するまで40年余り代表・社長を務め、海外拠点も構える工業用・医療用ゴム製品メーカーに育て上げた。
厚木商工会議所の常議員・副会頭を歴任し16年、10代目の会頭に就任して現在は3期目。21年から厚木市観光協会会長も務める。叙勲の発令を受けた際、中村氏が寄せた喜びの声「事業を承継して10年間、厚木商工会議所の副会頭、会頭として事業者、行政、大学などの関係者とともに地域経済発展へ尽力したことが評価されたものだと思う」の通り、経済社会の発展に対する寄与が認められ、叙勲の栄誉に輝いた。
2月11日には同会議所の役員らが発起人となって厚木市内のホテルで盛大に祝賀会が開かれ、会議所会員のほか地元自治体や行政関係者ら300人以上が駆けつけて、中村氏の親族とともに受章を祝福した。祝宴の謝辞に立った中村氏は創業当初の苦労を振り返りつつ「多くの素晴らしい人との出会い、人生の岐路で選んだ道、巡り合わせ、周囲の人々に助けられて今日を迎えることができた。いつまでも謙虚な姿勢と感謝の気持ちを持ち続け、精進していきたい」と述べ、盛んな拍手を浴びていた。
また、1月15日には中村氏が会長を務める神奈川産業人クラブをはじめ、全国各地の産業人クラブで組織する日本産業人クラブ連合会が日刊工業新聞社と共催した賀詞交歓会の席上、中村氏の叙勲を報告して井水治博会長(日刊工業新聞社社長)が賀状楯を贈呈。2月の祝賀会でも改めて、賀状楯の贈呈が披露された。
第41回優秀経営者顕彰 日刊工業新聞社賞―コダマコーポレーション社長 小玉 博幸氏
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贈賞を受ける小玉氏
モノづくりの強い信念貫く
コダマコーポレーション(横浜市都筑区)の小玉博幸社長は、日刊工業新聞社が優れた中堅・中小企業経営者を表彰する「第41回優秀経営者顕彰」において、日刊工業新聞社賞を受賞した。1989年の創業時から、お客さまに「最高のサービスを提供する」を経営理念とし、システムの立ち上げ・運用サポートのみならず、エンジニアの育成や技術承継などの仕組みづくりの提案を行っている。
さらに、自社のCAD/CAMシステムと5軸加工機や複合加工機を使って、金属加工を行う試作工場も立ち上げた。提供するシステムは「製造業の皆さまに経営的に大きな効果を上げていただけるもの」(小玉社長)と自負する。
世界のモノづくりを体感し、日本のモノづくりをさらに良いもの、効率的なものに変えていきたいという強い信念が受賞に結びついた。「すばらしい賞を頂戴したことを胸に刻み、日本の製造業に携わるみなさんと一緒になって、日本のモノづくりを変えるため、まい進していきたい」(同)と今後の活動にも意気込む。
知識の有無や男女、文系、理系などの垣根を超えて採用した人材に、短期間で優れた技術を身に付けさせて独り立ちさせる教育システムも構築している。この仕組みが製造現場で取り入れることができれば、現代の労働人口減少に一石を投じるものだろう。コダマコーポレーションのシステムと人材育成の仕組みを合わせれば、高い技術とスピード感のあるモノづくりが、少人数で実現できると期待される。
「川崎CNブランド2023」に登録―東京メータ/省エネコンサル事業
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社長 馬場 正寿氏
東京メータ(川崎市中原区)は「エアパワーメータ®省エネコンサルティング」で「川崎CNブランド2023」に登録された。空気圧エネルギーを計測することで、工作機械などに使われる圧縮空気の漏れや、圧力損失によるエネルギー損失の原因を調査して可視化。製造現場の省エネルギー対策に貢献できることが評価された。
川崎CNブランドは、川崎市内の企業を対象に優れた環境技術を使い二酸化炭素(CO2)の削減に貢献する製品・技術、サービスを認定する制度。
認定された「エアパワーメータ®省エネコンサルティング」は、空気圧計を使って空気圧エネルギーを電力と同単位のキロワット表示し計測。圧縮空気のエネルギー損失の原因を調べ、施設や機器に適した省エネ対策を提案することで、コンプレッサーの消費電力削減に役立ててもらう。
これまでの省エネ対策は主に使用電力が対象だった。ただ一般的に工場で使う空気圧エネルギーは使用電力全体の20―30%を占める。無駄を減らせば使用電力削減とCO2削減に貢献できる。「この受賞を契機に社会的責任を果たす企業として一層、省エネ、CO2削減、電力コストの問題解決に貢献する」(馬場正寿社長)。
“超”モノづくり部品大賞 20周年記念賞―土壌環境プロセス研究所/キャビテイション無軸連続混合器 DEM
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社長 藤井 忠広氏
土壌環境プロセス研究所(横浜市港北区)は「キャビテイション無軸連続混合器 DEM」で「2023年超モノづくり部品大賞」(モノづくり日本会議/日刊工業新聞社主催)の「20周年記念賞」を受賞した。秒速50メートル以上の高速水流によりキャビテーション(気泡の発生と消滅)を起こして水の中に土壌粒子を分散させ、汚染物質や細粒分の除去を可能にする。
藤井忠広社長は「高速水流を利用したオンリー・ワンの土壌洗浄技術。多様な分野の顧客ニーズに応えられる」と自負する。これまでの工場や事業所跡地などに大型プラントを据え付ける化学物質・油汚染土壌浄化に加え、システムを小型化して現場処理できる可搬型装置を製作。機動力を生かし公園の砂場やゴルフ場のバンカーなどで細粒分(粘土・シルト)を取り除く砂洗浄の需要を見込む。