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石川・富山産業界
さらなる発展を目指して石川・富山県産業界が攻勢を強めている。景気が緩やかに回復する中、新製品の投入や設備投資に力を入れる企業が出ている。能登半島地震の経験から災害時の用途を見据えたドローンの開発や、次世代のモノづくりを目指しデジタル変革(DX)に取り組む動きもある。一方で、社員第一をモットーに一層の発展を目指す企業も存在する。こうした取り組みで伸びゆく両産業界の企業を紹介する。
市場ニーズ読み取り新製品投入
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ODCの重量物運搬ドローン「X80」
三協立山はカーポートの屋根材として「シルバーポリカーボネート板」を発売した。多様な住宅外観に調和する洗練されたデザインとマットな質感で高級感を演出。暑さの原因となる赤外線の熱量をカットし、スチール折板と同等の高い遮熱効果で車内温度の上昇を抑制。夏場のカースペースを快適にする。
夏の平均気温上昇や猛暑日の増加などで駐車時の遮熱ニーズが高まる中、同社は23年に「ブラックポリカーボネート板」を発売。これにアルミ形材色のサンシルバーに合わせた独自色をラインアップに追加し、バリエーションを充実させた。
新製品の消費税抜きの価格は96万4200円。ポリカーボネート板を屋根材に使用するとアルミ形材屋根のカーポートと比べ価格を2割程度低減できる。パネル厚は1・8ミリ、開口5410ミリ×奥行5000ミリ×高さ2500ミリメートル。
ODC(富山県滑川市、大倉義憲社長)は、最大積載重量80キログラムの重量物運搬ドローン「X80」を4月以降に発売する。林業や山間部の工事・建設現場に対する資材運搬、災害による道路寸断で孤立した被災地への支援物資輸送などの用途を見込む。消費税抜きの価格は、バッテリー5セットが付いた標準セットで約990万円の予定。
同ドローンは全地球測位システム(GPS)や電波が不安定なエリア、過酷な現場での使用を想定する。自動制御用のセンサー類を搭載せず、操縦者が機体を安定させる「手動制御」を重視。上下両向きのモーターとプロペラで形成された二重反転方式ローター4発を搭載し、高い飛行安定性を確保した。
試作機のバッテリーを除く機体重量は41・1キログラム。最大積載状態での飛行時間は最大で約10分間、最大飛行距離は時速20キロメートルで3キロメートル。最大耐風速度は秒速7メートル。大容量バッテリーを交換しながら運用し、複数回往復することで1日2トンの物資を運べる。
発売予定の機体は、上向き用と下向き用の2本に分かれていたローター搭載軸を1本にまとめ、バッテリーを除く機体重量を37・6キログラムに抑えた。これにより最大積載重量90キログラムを視野に入れる。基本性能はプロトタイプと同等にする。
同社は重量物運搬ドローンの操縦士を育成する講習にも注力。講習では操縦士に必要な知識を座学で学習するほか、最大積載重量の違う3種類のドローンを段階的に使い技術を身に付けてもらう。
このほど同講習の体験会を開いた。林業や土木建築関連、製造業など6人が参加し、座学や実際の操縦を体験。また、同社の操縦士がX80で重量約60キログラムのインスタントハウスを運搬する様子を見学した。
自動化、効率化投資盛ん
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新日本海重工業が導入したヤマザキマザックの3次元ガイバーレーザー加工機「FG―400 NEO」
高品質、高精度のモノづくりを視野に省力化、自動化の設備投資を図る企業も多い。
新日本海重工業(富山市、真岩謙二社長)は大型のファイバーレーザー加工機と切断機を導入した。投資額は約5億5000万円。加工の自動化と省人化を進め、現場の人手不足を克服する。併せて加工能力と精度向上による内製化や工数削減を実現。効率的な生産体制を整え、1人当たりや時間当たりの生産性を高める。
2025年末にヤマザキマザック製の3次元ファイバーレーザー加工機「FG―400 NEO」を導入した。最大12メートルの長尺材に対応し、形鋼やパイプの複雑な切断に加え、M16までのタップ孔加工を1台で完結。従来は手作業だった加工を同機で行うことで、現場の自動化と省人化を実現する。
これまで加工した部品を組み上げる際に研磨などの微調整を必要だったが、加工精度の向上で不要となり、工数を一つ削減できた。手作業では採算が合わなかった案件にも対応できるようになり、仕事の幅も広げられる。
26年1月には従来のガス切断と二酸化炭素(CO2)レーザー切断機の代替として、小池酸素工業製のファイバーレーザー切断機「FIBERTEX―8518 ZERO」を導入した。
同機の定盤寸法は7250ミリ×26000ミリメートル。板厚36ミリメートルまでの炭素鋼、同45ミリメートルまでのステンレスの切断に対応する。従来設備に比べ切断能力が大幅に向上したことで、切断速度はガス切断の4倍、CO2レーザーの2倍となり、切断長に対する電気料金はCO2レーザー切断機の約70%に抑えられる。
また、外注せざるを得なかった厚い鋼板や素材についても切断できるため内製化を進める。これらを合わせ、リードタイム短縮とコスト削減を実現する。
モノづくりのDXに取り組む中小企業が増えている。
DAISE(金沢市、大久保龍司社長)は板金溶接加工と産業機械の設計、製作、検査まで一貫対応する。作業の進ちょく状況をリアルタイムで把握できるようにするため、4月にバーコードを使って工数管理する仕組みを本格化する計画。従来は一つの工程が終わると作業時間などのデータを手入力していた。自動化で月4000―5000件の入力作業がなくなるという。
大久保社長は新システム導入について「利益の見える化につなげるのが狙い」と語る。作業の状況がリアルタイムで分かるようになると、どの作業で時間がかかって利益に影響しているのが把握できる。これまで自己申告で工数管理していたが、より作業にかかった時間を把握する精度を上げることで作業改善につなげる。
今後は社員用タブレット端末で溶接などの技術情報を引き出し、現場で確認できるようにする。同時に社員が作業メモなどをタブレット端末で入力し、自社の図面管理システムと連携できるようにする。作業データを蓄積することで、難易度の高い加工でも過去の事例を参考に作業を進められるようにする。
従業員満足度を高めることで人材の定着を図ろうとする企業も増えてきた。
小松電気化学工業(石川県小松市、西章洋社長)は硬質クロム、亜鉛、ニッケルなどの電気メッキ、パーカー処理などを手がけている。建設機械や産業機械向けの大型部品のメッキを得意とし、多品種少量、量産品にも対応している。
高難度のメッキや短納期といった顧客の要求に応えるため、社員の多能工化を推進してきた。これにより柔軟に業務を行える人材がそろっている。優れた人材が長く勤めてもらえるように、福利厚生の拡充や働きやすい環境づくりに務めている。
西社長は「当社で働き続けたいと思ってもらうことが重要だ」と強調する。毎年の賃上げの実施とともに、居心地の良い職場を目指している。社員が感謝の言葉を伝えるサンクスカード制度の実施や、部門内で開く飲み会は年3回まで会社が費用を全額負担する。
社内コミュニケーションに力を入れてきた結果、忘年会には9割以上の社員が参加するという。育児をしながら勤める女性社員も働きやすい職場で子どもの体調不良で休む場合でも他の社員がフォローする体制が確立されている。社員同士が支え合う社風と多能工化が土台となって、自社の強みの一つである短納期対応の実現につながっている。
MEX金沢5月14日から3日間/最新の産業用ロボット、工作機械など多数出品
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来場者でにぎわうMEX金沢2025の会場
日本海側最大規模の機械工業見本市「MEX金沢2026(第62回機械工業見本市金沢)」が5月14―16日の3日間、石川県産業展示館(金沢市)1、3、4号館で開かれる。主催は石川県鉄工機電協会(同、渋谷英利会長=渋谷工業社長)で、850小間に県内外から269社・団体が出展する。事前来場登録制で入場無料。3日間で4万人の来場者を見込む。
今回のMEX金沢のテーマは「心躍るテクノロジー 未来がここから動き出す」。AI(人工知能)を活用した自動化や省力化のツール、最新の産業用ロボットや工作機械、情報通信関連のシステムなどを展示する。先端技術を駆使した製品やサービスを紹介することで、北陸地域の産業振興や北陸発のイノベーションを創出する狙いがある。
MEX金沢の期間中には製品展示のほか、各種セミナーやワークショップを開催する。セミナーでは自社の製品やサービスの紹介、高度外国人材の活用、デジタル変革(DX)の取り組みなといった来場者の関心が高い内容をそろえた。定員はそれぞれ100人。セミナー、ワークショップともにMEX金沢のホームページから申し込める。
このほか、石川県内のモノづくり企業から採用に関する情報を聞くことができる「学生特別企画」も行う予定。また、同県内中小企業の優れた技術や製品を一堂に集めて受注機会の拡大につなげる展示会「ビジネス創造フェアいしかわ2026」を同館2号館で同時開催する。
