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日本ダイカスト協会創立70周年
日本ダイカスト協会は2025年11月に創立70周年を迎えるのを記念して、19日15時から横浜市港北区の新横浜プリンスホテルで創立70周年記念式典を開催する。ダイカスト産業は軽量化や耐久性、リサイクル性といった時代のニーズに対応した基幹産業であり、自動車産業をはじめとした産業界の成長に広く貢献している。同協会はダイカスト産業の健全な発展を図るとともに、関連企業の振興に寄与してきた。より一層の発展のために、調査研究、標準化の推進、広報活動など業界の基盤強化に向けた事業に取り組んでいる。
先端技術・現場改善—業界で推進
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2024日本ダイカスト会議・展示会(パシフィコ横浜=24年11月)
日本ダイカスト協会は1955年11月26日に「日本ダイカスト工業会」として設立された。その後、日本ダイカスト工業会の基礎の確立に伴い、59年に「社団法人日本ダイカスト協会」に改組。67年には「日本ダイカスト会議・展示会」の前身である「第1回ダイカスト研究発表会」を開催した。現在、日本ダイカスト会議・展示会を隔年で開催し、先端技術の研究論文発表や現場改善事例発表、製品・技術セミナーなどを行っている。
安全水準向上
2012年には一般社団法人へ移行し、現在の「一般社団法人日本ダイカスト協会」になった。24年度には、労働災害防止の上で他の模範となる優れた安全成績を達成した事業所を表彰する「安全表彰制度」が設立された。同制度の運用により、自主的な安全活動を促進し、ダイカスト業界の安全水準向上への寄与を目指す。
70年前に88社が集まり設立した同協会は、25年4月1日現在、正会員184社、賛助会員219社・団体で、会員の合計は403社・団体に拡大している。
自動車 電子機器/複雑形状—高精度で量産
ダイカストとは、アルミニウムや亜鉛、マグネシウムなどの合金を高温で溶かし、精密な金型に高圧で流し込み成形する鋳造技術。高い寸法精度が得られ、薄肉で複雑な形状の製品を大量生産できるため、自動車や航空機、電子機器などに使用される。
ギガキャスト
特に自動車産業では、エンジン、トランスミッションケース、ホイールといった重要な部品の製造に使用されている。近年では車体構造部品を一体成形する「ギガキャスト」の製造にダイカスト技術が活用されており、軽量化や生産効率の向上に貢献している。
また、電子機器では、スマートフォンやノートパソコン、デジタルカメラの筐体(きょうたい)、ヒートシンクなどの製造に使用され、耐久性や放熱性能の向上に役立っている。
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日本ダイカスト協会ブース(2024日本ダイカスト会議・展示会)
24年11月、横浜市西区のパシフィコ横浜で開催した「2024 日本ダイカスト会議・展示会」では過去最高の216社・団体が出展し、3日間で2万1000人以上が来場した。次回は26年11月12—14日、パシフィコ横浜での開催が決まっており、前回以上の盛り上がりが期待される。
同協会では今後のダイカスト業界の基盤強化を目指して、人材育成事業の推進や技術に関する調査研究の推進、環境に優しく安全な職場環境の促進を図る活動などに取り組み、さらなる発展に貢献していく。
【ごあいさつ】 日本ダイカスト協会 会長 蔦 昌樹
DX・電動車・脱炭素に挑む/100周年へ新規産業の技術探求
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日本ダイカスト協会 会長 蔦 昌樹
一般社団法人日本ダイカスト協会は、11月26日をもって創立70周年の記念日を迎えます。
1955年の設立以来、わが国のダイカスト産業の健全な発展と技術の向上を目的として、会員企業の皆さま、関係機関の方々とともに歩んでまいりました。この70年という節目を迎えられましたのも、これはひとえに官界、学会のご指導と、多くの需要家の皆さまのご支援、協会事業にご尽力されてきた会員の皆さまと歴代会長並びに各役員、そしてそれを支えてきた事務局員の活動のたまものであり、ここにめでたく祝賀の日を迎えることができましたことは喜びに堪えません。心より厚くお礼を申し上げます。
過去10年のダイカスト年間生産量は2016年から19年までの4年間で平均105万トンであったものの、20年にはコロナ禍の影響で84万トン、その後2年間も低調に推移しましたが、23年には96万トンに復調しました。しかし、24年は主要取引先業界において生じた各種問題により91万トンとなりました。
そして25年は前年同様、原材料価格・エネルギー価格並びに労務費などの高騰が懸念要因であることに加え、自動車産業の電動化推進への対応、刻々と変化する世界情勢なども、ダイカスト企業の経営に大きな影響を与えると予想されます。一方、世界経済全体は緩慢な経済成長が継続すると見込まれており、主要取引先業界における各種課題も解消されつつあるなど、ダイカスト生産量の動向については、復調基調になるものと期待しています。
ダイカスト技術は自動車、家電、産業機械など多岐にわたる分野で不可欠な基盤技術であり、今後ますますその重要性は高まるものと確信しています。近年では、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現やデジタル変革(DX)化、また、世界的動向である自動車の電動化への対応など社会的要請への取り組みが求められており、私たちは業界一丸となってこれらの課題に取り組む責務があると感じております。
本日の記念すべき式典を機に、過去の歩みを振り返るとともに、次の10年、そして100周年へ向けて、新規産業分野への適応・対応、それを支える技術的な探求を深めていくなど、継続的な成長に向けてのアクションが不可欠となってまいります。
皆さまには今後とも、変わらぬご指導とご支援を賜りますようお願い申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
