-
業種・地域から探す
次世代自動車充電インフラ技術
普及が進む電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)は次世代自動車と呼ばれ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)やカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現を目指す上で、大きな役割を担っている。EV・PHVの販売台数や保有台数は着実に伸びており、2025年大阪・関西万博ではEVバスの走行中ワイヤレス給電が実証されている。
電動車 充電設備・補助金カギ
次世代自動車振興センターによると、2023年度のEV・PHV国内販売台数はEVが8万4304台、PHVが5万3050台、合計で13万7354台となった。22年度の11万9813台と比べ1万7000台以上増加した。
また23年度末の国内EV・PHV保有台数は55万3987台となり、22年度末の43万6555台から11万7000台以上増えた(グラフ)。EV・PHVは自動車全体から見ればまだ少数だが、着実に普及が進んでいる。
EV・PHVが稼働するためには充電が必要だ。充電は普通充電と急速充電の2種類あり、充電設備設置場所の特性に応じてそれぞれ選択される。
普通充電は単相交流100ボルトまたは200ボルトの電源を用いる。200ボルトでの充電で4-8時間程度かかる。設置コストは急速充電より安価なため導入しやすいが、充電完了まで長時間必要だ。家庭やレジャー施設、宿泊施設など、長時間の駐車を想定した駐車場向きとなっている。
一方、急速充電は三相200ボルト電源を用い、わずか30分程度で容量の約80%まで充電できる。高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、コンビニなどが主な設置場所となっている。
次世代自動車購入に当たっての懸念点として、車両価格の高さや航続距離の短さ、充電場所の少なさなどが挙げられる。これらを改善するため車両購入時の補助金の拡充や航続距離の延長、充電インフラの整備がカギとなっている。
走行中充電→万博で実証/道路に送電コイル 通るとEVバス充電
-
万博会場のEVバス(大阪メトロ提供)
大阪・夢洲で開催中の大阪・関西万博では関西電力、大阪メトロ、ダイヘン、大林組、東日本高速道路(NEXCO東日本)の5社から成るコンソーシアムによってEVバスの走行中ワイヤレス給電が実証されている。道路に埋設した送電コイルによって磁場を発生させ、対応するEVバスが通ると給電される仕組みだ。
EVバスは黒を基調としつつ未来や先進性をイメージさせるスマートなデザインとなっている。車体には大阪の海を象徴する青やスピード感を表す白があしらわれ、親しみやすさを強調する。
ワイヤレス給電対応のバス停ではトリックアートを設置し、充電イメージのPRも行う。ダイヘン充電システム事業部の鶴田義範事業部長は会場での実証の目的を「ワイヤレス給電の認知度向上と課題の抽出」と語り、実用化に向けて期待を寄せる。
V2H導入に補助金活用/災害時に電力供給
-
ダイヘンのEV充電機器(JECA FAIR2025)
EV、PHVが搭載する大容量の蓄電池は車両の動力源としてだけでなく、住宅やビルなどの電力供給源としても活用できる。V2H(ビークル・ツー・ホーム)、V2B(ビークル・ツー・ビルディング)は施設と車両の電力をトータルで運用するシステム。エネルギー供給源を分散化できるとともに、住宅や施設の停電時には車両から電力供給を行ってリスクを低減する。
また災害対応力の向上だけでなく、電力網のピークカットや平準化への貢献も期待できる。V2HによってEVの電力エネルギーを効率よく使うことが可能だ。
V2Hの普及を促進させるため、V2H充放電設備と外部給電器に対して導入促進補助金が設けられている。申請窓口は次世代自動車振興センターが担当する。24年度補正予算、25年度予算分については、7月25日に交付申請の受け付けが開始された。期間は9月30日まで。同補助金の事業の詳細は同センターホームページ(www.cev-pc.or.jp/)へ。
