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多様化する今に挑む CASE3
エバラ食品/小容量ポーション容器の小分け調味料を展開
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エバラ食品の「プチッと鍋 寄せ鍋」
個食ニーズ拡大 全22商品ラインアップ
エバラ食品は小容量のポーション容器に1人分を小分けした調味料を展開している。単身世帯や共働き世帯の増加など多様化するライフスタイルに伴う個食ニーズの拡大に対応。2013年に発売してヒットした鍋の素「プチッと鍋」を「プチッとうどん」などにシリーズ化し、現在は全22商品をラインアップしている。
「スープが足りなくなる」「余ってしまう」「重くて買い物が大変」。そんな課題を解決しようと開発したのが、人数や好みに合わせて鍋を楽しめるように1人分の鍋の素を容器に小分けした「プチッと鍋」だ。発売初年度には9億円を売り上げ、その後、容器や味の種類を増やした。
コロナ禍の家庭内喫食率の増加やテレワークの増加に伴い売り上げが伸長。ポーション調味料群の22年度の出荷実績は60億円を達成した。軽くてかさばらず、常温保存可能といった特長からアウトドアの利用も広がり、汎用性が高い点など利便性が評価されている。
個食対応調味料の市場拡大が見込まれることから、2024年には津山工場(岡山県津山市)で生産体制を強化。安定供給するとともに、拠点分散による配送の効率化で二酸化炭素(CO2)排出量削減にも貢献する。
ニッパツ/半導体プロセス部品 需要増で生産増強
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半導体プロセス部品
変化する市場ニーズに柔軟に対応
創業85周年を迎えるニッパツ(日本発条)は磨いてきた各種技術(材料開発・金属加工・熱処理・シミュレーション・接合など)で新時代が求める製品を世に出し続けている。
ハードディスクドライブ(HDD)のヘッド保持バネで世界50%のシェアを誇っている。最近はデータセンター向け大容量HDDの供給が伸びて、需要は年2割程度の増加が見込まれている。
また、接合技術を活用した半導体プロセス部品は回路を作り出す成膜工程やエッチング工程において不可欠なキーパーツである。世界の主要な半導体製造装置メーカー各社からの需要に応え、生産能力拡張を進めている。
売上高の7割を占める自動車用部品の中でも、電気自動車(EV)やハイブリッドなど電動車向け製品が大きく売り上げを伸ばしている。中でも駆動モーターなどの鉄心として使われるモーターコアは、極薄で硬い電磁鋼板を精密にプレスしてミクロン単位の精度で積層される。電磁的ロスを極力減らすことで1キロワット時あたりの走行距離の向上に大きく貢献し、既に多くの製品が使われている。
変える技術と変わらない安心を合言葉に「みんなのニッパツ」は変化する市場ニーズに柔軟に応えていく。
オーネックス/節電とCO2の削減で社会課題の解決に貢献
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拠点への太陽光パネル設置を進める。上空から見た山口第一工場(右)と三重県のオーネックステックセンター(左)
取り組みに評価 太陽光パネル推進
金属部品の熱処理を手がけるオーネックスは、二酸化炭素(CO2)の排出量削減を重要テーマに位置付け、自動車部品のほか産業機械部品、建設機械部品の受注や、電気自動車(EV)普及による需要変化や風力発電機用部品などのニーズ増加も視野に入れる。
2021年に三重県の生産拠点である子会社のオーネックステックセンター(OTC、三重県亀山市)で、自家消費型太陽光発電システムを導入。22年には山口第一工場(山口県山陽小野田市)真空棟の屋根に太陽光パネルを設置。導入に際し、設置と運営を外部企業に任せ、そこでの発電を買い取って消費電力の一部をまかなうPPA(電力販売契約)方式でコストを抑えた。
これら複数工場への太陽光パネル設置や、熱処理設備の充填率向上など運用面の改善が評価され、22年には東京都から「HTT(使用電力を減らす〈H〉、クリーンなエネルギーを創る〈T〉、ためる〈T〉)」における優秀な取り組みとして表彰を受けている。厚木工場(神奈川県厚木市)や東松山工場(埼玉県東松山市)でも太陽光パネル設置を視野に進めており、金属熱処理における節電とCO2の削減で社会課題の解決を追求する。
南武/油圧シリンダーのエネルギーロスを排除
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電動油圧シリンダー「e―Zero」
大出力・堅牢性、位置決め精度・荷重制御 兼ね備える
南武(横浜市金沢区)はダイカスト金型用油圧シリンダーで国内シェア8割を誇るニッチトップ企業。脱炭素社会に向けて開発した電動油圧シリンダー「e―Zero」はポンプやモーターを一体化し、個別制御するためアクチュエーターとして汎用性を備えている。
e―Zeroは、あらゆる油圧シリンダー使用現場の脱炭素化を図るために開発した製品で油圧ポンプ、タンク、モーターなどのユニットをシリンダーと一体化してコンパクトにまとめた。結果的に電気配線だけで油圧シリンダーの特徴である大出力、堅牢性を発揮し、幅広い用途が見込める製品に仕上がった。
従来のシステムは大型の油圧ユニットから複数のシリンダーへ油圧配管し、それぞれが駆動できるようにユニットのモーターは常時回し続けていた。それに対し、シリンダー毎にユニットを背負うe―Zeroはサーボモーターの正回転、逆回転で作動油を制御してシリンダーを前後に動かすアイドリングストップ方式。そのためエネルギーロスがほとんどない。
油圧シリンダーの大出力と堅牢性、電動シリンダーに匹敵する位置決め精度と荷重制御を兼ね備え、加圧試験機やプレス加工機、さらに歪み矯正設備などの引き合いも寄せられている。