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深刻化する豪雨への備え
近年、台風や大雨による気象災害が毎年のように発生している。年間の豪雨発生回数は増え、それによる災害も甚大化する傾向にある。河川の氾濫だけでなく、都市部では短時間に排水能力を超える量の雨が降ることで、道路の冠水や建物、地下施設への浸水を招く。ライフラインが寸断され、生産活動や物流が中断することも予想される。被害を最小限に抑えるためにも、企業の水害対応・浸水対策は急務となっている。
頻発・甚大化で水害対応急務
気象庁の統計によると、全国の1時間降雨量50ミリメートル以上の大雨では、最近10年間(2016―25年)の平均年間発生回数(約340回)が、統計を開始した最初の10年間(1976―85年)の平均年間発生回数(約226回)と比べて約1・5倍に増加。1時間降水量80ミリメートル以上や、3時間降水量150ミリメートル以上など強度の強い雨では、頻度が約2倍に増加している。今後も地球温暖化が進めば、台風や大雨の頻度・強度が増していくことが予測されている。
国土交通省と気象庁は激甚化する自然災害に対応するため、5月29日から新たな防災気象情報の運用を開始。河川氾濫(はんらん)、大雨、土砂災害、高潮について警戒レベルを5段階で出し、住民がとるべき避難行動を明確にした。加えて、線状降水帯の発生予測をこれまでの半日前予測から、発生2―3時間前を目標にした直前予測にする。
3日朝、51年からの統計で過去4番目に早く日本列島に上陸した台風6号では、静岡県伊豆地方や神奈川県東部などで「線状降水帯」が発生。和歌山県を流れる古座川には一時、「レベル5氾濫特別警報」が、東京都内の善福寺川や目黒川などで「レベル4氾濫危険警報」が出されるなど、厳重な警戒が呼びかけられた。
台風や梅雨の時期に発生しやすい線状降水帯は、次々と発生する積乱雲により、線状の降水域が数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞し大雨をもたらす。洪水や土砂災害など災害の危険性が急激に高まる。
また、単独の積乱雲が発達して起きる「局地的大雨」は、急に強く降り、数十分の短時間、狭い範囲に数十ミリメートル程度の雨量をもたらす。大雨や洪水の警報などが発表される気象状態でなくても、急激な状況変化により災害を引き起こすことがある。
水害対策においては、国や自治体による河川・下水道の整備・増強、大規模な雨水貯留浸透施設の設置といったインフラ整備が重要になる。ただ、小規模でも企業や個人の敷地で雨水貯留浸透施設を設置する取り組みなどが地域全体に広がれば、大きな効果を発揮する。
大雨による水害は河川があふれる「外水氾濫」だけでなく、都市部で大量の雨が短時間に下水道管に集中し、河川があふれる前に下水道管の能力を超えて発生する「内水氾濫」もある。都市型水害には工場や倉庫、ビルなどの入り口への止水板の設置が有効になる。
被害を最小限に抑えるためには、最新の防災情報を得ることも重要だ。気象庁のサイト「キキクル」では、リアルタイムで「土砂」「大雨」「浸水」「洪水」の現状や今後の危険度が5段階で色分けされ、それぞれ地図上に表示される。普段から浸水予想区域図や洪水ハザードマップで、水害リスクや避難ルートを把握しておきたい。
