-
業種・地域から探す
続きの記事
日本工作機械輸入協会 創立70周年
日本工作機械輸入協会(金子一彦会長=三宝精機工業社長)が4月20日に創立70周年を迎えた。同協会は展示会への参加や海外への派遣ミッションなどを行い、海外の最新製品・技術を紹介することで、日本の製造業を支えてきた。創立70周年を記念し、24日18時から、インターコンチネンタルホテル東京ベイ(東京都港区)で記念パーティーが行われる。
海外の最新製品・技術 紹介 日本のモノづくり支える
日本工作機械輸入協会は工作機械輸入会社の集まりとして、1955年4月20日に「輸入工作機械協会」の名で設立された。その後、79年に「日本工作機械輸入協会」に名称を変更。29社で立ち上げた同協会は現在、正会員55社、賛助会員11社、大使館や工業会などの名誉会員11者が所属する。工作機械の輸入のほか、工具や関連機器の輸入や、修理・レトロフィット・保守サービスなどを行う企業も含む。
同協会は日本国際工作機械見本市(JIMTOF)やテクニカルショウヨコハマなど工作機械・工業技術関連の展示会への協賛・出展や、欧州国際工作機械見本市(EMO)、米国国際製造技術展(IMTS)への派遣ミッションなどを通じ、海外の優れた製品・技術を国内の製造業者に紹介し、日本のモノづくりの発展に寄与してきた。
また委員会を設置し、組織内外に向けて活発に活動している。広報委員会は協会の知名度アップや新規会員獲得のための広報活動などに取り組んでいる。企画委員会は会員同士が親睦を深め、情報共有する場を設けるため、ゴルフコンペやボウリング大会、忘年会、工場見学などのイベントを企画している。
同協会によると、2015―24年の日本における工作機械の輸入額は、最高額が15年の1113億8400万円、最低額が20年の685億9300万円だった。
24年の日本の工作機械の輸入額は前年比10・7%減の787億9300万円となった。円安の影響を受け、輸入機に手を出しにくい状況だったことが原因。国・地域別で見ると、中国からの輸入が1番多く211億300万円、次いでドイツからの輸入が多く166億2600万円だった。
【インタビュー】日本工作機械輸入協会 会長(三宝精機工業 社長) 金子 一彦 氏
日本の産業・経済 発展に貢献
工作機械や関連機器、システム、技術などの健全な輸入の発展と、会員共通の利益増進のための事業を行い、日本の産業や経済の発展に貢献することを目的に活動してきた日本工作機械輸入協会。70周年を迎えた同協会の金子一彦会長(三宝精機工業社長)に、輸入機の魅力や協会の活動などについて聞いた。
―2024年の工作機械の輸入状況はいかがでしたか。
-
日本工作機械輸入協会 会長(三宝精機工業 社長) 金子 一彦 氏
「円安の影響により工作機械の輸入額は前年比約100億円減となり、機械専門の輸入会社は売り上げが落ち込んだ。ただ、チャックなどの周辺機器や測定機器は変わらず売れている」
―過去数年間を振り返り、印象に残っていることは。
「新型コロナウイルス感染症の流行は海外に行きづらかったので大変だったが、リモート会議が普及したのはプラスだった。海外企業ともコミュニケーションが取りやすくなった」
―日本のユーザーは輸入機のどのような点を評価していますか。
「海外機はハイエンド機が生き残る傾向にあり、日本のユーザーは国産機をベースで使って、難加工や特殊な加工には輸入機を使うケースが多い。歯車用の研削盤や測定機などは輸入機がよく使われる。また『ブランド的な安心感がある』という理由で導入されることもある」
―そのほかに強みだと感じる輸入機の特徴はありますか。
「海外機は工程集約も強みで、省スペース化、人手不足の解消、生産性の向上などに有効なものが多い。日本でも工程集約や自動化の流れが来ているので、国内の機械ユーザーにも提案したい」
―協会が今、注力していることは。
「企画委員会では年5―6回程、行事を行っている。参加者は行事を通して他の会員企業のことを知れる。会員企業同士がつながりを大事にし、連携して製品や技術を提案できるようになるとよい。また展示会に参加し、輸入機を扱う企業に会員募集の案内をしている。今後も続けていきたい」
―読者にメッセージをお願いします。
「『輸入機の導入は敷居が高い』と感じる人も多く、輸入機の日本への浸透率は低い。課題を抱えているが、それを解決できる輸入機や周辺機器を知らない企業も多い。中小企業には特に、展示会などを通して輸入機や周辺機器を紹介していきたい。当協会会員のブースをぜひ訪れてほしい。また『導入後のメンテナンスが国産機と比べて難しいのでは』と不安に思う人もいるかもしれないが、アフターメンテナンスはどこの代理店も力を入れており、当協会の会員企業もしっかりと行っている。そこは安心してほしい」
【導入事例】中小企業でも効果/保守・相談も万全
大野精工/円筒研削盤
大ロット・大物加工で威力発揮
-
「スチューダー製を導入してから、初ものの加工が増えた」と話す酒井さん
大野精工は2022年末にスイス・スチューダーの円筒研削盤「favoritCNC」を導入した。同社はそれまで、円筒研削盤は汎用機のみを使っていた。小ロット、小径加工なら受注に対応できるが、大ロットや外径200ミリメートルもの加工対象物(ワーク)となれば数値制御(NC)機のパフォーマンスが勝るため、導入を決めた。
同社がスチューダー製を導入した理由はブランド力とスペック。「加工業の力は設備次第。スチューダー製を持っていれば顧客の反応も変わるはず」(大野龍太郎社長)。実際に導入後は新規受注が相次ぎ、防衛産業の部品も手がけた。
「スペックは申し分ない」とマシンを操作する酒井雅英さんは話す。毎分4万回転の高速加工だけでなく、ワークに対して斜め方向にも砥石(といし)を当てられる。「まだまだ機械の性能を出し切っていない」と汎用機を10年以上操ってきた酒井さんをうならせる。
「加工技術のアドバイスももらえる」(大野社長)のもメリット。高難度加工の相談にのってくれるコンサルタントがスチューダーには存在する。「導入して後悔することはない」と大野社長は話す。
ダイセン/マーキングツール
ワーク外さず刻印―効率向上
ダイセンはエア用継ぎ手の専門製造業者。同社は継ぎ手の種類やロット、OEM(相手先ブランド)の社名などの刻印作業の効率化を課題としていた。1200―1300個に刻印が必要な日もあり、1人のオペレーターが1日4時間、刻印し続けることもあった。
-
独ホーメル・ケラーのマーキングツール(左)と刻印後の部品
こうした中、2010年頃、輸入切削工具の専門商社であるノアが扱う独ホーメル・ケラーのマーキングツールを導入した。ホーメル・ケラーは凹凸形状を持つ回転工具をワークに押し付けて模様を転写するナーリング加工用のツールで実績があり、マーキングツールも似た機構を持っている。旋盤の刃物台に取り付けて使用でき、加工後のワークを旋盤から取り外すことなくマーキングまで行える。
製造本部の佐口春樹さんは「かなりの効率アップ。オペレーターの手が空いたことで1人当たりの担当台数を増やせ、設備の増強にもスムーズに対応できた」と喜びを語る。
同社は20種類のホイールを保有しており、これからも出荷数の多い製品に関してはマーキングツールの活用を広げる予定。ノアと連携しながら、平らな面への刻印にも挑戦中だという。