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日本工作機器工業会 創立70周年
工作機器産業 さらなる飛躍へ
工作機器産業は工作機械、産業用ロボット、半導体製造装置などさまざまな分野にユーザーを持ち、それぞれのニーズに応じた要素部品を製造・提供している。日本のモノづくりの根幹に位置する産業とともに発展してきた工作機器産業は、さらなる飛躍を目指して高付加価値製品の開発や海外での生産体制強化などに取り組んでいる。国内の労働力が不足する中、経験豊かな従業員の活躍の場を広げる取り組みも広がっている。
中国反転—販売回復/今年
日本工作機器工業会がまとめた工作機器の製品分類では、工作機器は「部分品」「工作物保持具」「工具保持具」「附属機器」の四つに分けられる。部分品は機械本体内の結合部や駆動機構に関わる部品群で、工作機械の内部に組み込まれる機器。工作物保持具は工作物を所定の位置に保持するための機構と部品。工具保持具は工具を保持するための機構と部品で、附属機器は工作機械による加工をサポートする機器群と、工作機械システムの周辺装置に対応する機器から成る。
日本工作機器工業会によると、2024年(24年1月—12月)の会員の販売額は前年比8・2%減の1623億600万円となった。
このうち金額面で最も大きい部分品が同7・3%減の1050億3600万円、次いで附属機器が同10・9%減の311億8500万円、工作物保持具が同4・8%減の138億3400万円、工具保持具が同11・6%減の122億5000万円となっている。販売額の減少は中国市場や半導体関連投資の低迷が影響した。
一方で、25年の販売額は中国市場の回復などを背景に23年並みを見込む。
高齢者活用で労働力確保
産業界では労働力不足を背景に自動化ニーズが高まっている。今後はさらなる製品の高付加価値化と海外市場の開拓がカギを握っている。
日本工作機器工業会は19年、「工作機器製造業 高齢者の活躍に向けたガイドライン」を作成した。「業務と貢献度に応じて評価し処遇する」「高齢者への役割や期待を明確化して多様なメニューを用意」「強みを発揮する高齢者を生む高齢期前の研修制度」など六つの指針を定め、会員企業の高齢者雇用促進や業界全体の競争力向上を目指している。
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、日本の高齢化率は29・1%となっており、世界の主要国で最高水準だ。総人口は2056年に1億人を割り、70年には8700万人になると予測されている。工作機器産業は幅広い業界に要素部品を提供する重要な産業だ。労働力不足が深刻化する中、経験豊かな従業員を活用し、競争力の向上や優位性の確保が求められている。