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日本機械工具工業会 設立10周年
日本機械工具工業会が6月3日に設立10周年を迎えた。同工業会は日本の機械工具製造の健全な発達を図り、産業経済の発展に寄与することを目的に設立され、活動してきた。設立10周年を記念し、3日、東京マリオットホテル(東京都品川区)で特別記念講演とパーティーが行われる。
工具製造 健全な発達
日本機械工具工業会はハイス鋼工具メーカーを主体とした日本工具工業会と、超硬工具メーカーを主体とした超硬工具協会が合併し、設立された。1948年に商工省(現経済産業省)主導の下、機械産業関連の多くの事業者団体が発足。日本工具工業会と超硬工具協会も同年に設立された。
135社所属
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日本工具工業会と超硬工具協会が合併し、10年前のきょう、日本機械工具工業会が設立された
その後、工作機械の進歩によって超硬材の適用範囲が拡大したことで日本工具工業会の大半の会員企業が超硬工具の製造も行うようになり、両団体の垣根が低くなってきたことを受けて2015年に両団体を統合、日本機械工具工業会が誕生した。22年には一般社団法人となった。
立ち上げ時は正会員77社、賛助会員45社の計122社だった同工業会は現在、正会員81社、賛助会員54社の計135社が所属する。
同工業会は世界切削工具会議(WCTC)の主催・参加や、日本国際工作機械見本市(JIMTOF)の協賛、欧州国際工作機械見本市(EMO)、米国国際製造技術展(IMTS)への出展などを通じて、日本の機械工具業界やモノづくりの発展に貢献してきた。
国際会議
WCTCは世界各国の切削工具メーカーや工作機械メーカーが参加する国際会議で、1998年に米フロリダ州で第1回が開催されて以来、欧米や日本で過去8回行われている。欧州での開催時は欧州切削工具協会(ECTA)が、米国での開催時は米国切削工具協会(USCTI)が主催しており、日本では日本機械工具工業会の前身である2団体が「日本切削工具協会」の統一名で、2013年に京都で初めて主催した。
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2024年に大阪で開催した世界切削工具会議には170人が参加し、国を越えた活発な交流が行われた(住吉大社)
24年には日本機械工具工業会として、大阪でWCTCを主催。170人の参加者のうち約半数は海外からの参加で、米国、ドイツ、スイス、韓国、中国など16カ国から集まった。有識者による講演や社交イベント、工場見学ツアー、日本文化体験などのプログラムが用意されたほか、会場には企業ブースが設けられ、国を越えた活発な交流が行われた。
また、16年に国際標準化機構(ISO)の会合に新団体として初めて参加。工具に関する専門委員会(TC29)のワーキンググループ(WG)34による「切削工具データの記述と交換」をテーマとしたメンテナンス・エージェンシー(MA、規格の修正と追加を行う)会合に参加。その後もISO会議への参加を続けており、国際的なビジネスの円滑な進行に寄与している。
昨年生産 4047億円
経済産業省の機械統計を基に同工業会がまとめた資料によると、24年の機械工具の生産額は前年比1・5%減の4047億7800万円となった。10年度以降の機械工具生産額の推移(グラフ)を見ると、最高額を記録したのは18年度。20年度は新型コロナウイルス感染症の流行により大きく落ち込んだが、21年度にはコロナ禍前と同規模まで回復した。機械工具業界は景気に左右されやすく、今後、業界が伸長するには自動車・半導体関連の投資や中国経済の回復などが期待される。
技術レベル向上
自動車産業を中心とする日本のさまざまな製造業に必要不可欠な機械工具。新素材・超硬材・硬脆(こうぜい)材加工、高精度加工、省人化・省スペース化・省コスト化、生産性向上など多様なニーズに応えるため、工具メーカーは自社製品の強みに磨きをかける。同工業会は今後も会員企業の技術レベルの引き上げや、わが国の産業経済の発展の後押しに貢献していく。