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第67回 2024年 十大新製品賞
モノづくり発展に貢献
日刊工業新聞社が選定する「2024年(第67回)十大新製品賞」の受賞製品が決まった。同賞は応募企業がその年に開発または実用化した新製品の中から、モノづくり産業の発展や日本の国際競争力強化に貢献する製品を十ー十数点選び、表彰する制度。今回は51社・49件の応募があり、「十大新製品賞本賞」10件のほか、「日本力(にっぽんぶらんど)賞」3件、「モノづくり賞」2件を選定した。贈賞式は28日11時から東京・大手町の経団連会館で開く。
十大新製品賞は日刊工業新聞社が1958年に創設。各製品は独創性、性能の秀逸性、産業水準向上への貢献性、産業・社会発展の先導性などの観点で審査される。今回は十大新製品賞本賞をはじめとする15の製品が各賞に輝いた。いずれもが産業技術を通じて社会の発展に貢献する製品として、今後の活躍が期待されている。
【本賞】
アイダエンジニアリングの「金属セパレーター成形専用機BEXシリーズ」は燃料電池などの金属セパレーターの成形に特化したプレス機。燃料の流路となる微細な溝を厚さ0・1ミリメートルの薄板に精密成形するため、同社精密プレス機より剛性を約2倍に、ベッドのたわみ量を約半分にするなどし、高精度な溝成形を実現した。多工程を経て複雑形状を成形するため、広い加工エリアを確保し、薄板の反りを抑えるなど各工程の加工精度も高めた。
アサヒビールの「レモンスライス装入システム DFCEーL01~製造商品『未来のレモンサワー』~」は、レモンスライスの形状のバラつきをカメラで認識し、ロボットハンドで吸着、高速搬送中の缶に一枚ずつ装入する。システムはゼロから開発し、レモンスライスの形状把握カメラや吸着のための特殊パッド、高速処理などの技術課題を克服した。複数のパラレルリンクロボットと人工知能(AI)による検査を駆使することで、毎分600本を製造可能。
オークマの「新しい形のものづくりを実現する小型横形マシニングセンタ MSー320H」は多様な形態の自動化に貢献する。テーブルを垂直に配置する革新的な構造で、テーブル上面や治具に切りくずを堆積させない。これにより自動化のネックとなる切りくずトラブルを排除した。また、ローダーを機上に配置し、自動化システムを含めた設置スペースを従来機比52%縮小することで、省スペースで自動化に対応できる。
島津製作所の「ガスクロマトグラフ質量分析計『GCMSーQP2050』」は、試料を原子・分子レベルに分けて測定することで気体試料中に含まれる化合物の種類と量を調べる分析装置。内部機構の設計を根本的に見直し、感度は従来製品比約2・5倍、耐久性は同約2倍に向上した。試料のイオン化に必要な電子を放出する部品を長寿命化し、メンテナンス頻度は同最大80%低減した。質量分析部の装置幅は280ミリメートルと業界最小クラス。
ソディックの「リニアモータ駆動 超精密ワイヤ放電加工機『AX350L iGroove+Edition』」は油加工液仕様のワイヤ放電加工機。機械構造解析技術などで機械変位を最小限に抑える構造を実現した。ワイヤを緩やかに回転させながら加工する独自機構を搭載。未消耗のワイヤ表面で加工することで形状精度プラスマイナス1マイクロメートル、面粗さ(Ra)0・02マイクロメートル程の超精密な加工に対応しつつ、150時間の完全無人加工ができる。
ダイヘンの「溶接機 Welbee The Short Arc WBーM350S」は独自の電流波形制御でアーク溶接を容易にした。手振れや溶接姿勢などの影響を抑え、熟練工でなくても高品質で安定したアーク溶接が可能。また、標準搭載の低スパッターモードでスパッター発生量を従来機より最大80%抑制し、後処理も容易にした。独自の溶接アドバイザー機能や、最適な溶接条件を自動設定できるガイド機能も備える。
ファナックの「製造現場を革新する新世代CNC『FANUC Series 500iーA』」は、工作機械メーカーやユーザーの生産性向上に寄与する。コンピューター数値制御(CNC)ソフトウエアの完全並列処理化により、制御用エンジンは従来比2・7倍の処理性能を実現。同時5軸制御機能も一新し、多様な機械構成にも簡単に対応できる。また、表示手順や操作方法を改善した新しい操作画面を標準搭載した。
牧野フライス精機の「高精密CNC極小径工具研削盤DB1」は極小径工具の研削ニーズに応える。対象工具径は直径0・03ミリー4・0ミリメートル。自動加工対象物(ワーク)交換装置を搭載し、直径3ミリメートルのワークであれば最大520本収納できる。大型窓の採用で、機械正面から交換装置の動作確認がしやすい。X・Y・Zの直線3軸は指令値と実際に動いた座標値との誤差が小さい「フルクローズドループ制御」により、位置決め精度を高めた。
三菱電機の「三菱電機リニアトラックシステム MTRーSシリーズ」はリニア方式でキャリアー(可動子)を浮遊させ、ワークを運ぶリニアトラックの新製品。直線・曲線形状に適したリニアモーター、リニアスケールを新たに開発。搬送速度は最大毎秒4メートルで、最大48台のキャリアーを独立して駆動できる。また制御技術で搬送物の振動も抑えた。複数モジュールを組み合わせることで柔軟なライン設計ができ、装置の小型化も実現できる。
安川電機の「自律ロボット MOTOMAN NEXT(モートマンネクスト)シリーズ」は〝未自動化領域〟の自動化に貢献する。ロボットが周囲の状況を把握・判断しながら指示された作業を行う。自律制御ユニットをコントローラー内に標準搭載し、顧客のノウハウと融合することで自律作業を実現した。またオープンプラットフォームを準備することで、人工知能(AI)ベンダーの技術導入の障壁を下げ、継続的な進化を可能にした。
【日本力(にっぽんぶらんど)賞】
住友重機械工業と住友重機械搬送システムの「生産性向上支援DXツール SIRMS」は、造船所で使われるジブクレーンやゴライアスクレーン(門型クレーン)の稼働状況や配置情報、動作回数などを可視化する。計画と実績の差異が把握しやすくなり、問題が生じた際の原因究明や作業の効率化に役立つ。故障履歴や点検履歴などを含め、データは住友重機械グループにも共有されるため、同グループが保守管理などに対応する。
日立製作所と日立ハイテクの「LABOSPECT 006α 日立自動分析装置」は血液の生化学分析を自動で行う。測定前作業やメンテナンスの省力化に寄与する。日々のキャリブレーション(調整)を分析装置の起動時に自動で行うほか、洗浄作業の自動化や装置内の洗浄能力向上により、洗浄作業を省力化できる。また、試薬交換予約機能なども備える。クラウドサービスと連携しており、遠隔で装置状態の監視も可能。
不二越の「同期モータ搭載省エネ油圧ユニット NSパック typeーS」は、可変容量ポンプとインバーター制御により、もっともエネルギー効率がよい運転状態を自動選択する。油圧ポンプのエネルギー効率改善と高効率な同期モーターの採用で消費電力を最大74%削減。独自構造の冷却システムによって、作動油の温度上昇を室温プラス5度C以下に抑える。これにより加工精度の向上や、作動油の劣化によるトラブルの削減を実現する。
【モノづくり賞】
SMCの「無線オートスイッチ(磁気式アクチュエータ位置検出センサ)」は無線給電・無線通信で利用できるエアシリンダー向け製品。無線通信に対応していた従来のオートスイッチに、新たに無線給電機能を搭載した。給電と通信を無線化することで断線によるトラブルリスクや配線の空間確保の手間、配線工数が不要になるほか、配線劣化によるスイッチの故障も防げる。メンテナンス性も高まり、人件費の削減にもつなげられる。
ユアサ商事の「AI外観検査装置 F[ai]ND OUT EXW」はAIを活用した外観検査装置。同装置を製造ラインに設置してベルトコンベヤー上を流れる良品を数十個程度撮影すると、撮影画像を学習して良品と異なる特徴を異常と判定するAIを生成できる。判定対象は異物の混入や色ムラなどで、撮影から30分程度で性能評価が可能。製造ラインの上下に備え付けたカメラで連続撮影することで、表裏両面同時に検査できる。