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次世代自動車充電インフラ技術
次世代自動車と呼ばれる電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)は国連の持続可能な開発目標(SDGs)やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現を目指す上で、大いに期待されている。自動車の基本的な役割である“移動”だけでなく、EV、PHVが搭載する大容量蓄電池を家やビルの電力システムの蓄電デバイスとして活用することも徐々に始められている。こうした次世代自動車の普及促進には、充電インフラの整備が重要なポイントとなる。
存在感高めるEV・PHV
自動車は人や貨物の移動に不可欠な存在となっている。その中で、地球温暖化防止のため、走行時の化石燃料消費を抑制できるEVやPHVなど次世代自動車へのシフトを求めるトレンドが強まっている。また、EV、PHVが搭載する大容量の蓄電池を住宅やビルの電力供給源として活用するV2H(ビークル・ツー・ホーム)、V2B(ビークル・ツー・ビルディング)という、車を核とした新しいシステムも登場している。これは電力網のピークカット、平準化への貢献だけでなく、太陽光発電の蓄電デバイス、災害時などの非常電源としても威力を発揮する。
次世代自動車の普及状況について、次世代自動車振興センターの資料によると、2024年度の国内販売台数はEVが6万4952台(うち軽EV2万8170台)、PHVが4万1741台、合計では10万6693台だった。年間販売台数は23年度の13万7354台には届かなかったが、3年連続で10万台を超えた。
24年度末の国内保有台数はEV35万8262台(うち軽EV13万6696台)、PHV28万7352台、合計64万5614台となり、23年度末の合計55万3987台からさらに拡大している。自動車全体から見れば1%にも満たない少数派ではあるが、その存在感は着実に高まっている。
日本自動車工業会(自工会)は隔年で「乗用車市場動向調査」を実施しており、今年4月に25年度調査結果を発表。同調査ではハイブリッド車(HV)を含む環境対応車への意識についても調査している。
環境対応車の中で購入検討順位1位とした割合はHVが最も高いが、EVを検討順位1位とした回答も2割強あった。EVを1位にした理由としては「電気のみで走れる」「ガソリンを入れなくて済む」「環境にやさしいイメージがある」などが挙げられている。PHVを1位とした人の理由は「いざというときガソリンで走れる」「家庭用コンセントで充電できる」「ガソリンスタンドで給油できる」などだ。
EVについては他の環境対応車と比べると購入検討の際の懸念点も多い。最も多く挙げられたのが「車両価格が高い」で約6割。ほかには「バッテリーの耐用年数を考えると維持費面で不安」「1回の充電での走行距離が短い」「充電するのに時間がかかる」が3割を超える。
EVの走行距離への希望としては、仕事・日常使用で平均150キロメートル程度、レジャーでの使用時は平均230キロメートル程度。また充電時間について、保管場所では60分以上、外出先の急速充電では15分以上、外出先の普通充電では30分以上であっても5割以上の人が許容できるとしている。
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ショッピングモール駐車場のEV充電スタンド
自動車を保有している人の自宅への充電器設置は1割未満。非設置理由は「設置費用」と「設置スペース」。充電器設置希望場所は「ガソリンスタンド」「コンビニエンスストア」「大型商業施設」。高齢期の人の回答では「公共施設」「道の駅」への設置希望が高い。
自宅に充電器があるEV・PHVユーザーは9割程度が自宅で充電。自宅に充電器がないユーザーは「自動車ディーラー」「コンビニ・スーパー・ショッピングモール」「高速道路のサービスエリア・パーキングエリア」を利用する割合が多い。
補助金、普及を後押し
自工会の調査では、EV・PHVユーザーは現状、通常のガソリン・ディーゼル車からの買い替えが中心。購入理由は「国・自治体の補助金・優遇制度があった」「自宅で充電できて便利」が上位で、次世代車ユーザーの9割弱が補助金を活用した。車両購入、充電器設置などの補助金は購入を有効に後押ししていると言える。ただし、利用にあたって「申請の分かりにくさ」を指摘する声があり、検討が望まれている。
車両や充電設備への補助金は次世代自動車振興センターが窓口となっている。例えば、25年度補正予算2期分の充電設備補助金の申請は7月24日に受け付けが開始され、8月17日に終了している。V2H充放電設備の補助金は受け付け開始が7月17日、締め切りが9月30日だ。補助金の対象によってスケジュールは異なるので、申請を検討している場合は細やかな情報収集が欠かせない。
次世代自動車の普及には、車両価格対策だけでなく、インフラとしての充電設備の整備が不可欠だ。EV購入時の懸念事項として挙げられる「走行距離」と「充電時間」については、自宅や職場といった基礎充電以外に、外出先での充電が可能なスポットの充実が不安解消に結び付く。そのためには、事業としての充電サービスがユーザーにも設備オーナーにも価値の高いものにすることが重要だ。
利便性高める質的向上を
野村総合研究所の「自動車業界レポート2025」では重要テーマの一つとして、EV充電インフラに関する課題と解決の方向性について報告がまとめられている。そこでは充電インフラの利便性を高める方策として、充電器の設置を戦略的に進める「量的アプローチ」と、充電サービスの快適性の向上に取り組む「質的アプローチ」があるとし、日本では充電器の「量」の不足解消への取り組みは始まっているが、充電器の運用サポートや、シームレスでネットワーク化された充電サービスの提供には課題が残されていると指摘する。
ユーザーの利便性だけではなく、充電器オーナーにとっての充電サービスのメリットを高め、事業課題を解決できれば、充電サービスはさらに付加価値の高いものとなる。自動車メーカー、充電サービス事業者、IT企業などさまざまな事業者がシームレスな充電体験を提供し、充電器を柔軟に運用するため、関係者が共同で充電に関するデータを相互流通し、サービス間の連携を実現する「データハブ」を構築することが効果的だと提案する。
充電スポットの数的拡充ばかりでなく、スポットの位置、利用可能時間、料金と決済方法などの情報が分かりやすく提供されることで安心・確実なインフラ構築が実現する。
ワイヤレス給電にも期待/ユーザーの負荷軽減
EV、PHEVなどへの充電は充電場所に駐車し、車両と充電器をケーブルでつなぐことで行うが、給電をワイヤレスとすることでユーザーの負荷を少なくできる。
磁界共鳴方式のワイヤレス給電はケーブルやプラグをつながず、地面に敷設した送電コイルから車両側の受電コイルへと電力を供給する。停車中給電のほか、道路に連続的に送電コイルを埋設して走行しながら充電する走行中給電もできる。充電ケーブルの絡まりや充電忘れもない、安全で利便性の高い技術として期待されている。
